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新型コロナで生活一変 石巻地方も陽性者急増

 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本も感染拡大に伴うさまざまな影響に向き合う厳しい1年となった。県内でも外出自粛や休業要請などで生活が一変。飲食店や観光業を中心に影響が出た。当初は春先に首都圏で見られた大規模な感染爆発は起こらなかったが、10月以降は急拡大。石巻地方も例外でなく感染者がじわじわ増えている。医療体制もひっ迫するなどいまだ予断を許さず「我慢」の時期は年を越す。【山口紘史】

 コロナは1月6日に中国武漢で発生し、16日には日本国内初の感染者を確認。2月に横浜港のクルーズ船で大規模なクラスター(感染者集団)が発生したことを機に首都圏から感染が広がった。

 感染拡大防止のため国は2月末、全国の小中高校に臨時休校を要請。4月の「緊急事態宣言」では、国民の外出自粛や商業観光施設に対する時間短縮・休業要請が出され、産業経済・観光業界は大打撃を受けた。影響は多岐にわたり、スポーツ大会や地域の文化イベントは軒並み中止や延期となった。

 県内で3、4月に仙台市を中心に感染が広がるも緊急事態宣言に伴い県民の動きが制限されたことで、5月は感染者が確認されない日が続くなど一度は落ち着きを見せた。

17日のまちなかのようす (5)

感染拡大に伴う「緊急事態宣言」で商業者らは休業や時間短縮を余儀なくされた(4月17日)

 それもつかの間、6月中旬から徐々に広がり始め、石巻市でも7月3日、女性2人の感染を初確認。その後、東松島市と女川町でも陽性者が出た。

 特に10月以降は県内での新規患者が毎日のように2桁を数え、11月には石巻市内のカラオケ店と石巻工業高校で、12月は同市内の食品製造工場でクラスターが発生するなど、感染拡大に歯止めがかからなくなってきた。

 石巻地方の陽性者累計は21日時点で計97人(石巻86人、東松島8人、女川3人)だが、12月の新規感染者だけですでに45人と約半数を数える。今月は県内でも陽性患者の発生が特に多く、同日までに571人(累計1781人)が感染。新規感染者数は1日平均約27人で、4月の1カ月間と比べると約10倍に増加しており、医療崩壊の懸念も出始めている。

 村井嘉浩知事はこうした状況を鑑みて今月16日、仙台市、県、市医師会の4者共同で県新型コロナ危機宣言を発表。「初詣や初売りの密集回避」「忘年会、新年会は少人数・短時間」とするなど年末年始の慎重な行動を呼び掛けた。村井知事は「外出自粛要請を出さなければならないボーダーライン」と危機感を露わにした。

 全国的にも感染拡大の一途をたどり、国内陽性者累計は21日で20万人超え。今年はコロナ禍で始まりコロナ禍で終わる苦しい1年となりそうだ。ワクチン開発の報道に淡い期待感も寄せられるが、具体的な供給時期や対象者も未定で、いまだ収束は見通せていないのが現状だ。

 誰も経験したことがない「新型コロナ」の世界的大流行。皆が感染防止と生活・経済のバランスを取りながら手探りで進んできたが、我慢の期間は来年もまだ続く。いま一度、感染拡大防止の意識を高く持ち行動することが求められている。


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