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“Japan to Global”を目指すシードベンチャーキャピタル、Asu Capital Partnersを立ち上げた理由

皆さんこんにちは!Asu Capital Partnersの夏目です!

先月、プレスリリースを出させていただきましたが、“Japan to Global”を目指す起業家を支援するベンチャーキャピタル、Asu Capital Partners(アス・キャピタル・パートナーズ、略称ACP)を共同創業者である李路成とともに立ち上げました!

昨年2月末に、East Venturesを退職してから早一年経ちましたが、皆さんにこのような形でご報告ができて本当に嬉しい限りです!プレスリリースの方では、今回設立したファンドと、ご出資いただいた投資家様や、スタートアップへの支援内容についてご紹介させていただいたのですが、こちらのnoteでは、ファームの創業経緯と、創業にかける思いや抱負、最後に私たちの投資方針についてお話しできればと思います!

なぜAsu Capital Partnersを立ち上げたのか

至ってシンプルな理由にはなるのですが、「日本発のグローバルスタートアップを支援したい」という一言に尽きると思います。プレスリリースでも一部書かせていただいた通り、ここ数年の間で、日本のスタートアップ市場のグローバル化が急速に進み、海外からもひっきりなしに投資家が日本市場の視察にきますが、依然としてグローバル市場にチャレンジする日本のスタートアップは少ないままです。

実際、2022年にシンガポールへ出張した際に、とある機関投資家から、「多くの日本のスタートアップと面談する際に、彼らは事業計画を出して、数年後に200-300億円ほどの規模で上場を目指そうとする。そして大半の企業は英語の資料がなく、あくまで日本国内の事業を前提としている。いくら日本がグローバル化を提唱していても、現状では私たちが投資する意味がないし、日本市場も成長しない」と断言されました。当時は悔しい気持ちでいっぱいだったのですが、同時に自分や業界全体を見つめ直すとてもいいきっかけでもありました。一帰国子女として、日本のスタートアップ業界にどのように貢献できるのか、また今後10年間、20年間と先を見据えたときにどういったポジショニングを置くべきかを考え抜きました。

そこで、ACPの共同創業者でもある李(当時はZVCに所属)と話し合い、一部海外投資家から注目が集まっている今だからこそ、日本で海外投資家や海外にルーツを持つ起業家を集めたカンファレンスを東京で開催しようと決め、2ヶ月でSequoia Capital China(現HongShan)のマネージングディレクターや、東南アジアで活躍するGobi Partnersのシニアパートナー、さらには日本と世界で活躍する起業家などを招いてクローズドのカンファレンスを開催しました。結果としては110名を超える参加者にご来場いただき、20時まで予定していたセッション後の懇親会も22時まで続くほどの熱狂ぶりでした。

2022年の12月に開催したイベント

開催するまでの2ヶ月は会場探しから、ゲスト集め、スポンサー集めなど、ロジ周りで相当苦労しましたが、来場した方からは「これまでこんな密でグローバルな会は日本で参加したことない」と評価いただき、疲れも全て吹っ飛びました。

開催した直後の振り返り会の中でも、今回のカンファレンスを起点に、どのように日本のスタートアップ・ベンチャーキャピタル業界のグローバル化に役立てるのかについて議論を続けました。カンファレンスのみを切り出して、非営利団体として運営していくのか、はたまたファンドに所属しながら、ボランティアベースでそういった活動をし続けるのかなど、様々なアイデアを李と年明けまで話し続けました。

その中で、自分たちが巡り会えた答えの一つが「新たにベンチャーキャピタルを立ち上げる」ことでした。もちろん、VCを新たに立ち上げることはそう容易なことでもなく、果てしなく長く、そして厳しい道のりだということは認識していましたが、それよりも自分たちの心の中でふつふつと沸き上がっていた「Japan to Global」への思いが議論を重ねるごとに強くなり、結果として独立という形で前職のファームから卒業することになりました(その際は皆さんに本当にご迷惑をおかけしました)。

