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文化、歴史の拠点完成 石巻市博物館あす開館 英吉「海の三部作」帰還

 マルホンまきあーとテラス=石巻市開成=に完成した石巻市博物館の開館記念式典と内覧会が1日に行われ、市民待望の施設がお披露目された。かつて南浜町の石巻文化センターで被災した彫刻家、高橋英吉の作品や全国に知られる毛利コレクションをはじめ、石巻の歴史を凝縮した展示内容。オープン初日の3日は無料開放される(午前9時から午後5時)。

 齋藤正美市長は「開館にこぎつけられたのは、文化財レスキューに携わっていただいた皆さんのおかげ」と感謝。その上で「石巻の文化創造の拠点として発展していくことを望む」とあいさつ。テープカットの後、招待客ら約80人が内覧した。

 博物館のテーマは「大河と海に育まれた石巻人スピリッツ」。常設展示室の入場口からすぐ右側にあるのが、英吉の展示室だ。湊出身で「潮音」が昭和14年の新文部省美術展で特選を受賞するなど将来を嘱望されながら、31歳で戦死した英吉の代表作「海の三部作」が帰ってきた。

市博物館開館記念式典 (75)

内覧会で高橋英吉の「海の三部作」に見入る人達

 3体並ぶのは、レスキューされた後、東京で展示されて以来約7年ぶり。ほかに20点余りが並ぶ。長女の版画家、高橋幸子さんの作品との「父娘展」が3日から12月3日まで開かれる。

 また、住吉町の毛利総七郎氏が生涯をかけて収集した10万点以上と言われる毛利コレクションにも独立した展示室が設けられた。アイヌの衣装やたばこ用具の根付など全体のごく一部ながら見ごたえ十分。歴史文化展示室は、先史から近現代まで5つのコーナー。伊達政宗から北上川の治水を手掛けた川村孫兵衛への書状原本や鋳銭場で使われた坩堝(るつぼ)などが目を引く。

 ほかに人権弁護士として知られる蛇田生まれの布施辰治ら石巻ゆかりの先人の紹介も。企画展示室では、開館記念「文化財レスキュー 救出された美術作品の現在(いま)」が開催される。

 東京から訪れた東京みやぎ石巻圏人会の小林美恵子会長は「こういう場所ができてうれしい。すばらしい展示を会のホームページで紹介したい」と話した。

 施設は月曜休館。入場料は常設展が一般300円、高校生200円、小中学生100円。企画展示室は一般500円、高校生300円、小中学生150円(以上の料金で常設展も入場可能)。【本庄雅之】


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