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地元進学・就職UP 居住意向DOWN 石巻市・高校生意識調査 コロナ禍で先見通せず

 石巻市が市内の高校3年生に実施した本年度の意識調査で、地元を含めた県内での進学先、就職先を希望する生徒の割合が例年に比べて増えていることが分かった。新型コロナウイルスの感染リスクが高い首都圏を避けた可能性があるが、地元に住みたい人の割合は減っており、必ずしも地元志向が強まったとは言い切れない結果となった。【熊谷利勝】

 平成27年度から定期的に行っている調査で、本年度の対象は市内にある石巻、石巻好文館、石巻工業、石巻商業、石巻北、宮城水産、市立桜坂の7高校の3年生1279人。昨年6月22日から8月24日までを期間とし、96.9%の1239人から回収した。回答者のうち70.9%が市内在住者となっている。

 希望する進学先所在地の割合(かっこ内は令和元年度の値)は市内8.2%(6.7%)、県内他市町村59.2%(57.9%)、東北地方12.7%(11.1%)と前年度から軒並み微増となり、その他国内が18.8%(23.5%)と明らかな減少を見せた。

 希望する就職先は石巻市内44.5%(42.5%)、仙台市内24.4%(21.4%)、その他県内15.9%(15.5%)、東北15.9%(同3.2%)、その他国内8.9%(12.7%)となり、進学と同様に地元に近い地域を希望する傾向を示した。

 卒業後、石巻市に住みたいと思っているのは、「進学後一旦離れても就職時に戻りたい」、「いつかは戻りたい」と回答した人を含めて50.3%(51.6%)となり、前年度から減少。ただ、「別の場所に住みたい」という人も減って35.5%(36.4%)となり、その他(未定)と無回答が増加。調査時期が新型コロナによる長期の臨時休校明けのため、将来を見通せない生徒が多かったと推察される。

 石巻市に住みたい理由は親、きょうだいがいることや住み慣れた地域への愛着が主。地域の人とつながりは住む理由としては弱くなっている。市外に住みたい理由の1番は「進学・就職先がない」で、いずれ市に戻ってくるための条件は働ける場所が増えることだった。公共交通の不便さへの意識もくみ取れた。

大学生も県外減少

 意識調査は6月22日―10月3日に石巻専修大の3年生312人にもインターネットを通じて行っており、約40%の127人から回答を得た。

 市内での就職希望は調査開始以来最高の13.4%(6.0%)を示し、仙台市内、県外が減少。コロナで地元に近いところを選ぶ意識が働いた可能性がある。「市に住みたい」「いつか住みたい」を合わせた居住意向も29.9%(17.3%)に上昇。例年に比べ、石巻地方出身者の回答者割合が高かったことも結果に影響しているとみられる。

 若い世代の転出超過傾向にある市は、雇用確保や子育て環境の向上といった人口減少対策に取り組んでいるところ。市の担当者は「地元志向が強まった結果となったが、コロナの影響が否定できず、街の魅力がアップしたとは言い切れない」と複雑な印象を述べている。


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