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映画のお話を少々・・・

説教じみた話は抜きにして、大好きな映画のお話です。
  

~~ 古き良きアメリカ映画の影響を受けて育ちました ~~

 
ニューシネマ登場以前のアメリカ映画は、愛、友情、勇気、正義に溢れていたと思います。
 
今と比べれば、メディアの数も情報も限られていた時代に海外映画を通じて異文化が訴えてくる新しい価値観に影響を受けた日本人は少なくないでしょう。
  
映画ではありませんが、私には、
「日本の高度経済成長期のエネルギー源のひとつとなったのは、1963年から1966年までTBS系列で放映されたアメリカのテレビドラマ『ルーシーショウ』(The Lucy Show)である。」
という独断と偏見の持論があります。
 
 
車がある広い家、大きな冷蔵庫と電化製品、家事を手伝う旦那、など、当時の日本人の憧れとなる(旦那の姿は例外かもしれませんが)豊かなアメリカの家庭の姿をドラマの中で見せつけられたのですね。
 
「いつかは我々もあのレベルに」という上昇志向が潜在意識に植え付けられた、というのが持論です。
 
当時の私は小学校低学年でしたが、この番組をリアルで観たことは覚えています。(歳を語りますねぇ~)
 
 

~~ 日曜洋画劇場ってご存知ですか? ~~

 
映画、特に洋画について言えば、Netflix、Amazon Prime、WOWなどで新旧様々な作品を観ることができる今と違い、その昔、洋画に触れる機会は、テレビ朝日系列(当時はNETテレビ)で放映されていた「日曜洋画劇場」と決まっていました。
  
放映開始を溯ること1966年。この長寿番組で32年間に渡り、番組冒頭と終了後の解説を担当した映画評論家、故・淀川長治氏の
「これがアメリカの正義ですね。これが人間の勇気ですね。」なんて台詞を、あの独特な口調と共に思い出します。
  
「12人の怒れる男」(Twelve Angry Men:1957)
「アラバマ物語」(To kill a Mockingbird:1962)
「野のユリ」(Lilies of the Field:1963) ・・等々、
 
封切り時には観られなかった名作に触れられる、日曜日夜のテレビ番組でした。
 
長寿番組だったので、小学校高学年、中学生から、学生時代に渡って観ていました。サントリー、レナウン、松下電器(現、パナソニック)の
提供だったことも覚えています。
  
自分にとって、当時のアメリカ映画との遭遇は、高度成長期の日本人の「ルーシーショウ」と同じ様に、その後、アメリカに憧れを持ち、米国企業で仕事をするようになったことに少なからず影響を与えていると思います。
  

~~ 「招かれざる客」を久々に観て ~~

今年1月に94歳で他界したシドニー・ポワチエが主演の1967年の米国作品です。当時はタブー視されたであろう、異人種の婚姻を題材にそれを超える葛藤、家族愛、人間愛がテーマです。
 
原題は、「Guess Who's Coming to Dinner」ですから、例に漏れず、日本人に分かり易い(興味を喚起する)勝手な邦題が付けられています。
 
公開された1967年は、夏にデトロイトで大規模な黒人暴動が起きた年でもあり、同じ年にこの作品を公開したスタンリー・クレーマー監督と関係者の
勇気を讃えるしかありません。
  
なにか教訓じみた意図を持って映画を観るのは好きではないのですが、この作品には、共感できる考えや、いいなァ~と思うセリフが沢山散りばめられています。
  
一つは、
「人は自分の信じていた枠組みが侵されると、一番大切なものは何か?を忘れがちになる」
大切な根っこの部分から目を逸らさない

・・ということ。
 
そして、もうひとつは
「それを単に『問題』として頭を抱える」のか?あるいは、当事者の身になって「あなたどうしたい?」「どういう考えに立つと一歩前に前進できるのか?」と考えるか、の視点に違いによって人生が大きく変わる
・・ということ
 
