「アジャイル」がもてはやされるのは、顧客が「本当に必要なもの」を表現できないから
はじめに
このnoteでは、特に2022年はDXやアジャイル開発に関する話をたくさん書いてきました。その理由は、私自身DX研修の担当、アジャイル開発に関するお話をたくさんする中でまだまだ誤解されている点が多いと感じたからです。
アジャイル開発とは、要するに
なんらかのアウトプットを見ながら要件定義をやろう
というPJの取り組み方の話であって、決して速度が速くなるという話ではないというのはこれまで何度も述べてきた通りです。
これほどまでに「アジャイル」という用語がもてはやされる理由は何故でしょうか? それは一言でいえば、結局要件定義が難しいからです。要件定義はソフトウェアでは最も難しい工程(の一つ)だという点を出発点に考える必要があります。
それでは、要件定義は何故難しいのでしょうか? それはそもそも
要件定義をする人が、自分自身の欲しいものを正しく認識できていない
という点にあります。
そこで今回は、自分の要求を正確に表現することがいかに難しいかについて、ソフトウェア業界で有名な絵を使って解説していきます。
顧客が本当に必要だったもの
ソフトウェア業界では「顧客が本当に必要だったもの」という名前の有名な風刺画があります。(左上から右に、次いで下にと読んでいく)
この絵はとても多くの示唆を与えてくれるのですが、今回は「ソフトウェアのことがわからない人」と「ソフトウェアのことしかわからない人たち」のやりとりで物を作ろうとしていることの難しさについて考えていきます。
これを説明するために、絵の順番を以下のように並べ替えてみます。
元々の風刺画だと「顧客が本当に必要だったもの」は“オチ”にあたるので最後に出てくるのですが、この順番に並べてみると、
要求者が考えていることを他の人に伝える時点でそもそもずれている
ことがよくわかると思います。また、次に間に入っている人が
実現可能性がない(この場合ブランコになっていない)ように理解している
点にも注目してください。これが「こう書かないと動かない」というプログラマの思想に繋がります。
本当に必要なものが伝わらない理由
つまり、これはDXという言葉が正しく理解されないという伝言ゲーム問題と本質的には同じだということです。
理由を掘り下げて考えていくと、以下のような理由が大きく3つ考えられます。
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