独立してから直面した挫折と成長

今思い返せば、自分たちはかなりパッションドリブンで独立を決めてしまったなと反省しています。というのも、かなり当たり前なことですが、起業にせよ、ベンチャーキャピタルを立ち上げるにせよ、通常はしっかりと前準備を進めて、然るべきタイミングで創業に臨むケースが大半だと思うのですが、自分たちは先にお話ししたカンファレンスが最大のきっかけであったため、ちゃんとした前準備もなくかなりの短期間で意思決定をした後に独立をしました。そこから改めてコンセプトを固め、出資者の皆様へピッチに臨んだのですが、案の定上手くいかず、モヤモヤする日々が続きました。

その中で、とある企業の代表の方から「ポジショニングを改めて考え、ACPとして後々レバレッジが効く行動をした方がいいのでは」というアドバイスをいただき、これまで自分たちがいくらコンセプトをブラッシュアップしても、それはあくまで机上の空論でしかなく、やはり行動を通じて自分たちのファンドコンセプトを立証する必要性があると感じたので、4月からとにかく行動の回数を増やし続けました。

まず、私たちのメインコンセプトともなる“Japan to Global”をファンドとしても立証するべく、将来的に投資先のトスアップ先になりうる海外VCとの接点を増やしました。数だけでいうと、4月から6月にかけて110社以上のVCと海外でお会いさせていただき、私たちのファンドコンセプトをぶつけながら、日本市場の紹介と対日投資の可能性を探り続けました。中には毎年のようにMidas ListにランクインするVCから、各国のキングスメーカーと呼ばれるVCともお会いすることができました。

一見、無謀な行動に見えますが、この過程で私たちのファンドコンセプトを数段ブラッシュアップすることができたと同時に、日本市場に対する興味関心を改めて確認することができたのが何よりも大きな収穫で、自分たちの自信にもつながりました。もちろん、退職した直後で、あまりキャッシュがない中で世界中を飛び回り、時には空港や、友人の学生寮で寝泊まりしたのも今となってはいい思い出です笑。

空港で寝泊まりした夜

110社以上のVCと得た経験をもとに、私たちが次に臨んだのがイベントの開催でした。ファンドコンセプトは徐々に確立したものの、“Japan to Global”を実践する起業家の有無、そしてコミュニティの存在を証明する必要性があったので、帰国してからとにかくイベントを開催し続けました。結果的に自分たちが主催/共催/登壇したものを全て合わせると6月から12月の間に20以上のイベントをホストし、東京以外にも、京都、福岡、札幌、広島、国外だと韓国・ソウル、米国のサンノゼとボストンなどでイベントを開催しました。

韓国・ソウルで開催したジャパンスタートアップイベント
米国・サンノゼで開催したジャパンスタートアップパネル
with 当時まだa16zのパートナーだったConnie Chan
ハーバード大学で開催したハーバードジャパンデーのイベントは、ハーバード大学の
由緒正しい学内報である「The Harvard Crimson」にも取り上げていただきました

これまたファンドコンセプトをブラッシュアップした時のように、ほぼ狂気で動き続けた結果、素晴らしい起業家の皆さんにも巡り合うことができ、改めてファンドコンセプトと自分たちが作り上げたコミュニティ、そして日本のスタートアップ業界のグローバル化という時流が合わさった瞬間でもありました。そして、これまでとってきた行動も徐々にですが実を結び、MIXIさんを始め、素晴らしい国内外のLPの方々にもご縁をいただくことができました。私たちのことや“Japan to Global”というコンセプトを信頼してくださり、独立からちょうど一年経ったタイミングで一次募集を完了することができました。

(ファーストクロージングのタイミングで出させていただいたプレスリリースです!!!)

