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注目の防災アプリ「特務機関NERV」 石巻出身・石森さん開発 130万ダウンロード突破

 東日本大震災以来の大きな揺れを感じた2月13日。あらためて備えの大切さを感じた人も多い。そんな中、ベンチャー企業「ゲヒルン」(東京都千代田区)が運営する防災アプリ「特務機関NERV」が注目されている。令和元年9月の立ち上げから評判を呼び、ダウンロード数は130万を超えた。開発責任者は、石巻市出身の石森大貴さん(30)。震災経験から正確で早く分かりやすい情報提供に情熱を燃やす。【本庄雅之】

 ゲヒルンもNERVも、人気アニメ「エヴァンゲリオン」に出てくる用語。石森さんが大ファンだったことから名付け、アプリのテーマや内容が評価され、著作権者から認められた正式な名前だ。

 気象、災害情報を提供する防災アプリは現在150種類ほどあるが、NERVは速さが際立つ。契約事業者が気象業務支援センターから一次情報を受けるのは、どのアプリも同じだが、データ処理して早くアップするのが各社の腕の見せ所。「たくさんの情報を同時に処理するプログラミングを日々研究している」と石森さん。

日々開発に余念がない石森さん

石森大貴さん

 さらに独自のデータ収集をする定点観測カメラを全国10カ所に配置。その一つは石巻市にある。コロナ禍で作業が滞っているが、将来的には数を増やす予定という。

 アプリの使い勝手にも気配りがある。石森さん自身、色覚不調のため、一般の人を含め見やすい色使いを心掛け、文字も読みやすくデザインした画面が特長。石森さん以下各分野のエキスパート8人で開発した。

 出発点は震災体験にあり、当時、東京で仕事をしていた石森さんは、渡波にいる母親らと連絡が取れず「死んだと思って覚悟した」。4日後に無事が判明したが、家は全壊だった。

防災アプリ・2月13日の緊急地震速報(警報)の第一報

「特務機関NERV」のスクリーンショット

 「情報がなかったこともあるし、誤った情報で救えなかった命があったのでは」と考え、救命につながるツイッターを考案し、アプリに行き着いた。本業は企業などのセキュリティチェック。そちらの利益をアプリの開発につぎ込んでいる。

 渡波小学校時代の恩師の励ましもあり、独学でデジタル分野の勉強を重ね、才能を開花させた。筑波大学時代に起業し、業績を伸ばしてきたが、「まだ足りない機能もある。日々メンテナンスしないと」と気を引き締める。

 「石巻の人の役にも立っていると聞き、うれしく思う。ただ、災害の時はいろんな情報に接し、最終的に判断するのは自分自身だということを忘れないでほしい」と強調した。


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