最強の家飲みのお供「せんじ肉」との出会い
前置きである。
もう5年前くらいになるだろうか。
仕事で、とある小さな広告代理店の方と仲良くなったのだが、広島カープと縁のある方だった。
とあるカープの元選手が、メディアや講演に出る際のマネジメントをやっていたということだった。
その伝手で、代理店の方が広島カープの応援番組をネット配信でやろう、となったそうだ。
あまり売れていないお笑い芸人さんと女優の卵みたいな女の子をMCにした番組だった。
といっても、公式の映像を流せるわけもなく、ただテレビでカープの試合を観ながら、面白おかしく応援しているだけ、同接30人くらいの小さな番組だった。
そんな番組の、配信周りの手伝いを俺が昔いたシステム開発会社がやっていたのである。
割と面白いことも多く、週に1度の手伝いはなかなか悪くないお仕事だった。お仕事後はタダで缶ビール飲ませて貰ってたし。
そんなある日。
番組の手伝いをしているうち、番組を応援してくれているカープファンの方から広島土産を貰った。
広島土産の「せんじ肉」というものらしい。見慣れない代物。
割と広島ではポピュラーなのだそう。
味付けした牛や豚のホルモンを揚げて、乾燥させたおつまみとのことだった。
お初にお目にかかる代物だったので、臆病な俺は、おっかなびっくり食べてみた。
そして驚いた。
これが激烈に美味かったのである。
あたりめのような噛みごたえ、じんわりと出てくる肉の美味さと不思議なタレの風味………それが噛んでいる間、延々と楽しめるのである。
「これはビールに合わせなくては」と直感で思った。
止むにやまれず、仕事もそこそこに缶ビールを飲んでみると、もう林家ペー&パー子夫妻もびっくりの相性だった。
「ハッハー!」
脳内のパー子も嬉しそうにインスタントカメラのシャッターを切りまくっている。
そして俺は、
「これはっ!どっ、どこで買えるんですか!」
と、土産をくれた方に詰め寄らんばかりに問いただしていたのだった。
「いや~これ広島土産だからなぁ…」
空振り…
「あ、ググったらネットでも売っているみたいだよ~」
からの逆転ホームラン。
「すぐポチリますっ!」
俺はすぐにスマホを取り、Amazonで発注した。
それが「せんじ肉」との出会いであった。
それから、である。
Amazonで売っている「せんじ肉」のバラエティーセットを頼み、うやうやしく開けては、夜毎に酒のアテとして、それを嗜むようになったのは。
何しろ、何が良いって、
・ビールを始めとした、大体の酒に合うこと
・酒飲みの口寂しさを完璧に満たしてくれること
・スナック菓子のように手が汚れないこと(地味にこれがポイント高い)
・塩辛過ぎない味付けであること
と、酒飲みの我儘なお願いに100点の回答をしてくれるおつまみだったことだ。
欠点といえば、歯の隙間に挟まりやすいことくらいで、それすらもご愛嬌と思えるほどだった。
さらに、銀座に広島県のアンテナショップがある、と人伝に聞けば、
俺は単身お洒落な銀座へ赴き、「銀ぶら」する人達を掻き分けて、広島県のアンテナショップ「tau」へ駆け込んだ。
そして、山ほど「せんじ肉」をカゴに放り込んで、毎回1月分は持つであろう量を買い求めた。
そんな日々が続いた。
俺と「せんじ肉」の蜜月であった。
しかしながら、仕事が忙しく、なかなか銀座に赴けない時期がやってきた。
家にある「せんじ肉」の在庫が尽き、「禁断症状」すら出かかっていた。
俺は立派な「せんじ肉」ジャンキーになっていたのである。
俺はどうにかネットで買えないか、と日々の隙間を縫って調べた。
勿論、Amazonでも買えるのだが、この頃は「tau」で売っている、より純度の高い「せんじ肉」でないとキマらなくなっていたのである。
そんなある日、広島は「植田商店」というお店がネットショップで「せんじ肉」を通販しているのをネットの海から見つけることができた。
しかも、俺が銀座の「tau」で買っているより幾らか安くも買えるようだ。
しかしながら、よく知らない店のネットショップだったので、やや怖さもあった。ちゃんとしたまともな「代物(ブツ)」が届くのだろうか、と。
そういや、広島って『仁義なき戦い』の舞台だったな、と思い出してしまい、尚恐怖を駆り立てた。よくわからないが、変な注文をしたら、「じゃけんのう」と怖い人がやってくる妄想にさいなまれた。
しかしながら、恐る恐るショップのアカウントを造り、試しに12パックセットをポチってみたのである。最初は慎重に、とは思ったが、12パックセットは送料無料だったのだ。
そして、どうにか無事に植田商店さんからの荷物が届いた。
ゆうパックという運び人によって届けられた。
ゆうパックは「置き配」が無い。
基本的に玄関受け取りである。
それもまた、代えの効かない物々交換を思わせた。
そして、俺は怪しい配達人から「代物(ブツ)」を受け取った。
「確かに」
そんなことも呟いた気がする。
包みを受け取り、封を切る。
と、そこには…
保存に便利なパッキンのついた「せんじ肉」が12袋も!
ちゃんと届いたぞ!(当たり前なのだが)
それは待ちに待った瞬間だった。
そして、今晩から「せんじ肉」を12袋も楽しめるのか!と感動したのを昨日のように覚えている。
心配された肝心の味も、流石は広島直送、ちゃんと美味かった。
久しぶりの「せんじ肉」はトリップ出来そうなほどに美味かった。
それからはずーっと、植田商店さんのヘビーユーザーである。
思い起こせば、月に1度は発注している気がする。
今、俺のベッドの枕元には必ず「せんじ肉」があって、俺はそれだけで安心できる。
寝酒のお供に、延々とモグモグできる力強いお供である。
最早、精神安定剤と同列の存在になりつつある。
お酒が好きな貴兄で、まだ試したことのない方がいたら、是非試してみてほしい。
言いたかないが、未食の御仁へ。
食ってみろ、飛ぶぞ、マジで。
以上、俺が思う、家飲みのお供の最強おつまみ、「せんじ肉」の紹介でした。
敢えてネット通販のURLは貼りません。
だって皆が注文したら俺が頼む分が届くの遅くなるじゃん。
そこは自力で辿り着いてくださいね。
それでは、今日も「せんじ肉」キメながら、酒を飲んでまいります。
それでは
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