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筆に願う復興とコロナ終息 変わる日常 歩む新時代

震災10年つなぐ思い

 中国、武漢で発生した新型コロナウイルスが全世界に広がり、令和2年は試練と向き合いながら未来を考える年となった。迎えた令和3年の正月。コロナ禍での初詣は三密を避けた分散参拝も推奨されるなど、生活様式は大きく変わった。

 疫病退散で一躍有名となったのが江戸時代に信仰された妖怪「アマビエ」。人は未知の恐怖にさらされると、時代を超えて神秘的な救いを求めるが、歴史をさかのぼってもただ恐怖におののくだけでなく、知恵を絞ってあらゆる対策を講じ、その都度脅威に打ち勝ってきた。今回も出口は必ずある。

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 「重見天日」(ちょうけんてんじつ)。暗く辛い状況から抜け出すことを意味する四字熟語であり、石巻高校書道部(部員24人)が縦4メートル、横6メートルの巨大な紙にしたためた。今年は忘れられない、忘れもしない東日本大震災から10年。部員の多くは小学校に上がるかどうかの世代だが、幼き日の衝撃的な記憶は薄れることもない。

新年号表紙用 (10)

 「確実に復興は進んでいるが、悲しみを抱える人は多い。それでもどこかに希望を見つけ歩んできた」と阿部史佳部長(17)。「ひとりじゃない」という言葉は、人と人とのつながりを示している。

 コロナで混乱をきたす中、3月の震災10年が迫る。石巻市総合運動公園で部員たちが掲げた書の背後にそびえ立つのは石巻市複合文化施設。被災した石巻文化センター、石巻市民会館の後継施設であり、山並みのように三角屋根が連なる外観が見えてきた。

 復興事業は大詰めを迎えている。がれきが取り除かれ、あすへの槌(つち)音が響き始めていた当時、私たちが描いていた地域の未来像はどんな姿だったのだろう。今見える景色からは何を感じ取るのか。立ち止まって振り返るとそこに10年の道が伸びている。

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 「コロナ禍で空白の1年だった」と阿部部長がつぶやいた。今年はそんなつらい思いをさせたくなく、したくもない。今、一人一人ができること。この積み重ねが明るい未来をたぐり寄せる。その力は誰もが持っている。【外処健一】



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