後者は正にコーチングの中核となる考え方だと思います。
  
シドニーポワチエ演じる、黒人の婚約者の母親が、自分の息子と娘との結婚に本心から賛成しない、娘の父親に向かって、
 
You can only see that they have a problem.
But do you really know what happened to them?
How they feel about each other?
と問うのです。
 
「あなた方には、悪い部分しか見えない。あの子達の気持ちが少しも分かっていない。」が、日本語字幕ですが、原文の方が、
「問題」と「事の本質」を見極めるセリフだと思いました。
  

~~ ここから先は私の好きな名セリフのお話 ~~

その母親はさらに、
「男の人は歳をとると、女性を愛した情熱を忘れてしまう。愛や恋を語る年を過ぎると忘れてしまう。一途に求めたあの気持ちをすっかり忘れてしまう。今、あの2人は強く求めっている。」と訴えるのです。
  
この厳しい言葉は、映画の最後に父親が、結婚への賛成を皆に表す長いスピーチの伏線となります。
 
 映画の最後の7分間、
父親は夕食を前に、自分の思いを皆に伝えます。
 
その日の朝から起こった事への驚き、困惑、様々な人との会話に感じた苛立ちなどについて述べた後、
 「今日、私の反論を誘った唯一の発言」として、先の黒人の母親の言葉に触れます。
 
「(結婚を望む子供達を理解せず)女性への情熱も忘れた老いぼれ、男の燃えカスだと。言われた。」「しかし、あなたは誤解している。」
  
「私が家内に抱いた情熱は、あなたの息子に負けるものじゃない。」
 「確かに燃えカスだ。だが、(情熱の)記憶は、
私が110歳まで生きたとしても、鮮明で、完全で、決して失われることはないだろう。」

 
Old? Yes. Burnt out? Certainly. But I can tell you the memories are still there clear, intact, indestructible and they’ll be there if I live to be 110.
 
そして、
「親の意見など問題じゃない。肝心なのは本人たちの愛情の深さだ。」
「それが私達(自分と妻)の半分もあれば、立派なものだ。」
と、結婚に賛成の意を結びます。

 
特定の誰かに訴えているのではなく、とつとつと話すのです。
そして最後に妻の方へ目を向ける・・・・
 
カッコイイでしょ~。
  
この映画を初めて観た時、独身でしたが、
「家内に抱いた情熱の記憶は110歳になるまで決して薄れないだろう。」
自分も歳をとった時、こんなセリフをカミさんの前で話せる様になれるかいなぁ~? と、ふと思ったものです。
 
全然なれていないです(笑)
  
映画は大好きですが、
いつもこんな学びの機会として観ているわけではありません。
 スターウォーズを追いかけ、Netflixで鬼滅の刃にはまり、今年は年初からアベンジャーズのシリーズをDisney Channel で制覇し、その他諸々、荒唐無稽、爆音連続の作品も楽しみます。
  
でも、時にはこんな古き良きアメリカ映画を鑑賞してみるのも素敵な時間になりますね。
 
「招かれざる客」は、Amazon Primeで観られますので、よろしければ是非。
 
アカデミー賞脚本賞受賞。作品賞にノミネート。
 娘の母親役、キャサリン・ヘップバーンは主演女優賞受賞。
父親役、スペンサー・トレーシーは主演男優賞ノミネート。
黒人の母親役、ビア・リチャーズと司教役、セシル・ケラウェイはそれぞれ助演女優賞と助演男優賞にノミネートされています。
 
受賞やノミネートに相応しく、それぞれの役者の演技は凄いです。
 
 ちなみに、最近観た映画は、トム・クルーズの
「トップガン マーヴェリック」
最初の作品も観ていますが、よく言われる「続編は本編より劣りがち」のジンクスを跳ね返し、噂どおりのイイ映画でした!

安藤秀樹
株式会社ドリームパイプライン代表

公式ホームページ: https://dreampipeline.com
お問い合わせ先: hideki.ando@dreampl.com

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