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DXをするのにExcelが欠かせない(かもしれない)

はじめに

前回、以下のような記事を書きました。

そもそもの課題意識として「DXを阻むのはExcelだ!」と言っている人たちが多いけど

「Excelを何のために使っているか?」という定義がバラバラなのでは?

と思っております。前回は、入力→処理→出力のすべてでExcelが使われるパターンがあるということを示しましたが、今回はもう少し根深い問題である

入力→処理→出力のI/F(インタフェース)にExcelを使っている

というパターンについても考えていきます。

I/Fとは?

まず、I/Fの定義を確認しましょう。

インターフェースとは、「境界面」「接点」などという意味を持つ言葉で、ITの分野では、2者間の情報のやり取りを仲介する規格や機能のことを指します。IFやI/Fという略語で表されることもあります。
インターフェースは、ハードウェアインターフェース、ソフトウェアインターフェース、ユーザインターフェースの3つに大別されます。

https://www.elite-network.co.jp/dictionary/interface.html

今回の例で行くと、入力→処理→出力の境界面はそれぞれI/Fですし、たとえばコンピュータシステムとユーザとの間のI/Fを「ユーザインターフェース(User Interface, 略してUI)」などと呼まれます。

例:ある工場の設備管理システム(モデル)

ここで、一つの例を示します。これは、ある設備の機器トラブルなどを記録するための電子システムのイメージです。当然、実在のものではありませんが、「実際にありそうなイメージ」を想定したうえで、今回のために書き起こしたものです。

ExcelがI/Fとなっているシステムの例 #一枚絵図

入力→処理のI/FがExcel

ある設備に関する情報を取っておかないといけない場合、「設備から直接取ればいいじゃない」と思うかもしれませんが、実際はそんなに簡単ではありません。古い設備だとデータを取るだけでも一苦労。新しい設備でも、生産される製品に影響を与えないかどうかの検証が必要で、ポンとすぐにデータを出してくれるところなんて稀です。また、FAXや手書きもいまだ健在で、そこからもたらされる情報がまだまだ多いのも実情です。これらをシステムに入力するはどうしたらよいか? その場合は派遣さんなどを使いExcelを使って入力することになっているというシステムはまだまだいくつもあると思われます。

処理→出力のI/FがExcel

ある程度大規模なデータの処理はさすがに別のシステムが夜間に実行していたりすることが多いでしょう。しかし、それを現場で利用する際に、すべて専用の見えるか画面で実行するかというとまだまだそんなことはないというのが実情だと思われます。

特に、紙を無理やりシステムに置き換えたような場合、入力されたデータが不十分で

現場側でさらに加工しないと使えるものにならない

というシステムがたくさんあります。たとえばフリーテキスト欄がそうで、全部書き込む人、最低限しか書かない人など様々で、結局出力側で毎回「微調整」を行う羽目になる人たちがたくさんいると思います。さらに、そのような微調整をPythonなどで自動化している人もいれば、

完全にマンパワーで頑張っている人

もたくさんいるでしょう。

そして、それとはまったく別で

「紙の資料で毎回X部くばってくれないと読めない」

とか言い出す人たちも、2023年には(特に「偉いと言われる人たち」に)それなりに存在することを忘れてはいけません。

おわりに ~ 「DXでExcelをなくせ!」と簡単に言うけどさ

今回は、Excelを使ったシステムのうち、特に「ExcelをI/Fとして使っているパターン」について示しました。

このサイトでは、特に製造業のDXに関する実際について、多くの記事を投稿していますが、現場側では以下のような声が聞かれます。

  • 普段から紙やExcelで行ってる業務をDXでカイゼンしろと言われたけど、どこから何をしたら良いかわからない。

  • このExcelがなくなったら仕事にならない。

  • そもそもDXとか関係なく、昔からカイゼンはやってきている。何をやってほしいと言っているのか。

  • DXの例でPythonとかいうプログラミング言語のことを言われてもわからない。それより、この前入れたシステムをどうにかしてほしい。

なんだか、議論がかみ合っていないと思いませんか? これはExcelという単語を出したからだと考えています。つまり、DX問題では本来「その業務は本当に必要なのか?」を考えないといけないのに

「その業務の要不要論」ではなく「Excel要不要論」にすり替わった

みたいな話なのです。

たとえば、先ほどのシステムの場合、本来には「FAXや手書きで取り入れている情報が何のために必要で、それを使って出力側でどのような価値を出しているのか?」を調べたうえで、IoT化による「自動入力」を検討したりしないといけないのです。調べてみるとわかることですが、たとえば

手書きデータが「会議資料のにぎやかし棒グラフ」にしか使ってない

みたいなことなら、これを機に手書き記録をやめたらよいのです。逆に、ある意思決定の重要な指標に使っているのなら「入力のしやすさと情報の取り出しやすさを兼ね備えたソリューションが求められる」みたいなことになるのです。そして、

費用対効果を考えると「Excelでええやん」となることもある

のです。

よって、そのシステムにとってはExcelは欠かせないかもしれないので、まずは、そもそも「デジタルデータの直結でその業務プロセスそのものをなくしましょう」みたいな、本来のDXの話から始めてもよいのかもしれません。

(おわり)

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