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コロナ退散!アマビエ奉納 東松島市赤井 阿部さん作陶 津山の柳津虚空蔵尊に

 「シーサー」の置物作りを専門とした東松島市赤井の陶芸作家阿部繁夫さん(70)はこのほど、新型コロナウイルスの早期収束を願って陶芸で、妖怪の「アマビエ」を作り、柳津虚空蔵尊(こくぞうそん)=登米市津山町=に奉納した。作品は境内にある喫茶店で大切に飾られ、訪れた人たちの心を癒やしている。

 阿部さんは5年前に家族で沖縄県を訪れた際、地元の守り神「シーサー」の陶芸作品に一目ぼれ。以降、沖縄の造型師のもとに足しげく通い、プロ直伝の技術を修得。今は自宅敷地内の私設工房でシーサーや龍などの制作に励み、これまで約70作品を手掛けた。今にも動き出しそうな迫力ある作風が特長で、昨秋の宮城シニア美術展に初出品した「青龍」は工芸部門最優秀賞を射止めるなど実力を発揮している。

柳津虚空蔵尊に奉納されたアマビエ

柳津虚空蔵尊に奉納された「アマビエ」

 アマビエは、日本に伝わる半人半魚の妖怪で、うろこに覆われた体と鳥のようなくちばしが特徴。豊作や疫病を予言し、「疫病が流行したら私の写し絵を人々に見せよ」と言い伝え、海に姿を消したという伝説がある。コロナ禍では「疫病退散の守り神」として脚光を浴び、グッズ展開などで社会現象となった。

 阿部さんも「コロナが収束し、地域に笑顔が戻ってくれれば」と願い、陶芸でアマビエを制作。シーサーの工法と同じく信楽焼(しがらきやき)の土で型作りし、沖縄産のマンガン粉末を水と合わせた塗料で着色した。

 SNSなどで出回るアマビエのイラストを参考にしつつ、龍のうろこやシーサーの巻き髪、鋭い爪など細部に独自色を出した。一点を見つめる大きな目もこだわりで、妖怪が持つ得体の知れない怪しさを漂わせながらも、どこかかわいらしさも見せる。

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制作、寄贈した阿部さん

 多くの人に見てもらえればと寄贈先に県内有数の〝パワースポット〟と名高い柳津虚空蔵尊を選び、知人の紹介を経て昨年11月に奉納。アマビエは境内にある喫茶店「お寺cafe夢想庵」内で飾られている。

 同尊寺庭の杉田史さん(48)は「落ち込む世の中に明るさを呼び込んでくれそうな心癒やされる作品。奉納いただき感謝。若年層のお客さんからも好評で、流れる髪が『サーファーみたいでかっこいい』と言われる」などと話していた。

 阿部さんは「アマビエもシーサーも、厄除けの願いを込めて制作している。とにかく皆さんに元気になってもらえれば私の何よりの喜び」と目を細めて語った。【山口紘史】


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