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支え合いの心根付かす とっておきの音楽祭東まつしま 来年以降休止

 障害の有無に関わらず共に音楽を楽しみ、心のバリアフリーを目指す「第17回とっておきの音楽祭in東まつしま」が24日、東松島市コミュニティセンター周辺で開かれた。コロナ禍以降、開催に伴う資金やスタッフ集めが難航し続けていることから今回を最後に音楽祭の休止を決定。主催する同実行委の本田和彦委員長(66)は「音楽を通して皆でつながるという心が地域に息づいたように感じられる。少しは地域の役に立てたのかなと、うれしく思う」と目を細めていた。

 休止前、最後となった音楽祭には市内を中心に約30団体が出演し、屋内外の計3ステージで歌や演奏、ダンスなど趣向を凝らした演目を展開。そろいの黄色いシャツ姿で出演した夢みの里合唱団は約100人で声と心を合わせ、「負けないで」「花は咲く」など4曲を披露した。出演者の大森勝広さん(53)は「緊張したが、たくさんの人に聞いてもらえてうれしかった」と満足気な表情を浮かべた。

声と心を合わせた合唱を披露する出演者たち

 同祭は「みんなちがって、みんないい」を合言葉に平成17年に初開催。本田委員長はこの前年、仙台市であった「とっておきの音楽祭」のステージでダウン症の少年が楽しそうに踊る様子に感銘を受け、「東松島でも同じことができないか」と考えたのが契機という。

 コロナ禍で2年間中止した以外は東日本大震災があった23年も時期をずらして開催。来場者1千人余、100団体以上が出演した年もあり、市内外から多くの人が訪れる一大行事に成長した。矢本駅前の旧国道やイオンタウン矢本など会場を複数個所に分けて開くため、街歩きも楽しめるなど、地域活性化の相乗効果も生んだ。

住民や支援者への感謝を語った本田委員長(

 だがコロナ禍を境に運営資金に苦しみ、スタッフの数も不足したことで今回を最後にイベントの休止を決定した。本田委員長は「終わりではなく、あくまで休止。祭がつないでくれる人の輪や活力には可能性がある。だからこそ、若い世代など誰かが思いをつなぎ、後をついでくれればと思う」と話していた。

 実行委は今後も、各地で「音を楽しむカフェ」を移動開催し、ミニライブを通じて障害のある人とない人の交流の場を作り続けていく。「支えてくれた皆への感謝を胸に、これからも地域に小さな明かりを灯す活動を続ける。音楽を通して1人でも2人でも前向きになれる人を増やしていきたい」と思いを語っていた。【山口紘史】





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