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保存求め再び監査請求 サンファン 世界ネット 白田会長「文化、歴史的価値高い」

 復元船サン・ファン・バウティスタ号=石巻市渡波=の解体に反対し、補修保存を求める市民団体は14日、県監査委員に公金支出の差し止めなどを求める住民監査請求を行った。2回目であり、2月に実施した前回は予算成立前を理由に却下されていた。【本庄雅之】

 請求したのは、10以上の団体、個人で結成する「サンファン号保存を求める世界ネットワーク」(白田正樹会長)。県議会で本年度予算が可決されたのを受け、改めて監査請求した。結果は60日以内に通知される。

 代理人の松澤陽明弁護士は「サン・ファン号の展示を終了し、解体するという財産の管理処分を行うことを中止させ、解体を行うための契約締結、公金の支出を防ぎ、必要な措置を講じるよう勧告することを求める」と請求主旨を説明。横浜国立大の平山次清名誉教授(造船工学)は保存案も提出した。

サンファン監査請求

監査請求の書面を提出した松澤弁護士(左)

 白田会長は「復元船はイベントや観光が目的だったのか。それもあったかもしれないが、歴史的偉業を伝え、世界の人々との交流も船大工の技術が凝縮された復元船の建造によって生まれた。修繕不可能と簡単にあきらめてよいのか。最後まで手を尽くしたと県民が納得できるよう、再検討してほしい」と声明を読み上げた。

サンファン監査請求 (3)

会見する白田会長(右から2番目)らサンファンネットのメンバー

 手続き後、会見した松澤弁護士は東日本大震災で折れたサン・ファン号のマストの修復で、カナダから木材を提供された事実に触れて「10年経たないうちに壊すのは、カナダに対しても恥ずかしいことではないか」などと指摘。白田会長は「引退していた船大工が結集して建造された奇跡ともいえる、二度と作れない思いのこもった復元船は単なるレプリカではない。文化的歴史的な価値が高い」と強調した。

 1月から始めた保存に賛同する署名は、ウェブも含めて7千筆以上集まったという。

 県が老朽化を理由に今年秋以降にサン・ファン号を解体する予定であり、新たに4分の1大の繊維強化プラスチック製で後継船の建造を計画している。


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