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コロナ危機に思うこと

INDEX
【危機管理に最も大事な事前告知】
【危機管理の基本: 早期初動と未然防止】
【不安、不満、無関心という危機】

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 今回は私がエグゼクティブスーパーバイザーをしているプロバスケットボールクラブ「ベルテックス静岡」での出来事を記していきたいと思います。ベルテックスでは、出来て間もない会社ながら、社長を始め社員の皆さんがキチンと内政実務をやってくれているので、私はもっぱら外回り営業(暑いでしょうからと、殆ど社員達が車で迎えにきてくれます@大感謝!)で実弾集め(法人営業)に明け暮れています。財界の皆さんにはコロナ禍の中、経営の舵取りが難しい状況となっているにもかかわらず、こういう時期だからこそ「市民の皆さんには、少しでもスポーツを通じて笑顔や潤いが必要」との私達の訴えを聞き入れていただける法人さんも少なくなく、ありがたいことに、現段階では予算達成に向けた巡航速度を保てています。あらためて皆さんには厚くお礼申し上げます。

【危機管理に最も大事な事前告知】
 
 さて、先日弊社クラブ選手が発熱し、PCR検査をする旨のリリースをさせていただきました。

その後、陰性であったことをリリースしています。

 この新型コロナウイルス感染に関する情報開示の仕方について、クラブや業界によって少しずつ異なっていることが少々気になります。ベルテックスでは、上述のように、先ず感染の有無の前に、その可能性が出た時点、今回の場合は「発熱」の時点で情報開示をするように致しました。クラブによっては「陽性」の時点で開示していますが、ベルテックスではあくまでも『アドバンスノーティス(事前告知)』を重要視しています。そして、その中には、発熱に至った経緯や、それまでの主な行動履歴、体温等、管理状態の開示も含まれることが必要です。

 事前告知をしやすくする上での大前提として、「感染=悪」と決めつけないことです。よく陽性となった方が謝罪をしている場面を見かけます。しかし、日頃から最善の注意をもって感染防止行動をとっている人でも、感染することもあり得ますし、感染された方は患者さんです。そうした方に対して一律的にネガティブな反応を示すことは、本人が傷つくばかりでなく、事前開示に対しても後ろ向きになってしまう可能性も出てきてしまいます。憎むべきは人ではなくウイルスとの思いを持って、積極的な開示の雰囲気作りをしていきたいと思います。

【危機管理の基本: 早期初動と未然防止】

 危機管理の基本は、『早期初動と未然防止』と経験上学びました。先ずトラブルの予兆を早期に察知し、大事に至る前にトラブルを回避または最小限に抑える姿勢とルールがとても大事になります。そうした点で事前告知は、あらゆる可能性に対する早期初動準備のスタンダードです。濃厚接触者の有無を事前に当該者が自覚する猶予を担保出来ること、陽性となった場合に備えた隔離準備や、濃厚接触者のPCR検査準備等々、陽性になってからではなく、発熱の時点より粛々と進めることが可能となり、クラスターは勿論のこと、感染拡大の芽を少しでも摘み取っておく、所謂未然防止の端緒を開くことにもつながります。

 こうした危機管理の基本は、新型コロナウイルスへの対応ばかりではありません。大地震、豪雨等の自然災害、あるいは事故、火災、不祥事といった人為災害にも当然準用されるべきです。しかし、最も大事な領域は、スポンサー、お客様、社員、チームスタッフといった私達の事業に関わっていただいている全ての方々への不安全要素領域だと思っています。ここへのアラートは、危機管理の最も大事な部分です。またアラートは、「安全」だけでなく、そうした方々の会社やチームに対する「満足度」も大事な危機管理要素として、同じようにとらえておくべきです。

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【不安、不満、無関心という危機】

 もしも、そうした方々からチームや会社への応援がなくなってしまったら、私達の事業は立ち行きません。かつては会場を埋め尽くしたお客様からそっぽを向かれ、閑古鳥となった興行は考えただけでも恐ろしくなります。多くのスポンサーさんで埋め尽くされたユニフォームや看板が、蜘蛛の子を散らすようになくなってしまった会場は寂しいを通り越して会社存続の不安すらかき立てます。私はそうした光景を何度か見てきていますので、会社やチームへの満足度については最大限のアラートを立てるべきと考えています。建屋が壊れたり、人が怪我をしたり、横領等の不祥事となったりするわけではありませんが、会社存続のための危機管理因子としてのMax Value とすべきでしょう。

 そしてその満足度は、KPI(Key Performance Indicator )として管理されるべきです。その際の切り口は、対象となるスポンサー、お客様、社員、チームスタッフの「不安」「不満」「無関心」の度合いです。例えばスポンサーやお客様に対して、チームが良いパフォーマンスをお見せ出来なくなった時、或いは誠実で期待したサービスをクラブから与えられなくなった際の要素を特定し、それらの危険水域を不安、不満、無関心、それぞれで類別した上で極力数値化します。また、チームや社員に対しては、気持ちよく働けているかどうかについて同様に要素化、数値化しておきます。また、数値化の際には、SNSを駆使したアンケート調査やモラルサーベイもいいでしょう。加えて、セキュリティに気を配った内部通報制も必要だと思います。要素化の中身ですか?…それは企業機密ですので、別の場でのお話ということと致しましょうか。

 いずれにしましても、様々な危機に際して、それを未然に、或いは最小限に抑えること、その為にアラートを高くして事前告知をもって早期初動を図ることは、とりもなおさず企業防衛上の必須パフォーマンスとして粛々と対応していきたいと思います。特に皆さんの人心(ひとごころ)に関わることには、特段の誠実さを持っていかねばと肝に銘じております。

※本内容はベルテックス静岡(B3)HIDARISAN'S EYEにて掲載されているもの同一です。ベルテックス静岡に特化したコラムはHIDARISAN'S EYEにてお楽しみいただけますと幸いです。

https://note.com/veltex/n/n13c71809b1a2


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