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東松島市 復興ハード事業ほぼ完了 聖火到着の地、私立高も開校

 SDGs未来都市の東松島市は、令和2年を「復興へのロングラストスパート」と位置付け、事業の総仕上げと地方創生に力を注いできた。ハード事業は12月現在で95%超の進行を見せ、残事業も年度内完成を予定。3月には、東京五輪の聖火が航空自衛隊松島基地に到着し、地域を盛り上げた。小野地区に誘致を進めてきた石巻圏域初の私立高校「日本ウェルネス宮城高校」も4月に開校。コロナ禍でも着実な歩みを進めてきた。

 インフラ整備は、4月に県道大塩小野停車場線の「上小松バイパス」(延長1.2キロ)が開通。8月には都市計画道路矢本門脇線(大曲工区)も供用開始となり、石巻市側の県道門脇流留線との合流が待たれる。

 10月は野蒜地区の住宅被災跡地に奥松島運動公園が移転再建され、赤井雨水排水場の整備も完了。これにより市内6排水区が整い、近年規模を増す風水害にも対応可能な防災力を得た。11月には老朽化が進んでいた石巻地区消防本部東松島消防署も矢本東市民センター西側に建て替えられた。

 地方創生分野は、人口減少対策として誘致を進めてきた日本ウェルネス宮城高校が4月1日に開校。学校法人タイケン学園が運営し、普通科3コース制(進学、スポーツ、グローバル)の全寮制で本年度はスポーツコースに22人が入学。新型コロナに伴う休校措置で、6月上旬から本格的に始動した。

聖火到着式 規模縮小もブルーインパルスも予定通り飛行

3月にギリシャから東京五輪の聖火が到着

 地域の持続可能性を高める取り組みとして、市では三陸自動車道上り線矢本パーキングエリアへの道の駅整備を目指すプロジェクトチームを庁内に発足。道の駅は、復興事業の土取り場となっていた市有地(国有地含む)計1.7ヘクタールを活用し、既存施設と併設する形で石巻地方の地場産品を扱う物産所などを設けるもの。令和5年度完成に向け、国との調整が進む。

 また行政運営の指針となる第2次総合計画を、SDGsの理念に即したものにしようと、7月に渥美巖市長を本部長とする策定チームを設けた。コンサルタントへの委託を取りやめ、策定経費も削減。市総合開発審議会や民意も反映し、官民総参加型の計画にまとめた。

 来年は移転新築が進む鳴瀬桜華小学校校舎が完成し、野蒜地区の防潮堤整備も完了。夏には野蒜海水浴場も10年ぶりに再開となる見通しで、市コミュニティセンターの大規模改修も始まっていく。

 順調な進行の復興事業の間も、新型コロナの脅威は地域に大きな影響を与え、飲食、宿泊、観光業を中心に打撃を受けた。東日本大震災の追悼行事は感染防止対策を講じて実施したが、東松島夏まつりや航空祭、海開きは軒並み中止した。

 市内でも感染症患者が増加していることから、陽性者やその周囲を守る取り組みとして不当な差別を防止する独自の条例を制定。誰もが安心して住み続けられるまちづくりの実現に、ウィズコロナの在り方を加えた。

 来年度からは総合計画後期基本計画を指針としてまちづくりが進められていく。震災で傷ついた市民の心に寄り添いつつ、新型コロナに警戒しながらの歩みとなる。加えて、4月には市長、市議選も予定されている。震災から10年。ポスト復興への歩みも本格化していく。【横井康彦】


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