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「未耕作農地の活用」 ③対応 貸し手、借り手の仲介者

 遊休農地の調査・指導に当たるのは農業者の代表で構成する農業委員会と、同会で委嘱した農地利用最適化推進委員会。毎年8-9月ごろ農地パトロールを行い、地域の現状把握。再生可能な遊休農地は10-11月ごろ所有者自身で耕作するか、自ら借り手を探すか、農地中間管理機構にマッチングを依頼するかの意向を確認している。

 同機構は平成26年度に各都道府県に設置され、農地の中間的な受け皿を担う。マッチングは各農業委事務局を経由して依頼。機構には貸し手、借り手からそれぞれの依頼が寄せられ、マッチングが成立すれば土地利用がなされる。一方、貸し手に対して借り手が少なく、「〇〇地域の土地希望」など条件が合致せず、「該当なし」として案件が農業委に戻されることも珍しくない。特に一定規模の農地面積がない場合の取り扱いは難しい。

 このため、機構に頼らず、農業者が農業員メンバーを通じて、借り手の紹介を求める機会も多い。農地を管理するには年間3-4回草刈りが必要だが、担い手が高齢の場合、体力的に難しい。ただ、雑草が生い茂っていると、周りに迷惑をかけてしまうため、「タダでも良いから貸したい」となるようだ。

未農地③

コミュニティー農園として耕作放棄地が活用されている

 こうした相談を受け、農業委で借り手を探す、あるいは自ら引き受けることが多い。「畑農家じゃないが、転作扱いにならない大豆を作って畑をふさいであげている」という人も。一定の手が加えられている農地は遊休農地に含まれないため、相当数あると推察される。

 こうした耕作予定のなくなった農地は、農業法人や個人農家での活用以外に一定の需要がありそう。例えば企業が新規事業として農業に携わったり、地域有志や個人が借り、菜園として使うケースなどだ。

 直近では、東松島市赤井の耕作放棄地を活用して産業用太陽光発電事業などを手掛ける会社が水耕栽培でメロンの生産を始め、収穫までたどりついた。また、集団移転地の同市あおい地区でもコミュニティー農園として大曲地区の畑を活用して野菜を育て、高齢者の交流機会を創造している。

 個人での需要としては、特に定年退職後のセカンドライフとして農作物を作り始める人も増加傾向にある。趣味の場合は、育てて収穫する一連の流れに意味があり、採算性は関係ない。この採算性を求めない農地利用は、農地維持のヒントになりそう。問題は、こうした需要を誰が、どうマッチングするかだ。【横井康彦】


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