見出し画像

吐き気 #3


 うるさいな。死んだ顔で並ぶなよ。俺もそこにいるんだから俺まで死んでる事になるだろ。この感覚は久しぶりだな。随分楽しく過ごしてたんだな。面倒だ。頭痛がする。やることが無い。モチベもない。自己嫌悪すら面倒くさい。これも反動かな。
 反動とか便利な言葉。言い訳なんていらない。全て吹っ飛ばせ。
 リハビリは続くよ。離れすぎたものね。8本目書く頃には戻ってるから。長いな。あと2.3回で終わらそう。



 どこを見てるかを問いかけてた。君の景色を知りたかった。僕には見れないその景色に、ちょっとだけ寂しくなっていた。それが無くなった今、俺は悲しい。物事への興味なんて、元々無いんだよ。
 どうしてか、寂しそうな人を見ると一緒に寂しくなりたいと思う。みんなが寂しくなれれば、寂しい人なんていなくなるから。

 俺はポジティブに見られるけれと、本当は誰よりもネガティブなんだよ。ただ、関係性を気にしないだけだよ。

 今日も歩こう。歩いて歩いて、汗をかいてさ。何も考えず、何も見ないで、何も聞かないで、全部無視して、ただそこに在ろうとするんだ。それしか出来ることはないから。


 久しぶりに、寂しいという気持ちになったのか。感情なんて全部勘違い。そう言っていた頃が懐かしい。セカイを死ぬ気で想った頃が懐かしい。全てdeleteした先にある何かに。


 ねえ。俺はあの頃の何かに辿り着いたんだろうか。それを見るためなら何でもした、あの何かにさ。ここまで来たと思えたのは、錯覚だったのかな。目先の勘違いに埋もれた方が楽だったのかな。もう終わらせたいだけだったのかな。セカイを言い訳にして、全部終わらせたのは誰だ?
 産まれて二日目の僕へ。君は僕を見て何を想う? 弱くなったなと見下してくれるかな。何もかも知らない君ほど強い存在はいないよ。僕は産まれて二日目の君に憧れて、三日目の君を軽蔑する。そんな僕を、君は罵ってくれるかな。


 早く全部吐き出したい。なんで一言一言しか吐き出せないんだ。早く7次元に行きたい。直線じゃ間に合わない。
 もうすぐだよ。もうすぐお別れだよ。全部全部反響して、ボロボロに壊れ始めてる。でも今回は本気だよ。僕のすべての言葉は嘘だけど、僕の表現は嘘を付けないから。全てを壊して、木っ端微塵にして、それでも壊して、量子の記録すら壊すんだ。そこまで見据えて、この言葉を紡いでいる。
 一昨日の夜。僕は歩いた。歩いて歩いて、で帰った。そんな事すら壊すんだ。壊れるまで壊すんだ。
 だって僕は君だから。僕が壊れれば、君も壊れるはずだから。ただ、そう願ってるだけだから。


 藍色の景色を思い出した。そういえば、僕はそんな景色を見ていたよね。君の景色の一瞬に触れた時を覚えてるなぁ。とんでもなく綺麗で、激しくて、鋭くて、痛くて、優しくて、寂しげだった。
そこから逃げ出した僕はどこにたどり着いたんだろう。無我夢中に駆け出して、ここがどこかも分からなくて、そんなこと興味もなくて、遠くにいる君を想う事に気持ちよくなって。妄想の中に幸せな君を作り上げて、君は幸せだとくだらない事を信じて、隣にいることを投げ出した。

 今は忙しいから。今は暇がないから。そんな屑みたいな言い訳をしてセカイから逃げ出して、そしてここにやってきた。

 ここに来たら目指す場所は一つだけ。そもそも、俺にはこれしか出来ないんだ。ただこの丸い星をひたすらに歩き続けて、同じ場所に戻っていく。永遠に廻り続けていずれ同じ場所で君に出会うこと。それだけが僕に与えられた仕事だし、道中でセカイを壊して歩くんだ。
 そしたら、君と出会ったその場所は、全く違う場所になって、またもう一度初めましてを言えるから。
 はじめましてだね。元気にしてた?

 それを言うためだけに歩くんだよ。ただ真っ直ぐに。そのうち辿り着くからさ。


 吐き気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?