面白いおっさんと帰った話
僕は首都圏の某警備会社でバイトをしてます。何をしてるかというと、工事現場に立って車や歩行者を誘導してます。
寺崎さんと知り合ったのは工事現場で仕事してるときです。休憩中に話しかけてくれる優しいおっさんで、河野太郎を巨大化したみたいな見た目です。仕事中はいたって真面目、人当りがよく、ルールに厳しくなく、好かれるタイプの人です。
帰りが同じ電車だったので、お話ししながら電車に乗りました。電車のドアが閉まったその時です。
「ヒューッ!」「えっ」
タタンタタンッタタン……
「でさぁ…」
(いやいや何いまの!?)
口元をすぼめて細く息を吐きだしたんですww一応言っておくとそこそこ人の乗っている電車の中でそこそこの大音量だったので当然目立ちましたww
この人、ヤバい人か!?と思いかけましたが、でもそれ以上にこう思いました。
(に、似てる……!!発車前のガス音に!)
寺崎さんは普段列車見張りの仕事をしていて、とにかく電車が大好きだったそうなんですね。電車がすきすぎるあまりに列車のガス音を聞き分けて、それを完全に物まねできるようになったらしいんですよwwwしかも、車種ごとに聞き分けてマネできるそうなんですww
でも普通やるか!?こんな衆人環視の下で!?w
と、驚いていたその時です。3カ月ほど前に全く同じことを電車の中で体験したことを思い出しました。その時はすげえ変な人いるとしか思わなかったんですけど、もしかして……。
「あの、寺崎さん10月ごろに○○線の○○駅で降りました?」
「ああ!その駅で列見の仕事あったからね!もしかして君、おれの正面に座ってた子?」
ばっちりこの人だった~~!!wwwあの時会ってたのか~すごく強烈に覚えてるwwwまさか人生初の「あー!あの時の!!」を強烈なおっさんでやることになるとは思いませんでしたねw
この後、「なぜか俺、人に覚えられるし街で普通に歩いてて声かけられるんだよね。」「そりゃ忘れないですよ、めちゃくちゃインパクトありますもんw」という話をして電車降りました。
改札前で「家どっち?」「僕○○方面で~」と話していると
ふと、後ろのほうで「寺崎さんですか?」と若い男の子の声がしました。
彼は山本君という、昔列見で寺崎さんが教えていた子でした。そこで大層丁寧に教わっていたそうで、その経験を生かして今では列車関連の仕事をしているんだとか。しきりに感謝の言葉を述べていました。
この仕事がきっかけでやりたいことが見つかる人もいるんだ(バイト並感)と思いました。大卒で、就活を経て将来は決まるもんと思っていた自分とは全然違う人生を歩んでいる人をみて、もし自分がこの人の立場だったら、と考えました。
「山本さん、寺崎さんってどんな人ですか?」
「めちゃくちゃイイ人です!」
彼の眩しい笑顔で、なんだか僕は胸がいっぱいになりました。きっと、列見の仕事も一時的なもので、将来何するかなんて僕だったらきっとわからなくて不安になるでしょう。そんなとき、面倒見てくれる先輩の存在ってどれだけ大きいものなんでしょうか。きっと、一緒に働いて、将来を決めていいと思えるほどに楽しかったんだろうな。
帰り道、「○○君がいい人でよかったよ!また仕事しようね!」と言ってくれて、「こちらこそ、寺崎さんとぜひ仕事したいです!」と話した。
(すごくいい人だ。でも、)
「この仕事いろんな人間いて、嫌な思いするかもしれないから、もしなんかごちゃごちゃ言ってくる奴がいたらケツに爆竹入れて新聞紙燃やしてやるからよ!!」
「いや、そんなことしなくて大丈夫ですから!!ww」
やっぱり可笑しくて、面白い人ですw
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