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人間とは何か~アニメ報連想♯1「進撃の巨人」から連ねる~

この記事は2017年5月7日に作成した記事を加筆修正したものになります。

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放送中だったアニメから『連想』したものを
報告・連結・妄想して過去のアニメをおススメします。
題して、【アニメ報連想】

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【進撃の巨人】

別冊少年マガジンにて連載していた諫山創による漫画が原作。

2013年に第一期が放映され、これまで第4期までが放映され
2022年1月より第4期Final Seasonが放映予定
原作が完結していることから結末まで描かれることが期待されている。

強大な壁に守られていた安寧が、ある日超大型の”巨人”に破られ
この世界は実は平和ではなかったのだと
アルミン(CV.井上麻里奈)が冒頭で解説する通り
「その日人類は思い出した」

人類VS異形という解りやすい明確な敵対関係と
立体起動によるダイナミック且つ繊細なアクションシーンと
機軸のシリアスにシュールをエッセンスしたシナリオとキャラクターで人気を博した。

しかし回を重ねるごとに一筋縄では行かない展開、
根本を揺るがすほどの大きな謎が首をもたげ
幾重にも張り巡らせた伏線が複雑に絡み合って
予測困難なストーリーが深みを増すことになる。

よって第1回は、人類を脅かす天敵との対峙がある
且つエグイ表現の多めな作品に関連付けたいと思う。

人と人ならざるもの、ましてや疎通が図れない巨大生物との戦いといえば【ハカイジュウ】が思い浮かぶ。しかしそれだといきなり主題から外れるので――

【東京喰種-トウキョウグール-】

人を喰らうダークファンタジーといえば
まっ先に【東京喰種】が思い浮かぶ。

人肉を貪るというのはビジュアル以上に不実感・残虐性を伴い
精神的な衝撃が大きい。
虚構だからこそ成り立つエンターテインメントと言えるだろう。

週刊ヤングジャンプにて連載していた石田スイによる漫画が原作。
2014年放映。
だが人類を捕食するといった共通項はあるものの
こちらは生命維持に必要なため食物連鎖の意味合いが付加される。

なまじ言葉が通じるために意志と意思がぶつかり合い
双方に傲慢な部分と同情の余地があるため勧善懲悪が成立しない
キャラクターもどちら側も魅力的で甲乙つけがたいし
最後までどちらを応援すれば良いのかわからない。……漫画では。

アニメはというと√Aという副題で漫画とは別の展開を見せる。

それには賛否両論あるのだが、原作者が描きたかったifルートを提示したかったということで、けしてデキが悪いものではなかったように思う。

ただし視聴者を混乱させたのは
その後に放映された第3期に当たる東京喰種:re。

原作とは違うルートを辿っただけに、整合性がなくなってしまった。
もし初めからアニメを見るときは注意されたし。
また、個人的な感想にはなってしまうが、
最終話周辺、ここは原作でもははっちゃかめっちゃかではあるが
それに輪をかけて少ない話数に詰め込んだものだからさぁ大変。
内容を理解するのに非常に困難な出来となってしまったことは否めない。

それを抜きにすれば漫画ではどうしても表現しきれないセリフの抑揚やアクションシーンは見ごたえあり。
映像としては非常に楽しめるのでエグいバトルアニメが好きな方にはおすすめしたい。

【亜人】

その東京喰種に少し遅れて登場したのが【亜人】である。
good!アフタヌーンにて連載していた桜井画門による漫画が原作。
2015年放映。

こちらは逆に捕食はないが、人外側が一方的に猛威をふるうパターン。
だが背景には人類側が迫害してきた非道な過去があるため
ストーリーとしては復讐と呼べるだろう。

主人公の思考が特徴的で、一見普通の見た目と表層心理ゆえに
奥の奥に秘めたサイコパスが怖い
性根が優しい【東京喰種】の主人公:カネキとはある意味真逆といえる。

人型同士の対戦であるため【東京喰種】と比較してしまうが
人類を殺すことに意義を成さないあたり【進撃の巨人】に近いとも感じる。

3Dアニメーションという、当時としては珍しい手法で描かれていて
それが違和感という人もいるだろうが個人的には及第点。
こちらは巻数の割には2クールもらえたためか
割と忠実に原作を再現している。
(もちろん倫理観に抵触しそうな場面はカット及び緩和されているが)

放送されていた媒体が限られていてあまり話題にならなかった感は否めないが、上記2つがイケるなら同じくらい楽しめる作品だと思う。
とくに佐藤さんの大胆なぶっぱなしまでは息つけず見られるだろう。

【寄生獣】

そして最後に【寄生獣】だ。
月刊アフタヌーンにて掲載されていた岩明均による漫画が原作。
2014年放映。
これまでの3作品に比べればもっとも古く、
また映像化不可と言われていた作品だ。

人体に寄生し体を乗っ取り、残虐の限りを尽くす未確認生物
しかし高い知能と協調性を持って人類はその未曾有の驚異に対して対策を重ねていく。
それを学んで自らも人類の思考へ近づき
やがて組織を発足する知識を得てついには政府上層部まで上り詰める者も。
はたして地球にとって害悪となるのは……