私たちが目指す先—「日本発のグローバルユニコーン」

私たちのファンドコンセプトである“Japan to Global”の目指す先は、ただ単に海外市場への参入というところだけではなく、「日本発のグローバルユニコーン」の誕生を支えることだと考えています。そのためにシードフェーズから私たちができることを徹底的にサポートする予定で、具体的には:

① 事業のブラッシュアップからの地域選定(グローバル市場において具体的にどの領域/地域にアプローチするか)

② 海外投資家との引き合わせ(早い段階から海外投資家にリーチアウトすることによる投資確度の向上と目線上げ)

③ リクルーティング(現地でのリクルーティングをファームのネットワーク通じてサポート)

④ 海外の事業会社とのアライアンス(まだまだ地域は絞られていますが、事業内容によってはアライアンスを提案)
などを実施する予定です。

“Japan to Global”を根底に、「日本発のグローバルユニコーン」の誕生を支えるために、私たちのファンドでは投資テーゼ(Investment Thesis)を策定しており、「日本のソフトパワーやブランド、課題先進国としての強みを活かし、ジャパンダイナミズムをグローバルマーケットで創造する」というテーゼのもと、四つのキーアイデアに分けて出資をしていく予定です。

四つのキーアイデアは:
① Emerging Global Issues
日本が課題先進国として、少子高齢化や労働人口の減少などといった問題にいち早く直面し、これらの問題に対するベストプラクティスを世界に提供できるスタートアップ。

② Beyond the Internet
従来のインターネットプロダクトを超越したサービス。日本から過去にSONYや任天堂など、世代を代表するインターフェースが誕生したこともあり、次世代のユーザーインターフェースが日本から誕生する可能性が大きくある。

③ Japan as a Brand
ジャパンブランドはグローバル市場から信頼を勝ち取り、ブランドにおけるMOATを確立している。インターネットプロダクトがコモディティ化する中で、最大の差別化はナラティブであり、日本はそのナラティブにおいて世界のプロダクトと差別化することができると考えている。

④ Japan as a Content
日本のソフトパワーは依然として世界を魅了しつつあり、日本風のIPを利用したプロダクトも世界のトップに立っている。

という以上の四つのキーアイデアとなります。実際、ファンドの投資テーゼもマクロの動態に沿って毎年見直しをすることもあるので、上記の投資テーゼにあまり当てはまらない!と感じた起業家の方でもぜひ一度コンタクトしていただけると幸いです。

色々とファンドコンセプトや投資テーゼについてお話しさせていただいたのですが、突き詰めるところ私が最も重視しているのは「人」=「起業家/チーム」というところになります。まさに私たちのロゴのモチーフも、シード期で最も大事である「人」という文字を据えているように、起業家が最も大事な要素だと考えております。

Asu Capital Partnersのロゴも、シード期で最も大事である「人」という文字を左に据えて、日の出前ーーー夜明けの光として、グローバルという晴れ舞台にて活躍するスタートアップをご支援したいという思いを込めて制作していただきました。

余談にはなりますが、2021年にシリコンバレーを訪問した際に、a16zのパートナーであり、FigmaやGitHubの投資家が知られているPeter Levineさんとお話した時にも彼は”僕は最後までFigmaがデザイナーのためのツールであり、マスに広がっていくイメージはなかったので、彼ら(起業家)を信じるしかなかった。そして最終的には彼らが僕の認識が間違いだと証明してくれた。投資家ができる最大のサポートは彼ら(起業家)を信じることだ”と話していました。私たちのファンドも、そんな「人」を最重視するファンドとして、起業家のサポートをしていきたいと思います。

まとめ

昨年開催したHC Summit 2023

色々書かせていただきましたが、一言でまとめると「全力でシード期からグローバル参入考えているスタートアップをサポートさせていただきたいです!!!」ということです!

なので、ACPに興味ある方、これから起業を考えている&すでにされている方、Japan to Globalを目指したい方は、ぜひ私か共同創業者である李にご連絡いただけますと幸いです!

私たちもベンチャーキャピタルを創業した起業家として、全力で起業家の皆さんを伴走したいと考えています!

これまで私たちが海外で培ってきた経験やネットワークを少なからずご提供できると思いますので、この日本のターニングポイントにおいて、ぜひ一緒に"Japan to Global"を実践していきましょう!

夏目のX(Twitter)

李のX(Twitter)

そして今日も世界のシードVCランキングであるMidas Seed List 2023の一位に輝いたPear VCのパートナーであるArpan Shah氏と7名の海外投資家をお招きし、イベント開催しました!めちゃくちゃ最高な会でした!!!

Pear VCのArpan Shah氏との対談
海外投資家との1on1ピッチセッション

長文読んでいただきありがとうございました!

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