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現場が求めているものは「データ活用が進むデータ」

はじめに

今や、どの企業でもDX人材育成・AI人材育成を進めようと必死です。人材育成の責任者ほど、「どんな教育が良いか?」「与えられた予算の中でどんな教育が実現できるのか?」などに頭を悩ませていることでしょう。しかし、ここで行われている教育は、果たして現場に求められているものになっているのでしょうか?

今回は、実際に研修を受けたある現場社員の声を通じて、現場が本当に求めているものについて書いていこうと思います。

研修を受けたある現場社員の声

「デジタルリテラシーの高い社員を選抜し、DXに関する研修を受講させ、その成果を部門に持ち帰らせようとする」というような研修制度。今や、多くの企業でなにかしらこの類の研修が行われていると思います。

そのような講習を受けた現場社員にインタビューする機会があったのですが、以下のような感想を持ったそうです。

  1. 講習を受けて自部門に帰ってきて、一番感じるのは現場のレベル感はまだまだ低いということ。研修で受けた内容をそのまま展開してもレベルが高すぎる。まずは基礎から部門に展開したい。

  2. とはいえ、いわゆる「AIとは何か?」みたいな話は、これまで何度も聞いているが、抽象的過ぎて、自分の業務と関連している感じがしない。研修を受ける前の自分もそうだった。

これは非常に正直な話だと思います。1の話は、そもそも選抜されて参加した人だからついていけた話で、部門内の一般社員に同じ話をしてもついていけないという感想を持つ人の方が多いでしょう。逆に、2のような話は、DX活用/AI活用と言われるなかで様々なところで何度も聞いているのが実情です。そして、それをすぐに仕事に活用できてない。それは、したくないというわけではなく、

そもそもどうやったら仕事に使えるのかわからない

からなのです。

現場が本当に求めているものは「データ活用が進むデータ」の書き方だ

その方とは、その後議論を深めていき、最終的には

一番即効性があるのは「データはどう持っておくべきか」の講義では?

という話になりました。たとえば、Excelでデータ管理するにしても、「セル内に余計なコメントを入れない」「桁数を揃える」「ヘッダーはシンプルに1行」…など、そういったレベルからの話です。

これは、たとえばネ申Excelの話にも通じますが、それをケアしないとデータ前処理がどれだけ大変になるか? 逆に、データをExcelでどう持っておけば、データ処理を実施する際にどれだけやりやすくなるか? というご利益込みで話をするのが一番わかりやすいというのです。まさに実務を行っている人の意見だと感じました。

「使いやすいデータとは?」の分かりやすい基準

上に書いたように「セル内に余計なコメントを入れない」「桁数を揃える」「ヘッダーはシンプルに1行」みたいなことをやりたいと考えた時に、次の悩みは「それをどのように網羅的に表現したらよいのか? 何かガイドラインのようなものがないのか?」ということです。

実際には、ガイドラインはあります。「統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール」です。総務省が策定したものです。

これは政府から発表する統計情報をこのように表記しますというルールとのことですが、非常によいガイドラインとなっていて、普段からこのルールでExcel内のデータを記載することで社内のデータ活用度合が一気に進むのではないかと感じさせます。

  • チェック項目1-1 ファイル形式はExcelかCSVとなっているか

  • チェック項目1-2 1セル1データとなっているか

  • チェック項目1-3 数値データは数値属性とし、文字列を含まないこと

  • チェック項目1-4 セルの結合をしていないか

  • チェック項目1-5 スペースや改行等で体裁を整えていないか

  • チェック項目1-6 項目名等を省略していないか

  • チェック項目1-7 数式を使用ている場合は、数値データに修正しているか

  • チェック項目1-8 オブジェクトを使用していないか

  • チェック項目1-9 データの単位を記載しているか

  • チェック項目1-10 機種依存文字を使用していないか

  • チェック項目1-11 e-Statの時間軸コードの表記、西暦表記又は和暦に西暦の併記が されているか

  • チェック項目1-12 地域コード又は地域名称が表記されているか

  • チェック項目1-13 数値データの同一内に特殊記号(秘匿等)が含まれる場合

  • チェック項目2-1 データが分断されていないか

  • チェック項目2-2 1シートに複数の表が掲載されていないか

すでに解説するWebサイトもいくつもあります。

こういったものをどんどん活用していきましょう。

おわりに ~ 良いデータにするため

「統計表における機械判読可能なデータの表記方法」は非常に良いデータ表記方法だと感じますが、大事なのは「このルールを社内に広めること」です。その際に、

政府が推奨する書き方だから、皆でこれに倣おう

と単に言葉で言うだけでは広めていくのが難しいかもしれません。

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