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個のエンパワーメントは「仕事」の領域でも進んでいるのか

「個のエンパワーメント」「個の時代」と言われるようになって久しい。いろいろな理解があると思うけど、私としての理解は


・大きなもの(主に会社や自治体)ではないとできなかったことが、個人でもできるようになったこと
・それにより、どこかに属さなくても個人で稼いでいけるようになったこと


だと考えています。


先日上場承認を受けたBASEさんは、「ネットで商売をすること」を誰でもできるようにしました。それまでのECといえば楽天市場などのモールに出店するか、自分でサイトを作ってカート機能をつけるなどが必要でした。だがそれができる人は超少ない。
ただ、インターネット業界で働いていない人にとってみればそれは「非常に難しい」というのが現実です。
そんなネットに詳しくない人でもすぐに自分のShopを作れてECができてしまう、その世界を実現できたことで何十万、何百万という人が自分のお店を持ち、それにより上場する規模まで大きくなってきました。


みんなご存知のメルカリさんもそうですね。
スマホだけあれば写真を撮って出品するだけ、相手の口座がわからなくても安全にお金のやり取りができるようになり一気に「モノ」を売る人が増えました。

それまでもヤフーオークションやモバオクのように個人でモノを売り買いするプラットフォームというのは存在していました。間違いなくこれも個のエンパワーメントではありましたが、スマホの普及とそれに合わせたUXを磨き込んだ結果、一気にマスまで広がったのがメルカリだと思います。


もちろんECの分野だけではなく、メディアではnoteがあり誰でもメディアが作れます。SNSがあることで誰でもテキスト、画像、動画などを発信できますし、Youtubeによって番組を作ることも可能です。

個のエンパワーメント、個の時代と呼ばれる流れは不可逆ですし、これからも加速していくでしょう。少なくとも私はそれが起きてほしいとは思っていますし、信じています。



では
「個のエンパワーメント」が私が働いている「HR領域=仕事/求職などの領域」で進んでいるのか、どうなっているのかを考えてみます。


こちらも先日上場承認されたランサーズさん、すでに上場しているクラウドワークスさんなどの台頭によって、インターネットを使うことで誰からも雇われることなく仕事をする、お金を稼ぐことができる世界は徐々にできています。


ただし、ECやメディアなどの領域に比べると「まだまだ実現できていない」と思っています。


再掲になりますが、

・大きなもの(主に会社や自治体)ではないとできなかったことが、個人でもできるようになったこと
・それにより、どこかに属さなくても個人で稼いでいけるようになったこと

この2つが「個のエンパワーメント」「個の時代」の実現には必要だと思っています。

確かにクラウドソーシングの登場やYoutuberなどは「どこかに属さなくても個人で稼いでいける人」は増えているでしょうし、それは素晴らしいことですし、今後も加速していくでしょう。
ただし「仕事/求職」の領域においては「まだまだ一部の人のものでありむずかしいものである」と捉えています。


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この2枚は2019/11/14にクラウドワークスさんが発表されている決算説明資料から抜粋しています。非常に順調な業績ですごいですし、クラウドソーシングの拡大に貢献されています。


ただ、気になる数字をいくつか。
1枚目と2枚目のスライドからみてみると以下の3つの特徴的な数字が出てきます。

- クラウドワークスに登録しているワーカーの平均年間契約額は5.5万円
- 年間の契約ワーカー(1年で1円でも契約した人)は20.2万人
- 登録ワーカー316.4万人

つまり、
クラウドワークスのプラットフォーム上で、


登録ユーザーの6.8%以外は年間で1円も契約が成立していない
その契約が成立している人でも平均で年間5.5万円(月4600円程度)


という事実です。
この数値をどうみるかですが、個のエンパワーメントという観点でみると、まだまだクラウドソーシングを活用し、「個」で稼ぐというのは簡単なことではない、ということかなと思います。


これは「HR=仕事/求職」において

大きなもの(主に会社や自治体)ではないとできなかったことが、個人でもできるようになったこと

が進んでいないことが要因ではないかと考えています。
つまり、仕事/求職というのは「会社/企業が仕事を作り出し、それを個人が行う」という構図なのですが、その構図が今も変わっていないということです。

働く人(デマンドサイド)はインターネットによって個で稼いだり、仕事をする可能性や選択肢が広がってきていますが、仕事を依頼する人(サプライサイド)は相変わらず企業、法人のままで広がってきていません。


前述したようなメルカリ、BASE、noteなどによって「個」は簡単にサプライサイド、つまり商品の供給側になることができます。そしてそれをまた個人が買ったり読んだりします。
また1人の個人がデマンドサイドとサプライサイドへ行ったり来たりするといった行動も起こります。


しかし、仕事の受発注においてはそれはまだ起きていません。
基本的には「企業、法人」が仕事を生み出していて、その仕事を今までは雇用されていた社員にだけ発注していたものが、社員以外にも発注するようになった、というだけに過ぎない、とも言えます。


これはキャスターやbosyuという会社を運営していてわかったことですが、「リモートワーク/オンラインワーク」「副業」「短時間」などを希望する求職者にとって圧倒的に買い手市場です。
これだけ人が足らない、売り手市場だと言われていますがそれは週5フルタイムで通勤する社員に限った話で、実はフレキシブルな働き方を望む人にとってはめちゃくちゃ市場は買い手であり「仕事がない/少ない」というのが現実です。
(事実、キャスターで運営しているReworkerというリモートワーク専門求人サイトでは広告費ゼロでも毎月1500-2000人近い人の登録があります)


その状態で、
仕事を依頼する人(サプライサイド)が固定化されていると、1つの仕事に対して応募がたくさんきます。結果として過去実績がある人かつ単価が安い人がその仕事を受注することになり、それ以外の人は仕事を受注できません。
結果として、上記のように登録ユーザーの1/10以下の人だけしか稼げない=「強くない個には圧倒的に参画が難しい」市場になっています。


これは
メルカリやBASEができる前のEC市場と一緒なのではないか、と思っています。個人で出店することもできるけど楽天の中で売ろうと思うと多額の広告費も必要だし在庫を増やすために物流倉庫も必要。そうなると個人ではなく結局一部の企業や法人が売りやすいという仕組みに落ち着く。
そういった状況に今のHR領域(=仕事/求職領域)も一緒なのではないかと。



その状況で私が思っている解決策は1つ。

「個人がサプライサイド(仕事を生み出せるように)に回れるようにする」


しかないと思います。

フレキシブルな働き方をしたい人はまだまだ増えます。ただ、圧倒的にサプライサイドが遅れているからこその買い手市場です。
であればサプライサイド(=仕事の供給)を爆発的に増やしていくしかないのではないか。メルカリでみんながやっているように、自分で仕事も発注もするし、受注する。それを当たり前にしていくことで「仕事」において真の「個のエンパワーメント」が実現できるのではないか、と思っています。



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bosyu社の代表取締役兼キャスター取締役COO。場所、時間、雇用形態、社内外などのあらゆる境界があいまいな新しい組織である「ボーダレス組織」を提唱しています。noteでは採用 | 働き方 | 組織論 | 仕事術などを書いていきます。

コメント1件

私としては、一人二人が食べていける、小さな生業をまずは増やしていくこと、だと思っています。消費者とサラリーマンは大切ですが、そればかりだとまずいな、というのが私の今の感覚です。
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