腸と脳_表紙

脳と腸

 「腸と脳」この本の著者はUCLAの教授。脳腸相関(gut-brain axis)とは、腸はそこに宿る微生物との密接な相互作用を通して、基本的な情動、痛覚感受性、社会的な振る舞いに影響を及ぼし、人間の意思決定さえ導くことを意味する。この本を読むと「人間」とは腸内の微生物を含めた生態系全体で構成されているものを指すようにも思える。

 もうひとつ、腸のまわりの神経系は人体の中で脳の次に発達している神経らしい。そもそも進化の過程で腸と脳とどちらが先に発達したかと言えば腸だろうと言わざるを得ない。腸の方が脳よりも先輩なのだ。だから、腸に先輩風を吹かされた脳がそれに影響されても、さほど不思議ではないのかもしれない。結局は人体というものは腸と脳を合わせて一つのシステムなのだと言うことについては、なるほどそうかも知れないと思わざるを得ない。などとあまり考えすぎるとお腹の調子に影響しそうなので、この辺にしておく。 

 何年か前に読んだ「寄生虫なき病」と合せて人間という生物はどう定義されるのだろうと考えさせられる読み物。自閉症、パーキンソン病、アルツハイマー病、うつ病にも腸内細菌叢のありようが影響すると言われると他人事ではない。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?