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輪切り大根 頬にペタ コロナ禍も 奇祭絶やさず 長面・大杉神社「アンバサン」

 令和元年から石巻市民俗文化財に指定されている長面地区の伝統行事「アンバサン」が7日、同地区の北野神社末社・大杉神社(高橋範英宮司)で行われた。コロナ禍で参加者数を制限し、震災犠牲者供養とコロナの収束、地域の大漁豊作と無病息災を祈った。【横井康彦】

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感染対策のため少人数での開催となった

 アンバサンは、長面地区の同神社例祭として400年以上前から続く奇祭。茨城県から岩手県に散在する大杉神社は「安波山」とも称されており、主に沿岸漁村地域で船舶の航海安全や大漁の神様として信仰を集める。

 震災後に人の住めない非可住地域となった長面地区だが、アンバサンは離散した当時の住民が再開できる場として、例年多くの人が集っていた。コロナ禍の今年は総代と一般代表者約15人に制限。鍋釜から集めた「すす(ヘソビ)」を輪切りの大根に付け、顔に塗り合う独自の習わしも代表者制とした。

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高橋宮司から顔にすすを塗り付けてもらう代表者

 高橋宮司からマスク越しに頬や額に丸いすすを付けられた参加者は、太鼓に合わせて「大漁大漁大漁だー」「満作満作満作だー」などと海側に向けて唱え言葉を三唱。恒例の餅まきは行わず、各自に袋詰めで渡された。

 小船越地区の復興住宅で暮らす三條すみゑさん(62)は「コロナで中止が相次ぎ、アンバサンも行われないのではと心配した。ここは震災後、離れ離れになっている人たちと近況を語り合える大切な行事。今後も絶やさず続けてほしい」と話していた。


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