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「歩行者優先」浸透せず 信号機ない横断歩道 一時停止率 宮城が全国ワースト

 日本自動車連盟(JAF)が昨年行った「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」で、宮城が全国ワーストの5.7%だったことが分かった。石巻署管内でも昨年1年間の横断歩行者妨害取り締まり件数が500件を超えており、日頃の交通安全に対する意識醸成が急務となっている。同署は交通安全関係団体と連携し、悪しき習慣の是正に向け動き出した。【横井康彦】

 JAFは昨年、9434台を対象に信号機のない交差点で歩行者が渡ろうとしている場面で、正しく一時停止した車両台数を調査した。その結果、停止台数は2014台(21.3%)だった。

 全国の停止率トップは長野県の72.4%で、次いで兵庫県(57.1%)、静岡県(54.1%)。下位は岡山(7.1%)、東京都(6.6%)で、5.7%で最下位の宮城は、横断待ちしても20台に1台ほどしか停止していない計算だ。

ノート用横断歩行者妨害是正へ (2)

 長野県では、児童生徒が横断歩道に待機している場合、大半の車が停止する。「車に止まってもらった」という経験を得た児童生徒が大人になり、運転手として実践する「おもいやり運転のサイクル」は、理想的なモデルとされている。

 ワーストの宮城県は前回調査でも47都道府県で42番目の停止率(7.4%)。今回を含め、5年連続で数値が低迷している。石巻署管内も横断歩行者妨害の取り締まり件数が高止まりの状態だが、あくまでも違反件数は氷山の一角。実際、交通事故で亡くなる歩行者の7割は、道路横断中に起きている。裏を返せば、一時停止が正しく実践されれば死亡事故は減らせる。

 現状を打破するためには、車を利用する地域住民の意識改革が不可欠。そこで石巻署は、石巻地区交通安全協会や同安全運転管理者会などと連携し、自動車後部のガラスや車体に啓発ステッカーを貼り、他の運転手の目に訴える「交通安全マナーアップモデル車」事業の実施に向け、準備を始めた。

石巻署 啓発へ新たな取り組み

 ステッカーは、信号待ちなどで後続車両の運転手の目に留まるよう、黄色を基調に「交通安全マナーアップモデル車」「歩行者がいたら 横断歩道で止まるっちゃ!」などの文言を入れる考え。繰り返し脱着可能で、長期間貼っても車体を傷めない素材を取り入れる。

 今後は2月にも同署が「マナーアップモデル車」として交通安全関係団体を委嘱し、日常の運転を通じ、一時停止を訴える〝広告塔〟を担ってもらう。ステッカーは各団体が自費で必要数を用意する。

横断歩行者妨害是正へ (1)

ステッカーの試作など本格始動へ準備が進む

 石巻署は「横断歩道は歩行者が唯一守られるべき場所であり、車は必ず停まらなければならない。取り締まりを通じて、横断歩道上での人身事故件数は減らせているものの、ゼロには至っていない。地域には、職業運転手として交通安全に力を入れている企業などが多く、賛同を得られれば、マナーアップ車での啓発機会も増える」と期待を寄せる。また、「公用車や職員の通勤車両に貼ってもらえば、効果も上がる。石巻圏域全体で歩行者を守ろうという環境を生み出していきたい」と自治体の協力を仰ぎたい考えだ。

 悪しき運転習慣は本人が望まなくても、おのずと交通事故の発生率を高める。運転手は家族に接する気持ちでハンドルを握り、歩行者も乱横断はせず、横断歩道を活用すること。当たり前のルール定着へ、「おもいやりが目に見える街」の実現に向けた一歩が踏み出される。


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