逃避の散歩 162.豊島区と板橋区の「旧中山道」
◇
なんか、さっと1時間ほど歩きたい。正確に言えば1時間以内で歩ける道を歩きたい。暑くてもそれくらいなら歩ける。それでいて通しで歩いたことがない道はないかと考えていると、ちょうどいい道がいくつか思い浮かぶ。よし、まずはこの道にしよう。
都営三田線巣鴨駅A3口を出ておよそ50メートル歩くと、国道17号・中山道のとげぬき地蔵入口交差点(102回)に出る。JR線の改札口からなら出て右前に都営三田線駅改札口への階段があるのでそれを下っていけば同口に出られるので、信号待ちをすることなく3分足らずで行ける。
曇り空なのは助かる。日差しを浴びる暑さも少しは和らぐ。
この交差点の辺りが、今回歩く旧中山道の起点になる。正確に言えば、グーグルマップでそう記載されている豊島区から北区まで北西に延びる5キロメートルほどの短い道だ。交差点の奥に見える巣鴨地蔵通商店街のゲートの方向から中山道と分岐していたのがわかる。
案内標識は見当たらないが、信号待ちしている角の左へふと目をやると、真性寺の塀の前に「旧中山道はタネ屋街道」という題の旧中山道に関する歴史を記した説明板が設置されている。それはそうとして、横断歩道を渡ったら商店街のゲートをくぐって開始だ。
思えば、この通りを大塚から駒込まで適当に歩いている時に横切ったりすることはあったが、端から端まで歩くのは初めてだ。その時は週末に歩くことが多かったので多くの人が行き交っていた印象が強かったが、今回は平日で運が良かったのか思ったより人が少ない。
歩き始めて2分、次のゲートと共に「とげぬき地蔵尊」こと高岩寺の門が右側に見える。(トップ画像参照)それから1~2分ほどの間隔で商店街のゲートをくぐっていく。2021年ごろに巣鴨側を整備したためなのか、道幅の割に車通りが少なくて歩きやすい。
また、一時期は「年寄りの原宿」とか一部報道でいわれていたが、いわゆる「年寄り向け」っぽい印象がある店と人通りが集中しているのは巣鴨側の一つ目から三つ目のゲートの間あたりまでで、その先を越えるとそんな雰囲気が消えて意外とよくある商店街の様子に変わる。
8分で最後となる五つ目のゲートを抜けると庚申塚交差点に出て同商店街を離れると2車線になり、都電荒川線庚申塚停留所(6回)で通過待ちに。以前、同停留所を通過した時に線路の向こう側から最後のゲートが見え、「ああ、こんなところで繋がっているのか」と感心した。
この辺りから別の商店街に変わり、全体的に車線の道幅は広くなっているが歩道が狭くなった。だが、車が頻繁に通っているわけでなく、人通りも少なめで落ち着いて歩ける。
大正大学の前を過ぎて11分、都道305号・明治通りとの交点である掘割交差点を渡る。以前豊島区の駅ラリー(102回)をやったときには、ちょうど学校の授業が終わる時間帯に通り抜けてしまい、下校する学生たちであふれ返り歩きづらい思いをしたが、今回はいい時間に抜けられた。
長い直線が続き、16分に少し左へ曲がるところで商店街に入る。グーグルマップ上では「滝野川桜通り」と記されている通りとの交点となっている丁字路交差点を過ぎると踏切が見えてくる。以前やった板橋区内駅ラリー(41、42回)の始点と終点になったJR板橋駅の北側にあるものだ。
23分に踏切を越えると板橋区に入る。そしてJR板橋駅西口のロータリーに案内標識が初めてお目見えする。そういえば、同じ道なのに自治体で案内標識の有無が生じるのは既視感がある。ちなみに、この先の角を右折して2分弱歩くと都営三田線新板橋駅がある。
一直線の商店街を通り抜けていく。三つの交差点を過ぎ、四つ目の板橋一丁目交差点で右側と正面奥に中山道と首都高速中央環状線の高架がはっきりと見える。この先で中山道と斜めに交差することとなる。29分に板橋郵便局前交差点を渡り、対角線にある板橋宿不動通り商店街に入る。
弓なりに右へ曲がる道を進み、31分に観明寺前でこの辺りがかつて板橋宿と呼ばれる中山道最初の宿場町だったことなどを説明する案内や板橋地域センターがある角の先で観光地図も見かける。当然だが、歴史探索をしに来たわけではなく歩きに来ただけなのですぐ通過。
35分に王子新道との交点である旧中山道仲道交差点を過ぎる。この交差点を左折すると中山道を挟んで板橋区役所がある。また王子新道は23区役所巡り(132回)で板橋区役所から北区役所へ向かうときに使った道だ。
そうか、さっきJR板橋駅で覚えた既視感の正体はこれだ。板橋区役所前の交差点から北区区役所近くの都道455号・旧岩槻街道まで延びている王子新道も板橋区内に案内標識はあるが、JRの線路を越えて北区に入ると標識やそれがわかる表記がなくなった。
同交差点からゲートをくぐって中宿商店街に変わり、さらに右へ弓なりに曲がりつつ下っていく。曲がり終えて先を見通せる直線になったところで平坦になる。案内標識がある交差点からまた下り、坂下で右へ曲がりながら同商店街のゲートを通過する。
40分に石神井川(148回)の板橋を渡り、左へ曲がりながら本町商店街に入る。先の二つと比べると焦点の数が一気に減り、物静かな雰囲気に変わる。中山道と一直線につながっている2車線道路と合流する丁字路交差点を越えるところで右へ曲がる。
板橋警察署板橋本町交番がある本町にぎわい広場前の辺りから坂町商店会という商店街に変わる。縁切榎前交差点を過ぎると緩やかに蛇行し、次の横断歩道が見えてくるあたりまで上り坂が続き、そこから奥に陸橋が見える。
47分に環状七号線の中山道陸橋前の丁字路交差点から同陸橋下を通過。こんな低い位置に自動車用信号が設置されている陸橋下はあまり見かけない。この交差点左側には、以前区内駅ラリーで通過した都営三田線板橋本町駅の出入口と大和町交差点がある。
同陸橋を越えた先で坂町商店会の最後の街灯を過ぎ、あけぼの商店会という商店街の街灯が右前にある五差路交差点を過ぎるところでやや左へ曲がり、51分に信号付きの交差点を越えると右へ少し曲がる。そして、最後の案内標識が見えてきた。
52分にグーグルマップ上の終点に到着。この物静かなところはなんかいい。この先は中山道と首都高速5号池袋線が分かれる地点に合流する。
さて、ここから近い駅は都営三田線本蓮沼駅だ。行き方はこのまま中山道に出て北上するだけで5分とかからずに着く。以前も通過したA2口から乗ることにして、冷たいコーヒーでも飲みに行こう。
◇
◇