正直、上記の作品を初めて漫画で読むごとに連想したのがこの作品である。理不尽に何の感慨もなく奪われる命は【進撃の巨人】らしく
人外側にも感情移入できてしまうのが【東京喰種】らしく
人間側に対応できる力が希薄なのが【亜人】らしい。
モンスターのビジュアルは【ハカイジュウ】らしい。

【ベルセルク】と並んで知名度・評価・残虐性が高いのではないのではないだろうか。

アニメの出来も素晴らしく、特に声優の演技が入ることによって
文字だけでは汲み取りきれなかった感情を改めて理解を深めることが出来た。
田宮の件はアニメのほうがより感情移入できるだろう。

右手に説教されて悔しくて、友達だと言われて嬉しくて、別れが悲しくて
そして人間とはなんなのか。
その意味を見つめ直す、かなり奥深い作品で
伝説と呼ばれてるその所以を是非見てみてほしい。


まとめ

……こうして並べてみると2014年~2015年に固まって放映されている。
そんなにこの年殺伐としてたかな。
ただDVDとしてほしいものが多かったという記憶はある。

ひとつ伝えたいのが、何れも傑作で優劣があるわけじゃなく
また自分の中にある暴力性を発揮しろと言いたいわけでもなく
過酷な状況下でむき出しになる感情って美しいよねということ。

なお、【進撃の巨人】がリスペクトしてるのが
確か【新世紀エヴァンゲリオン】【ARMS】【マブラヴオルタナティブ】あたりだっと、記憶してます。

2次元だけで許される極上のホラーサスペンスまたはダークファンタジーを
精神が擦り切れるほど召し上がれ!





Afterword -たとえ何もなくても この手広げ行くよ-

株式会社メディアージュにて管理されていた記事を再掲してみました。
会社はもちろん残存してますが、
エンタメからは撤退したようでサイトが消えてしまってます。
でもせっかく自分が丹精込めて作った記事なんで掘り起こしてもいいよね?
というわけでちょこちょここちらに移していきたいと思います。

微妙に当時の内容を現在の状態に修正するのも骨が折れますね。苦笑。

さて、今回のこの4作品。
寄生獣以外をパクリだと糾弾する過激派以外は
おそらくファン層を共有している作品だと思います。

対、人ならざるものという共通点の他に
いずれも主人公は後天的に能力を会得し両者の中間的な存在であること、
それ故に双方の視点から正義が描かれるので
勧善懲悪になりえないということ。

自分の選択で一方の展望が大きく傾く、そんな全身全霊の葛藤をする場面に
私達は大きく心を動かされるのかもしれません。

自分は何者であるのか
それは古今東西、生きとし生けるもの全ての人が
課題めいたそれを考えるものではないでしょうか。
と同時に、結局何者でもなく無碍に生命を消費するだけの存在だと
認めたくないからこその足掻きとも言えます。

違う、誰かに認めてもらいたいんじゃない。
自分で自分の存在を肯定しないと、今にも消えてしまいそうだ。

そんな自問自答の拡大版が、彼ら半人間かもしれません。
だから私達は彼らに憧れ投影し、物語にのめり込む。
どうしようもなく普通な自分を認めてあげたくて
こうしたファンタジーに入り込む。

そんな絶え間ない探究心。
人間というのは、知恵を求める怪物なのだと、私は思います。
だから、知りたい情報を知らないというのが怖い。
知らないことを埋めようとして、私達は今日も電子の海を泳ぎ回ります。


閑話休題


なお、今回紹介した4つのアニメ、全て実写化しておりまして
私はそれも全部視聴済みです。

実写映画で一番良かったのはダントツで亜人ですね。
重要人物である主人公の友人が出てこないのでまったく違う展開ではありますが、美味しいとこはつまんでる感じ。





そして、なにより中田敦彦による解説が素晴らしいですよね。

寄生獣のやつは見ながら自分は泣いてました。熱い、熱すぎる。
原作を知ってる人は是非視聴あれ。

こういう説得力を持てる人になりたいなぁ。


今日のBGMはこちら↓

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nowplayingはL'Arc~en~CielFare Well

名作と名高いTrueの1曲目を飾るナンバー。
オープニングに相応しい静かな
されど壮大なバラードでhydeの美声がこれでもかと味わえる曲。
……と感じるのはおそらくファンだからで、客観的に聴くと多分
だいたい次曲Caress Of Venusの壮大な前フリみたいにも感じる曲。
実際カレスの方が人気あるし。笑
Kenはhydeの伸びやかな声を活かす曲を作ることが多いよね。
ソロだとそういうのは歌わないので、
なるほどこれがバンドマジックというものですね、というのが
非常にわかり易い例じゃないかなと思います。

そういえばHYDEも進撃の巨人を歌ってましたね。

YOSHIKIとHYDEの音楽ががここで邂逅するとは思っても見ませんでした。
YOSHIKIの悲劇主義なピアノをHYDEの感情を乗せる歌唱が見事アニメに合った佳作だと思います。

というわけで今日はこのへんで。



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