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拝啓お母さん

お母さんが旅立ってから2年と8ヶ月が過ぎましたね
天国ではどんな姿ですごしているのでしょうか?

帽子とゴーグルそれからマスク
まさかそんな姿ではないですよね

まだ花粉症があまり知れ渡っていなかった小学生時代
お母さんはまだ出回っていなかった花粉症対策の品物の代わりに
そんな姿をして町を歩いていましたね

あれは小学生の中学年の頃でしたね
友だちたちに笑われていましたがお母さんは
それを上回るくらい元気に笑っていましたね

そちらは杉も桧も稲も花粉をバラまいていないでしょうか
まさか今も苦しんでるなんてことないですよね

冬以外ずっと花粉症で悩んでいたお母さん
この季節は稲科の植物を見ると
苦しむお母さんではなく
鼻をぐしゅぐしゅさせながらも笑っている姿が目に浮かびます

小学生の頃の私はお母さんの姿が恥ずかしくて
どこかへ逃げていっていましたね

大人になってからは私より小さくて夢見がちで
大人と子どもの感性を持ったそんなお母さんが
可愛くて愛おしくてたまりませんでした

小学生時代と言えば
アオダイショウが出たと誰かが言うと
どこからともなく現れたお母さんを思い出します
そうして子どもたちの先頭に立って
アオダイショウを追いかけ回す姿はガキ大将ようでした

いつでも子どもと同じ目線でいられるお母さん
一緒に遊びながらも子どもの安全をちゃんと見ているお母さん

思い出すと心が温かくなります
そしてこれを書いている今も頬がほころびます

変わり者で他人の目を気にしなかったお母さん
愛情深かったお母さん

そんなお母さんも更年期には苦しめられましたね
訳も分からず怒ったり怒鳴ったり
あんなに温厚で優しいお母さんの変化に驚きました

お父さんが私たち兄弟を集め更年期について説明しましたね 
それでも訳が分かりませんでした

更年期が終わると更年期前より
ずっと穏やかになりましたね
後でお父さんに聞きましたよ
更年期のことを悔いていたことを
自分じゃどうにもできない問題だったのに
ずっと旅立つまで笑いながらも苦しんでいましたね

更年期もさすがに邪魔しにきませんよね
だから更年期のことは忘れてください

お母さんのコントローラーが一瞬壊れたにすぎないのですから
大元のお母さんは壊れても変わってもいませんでした
いつもどんなときも大好きですよ

お母さんのようなお母さんになれるように頑張ります
そしてまたいつか会えたとき甘えさせてください

私はこれからお母さんのように
母親として色々な苦しみと向かい合うことになると思います
ですが太陽のようなお母さんに負けないくらい
温かな愛情と責任感を持って生きていきます 

苦しみを閉じ込めたまま
さよならを言わせてごめんなさい
あんなに急に目の前からいなくなるのなら
愛された分返したかったです

2人で最後に散歩した日を覚えていますか?
そう お母さんと無言でお別れを告げた2日前です

最期まで心配かけましたね 
あの日は2月だと言うのに暑かったですね
今日も長袖で歩いていると暑いくらいです

たまにふと思うのです
あの日たくさん歩いた分
天国へ近づいてしまったのではないかと

たまにふと自分を責めるのです
あの日あんなに歩かせたことを

こうして振り返ると良かったことも大変なこともありましたね 
青空を見上げると不思議と笑顔しか浮かんでこないのです
 
それはきっと空の上でお母さんが笑っているからでしょうね  
私も笑っていられるように
毎日を人を大切にしようと思います

ただ一つ欲を言うのであれば
お父さんにお別れの言葉くらいかけてあげて欲しかったです 
今でもお母さんの影と一緒に生活しています
お母さんのことを本当に愛していますよ
お父さんがそちらに行ったときは
力を合わせて4人を育てあげ
2人の時間がとれなかった分
手をつないであちこちにお散歩に行ってください
お父さんの不器用な気持ちを
笑顔でうんうんと聞いてあげてください
涙を流したらそっと受け止めてあげてください

こちらではそれをしてあげられる人は
誰一人いないのですから

お母さんがお父さんを愛していたように
お父さんもお母さんのことを真底愛していました

そんな二人の元に生まれて幸せです
お母さん 貴女はいつでも太陽です





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