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「未耕作農地の活用」 ①現状 耕作条件悪く再利用に難

 高齢化や人口減少に伴い、全国的に空き家が増え、放置に伴う危険家屋化が懸念されると社会的に注目を集めている。同様に、一次産業においても作り手の高齢化が進む。体力、維持管理費といった採算性など資金面の問題から耕作を持て余す田んぼや畑が増加。同業者の引き受け手を求めるも、同様の状況にある生産者が多く、他の利用者を上手くマッチングできない状況に。放置が進むと荒廃し、農地としての再生が困難となる。

 こうして将来的に耕作の見通しが立たず手が加えられなくなった農地は「遊休農地」と呼ばれる。年数とともに耕作条件が悪化し、ほ場整備を行わなければほぼ使用できない状況になる。毎年各自治体の農業委員会などで農地パトロールを実施して状況を確認しており、近年は全国に10万ヘクタール存在していることが分かっている。

 農地の調査では、耕起すれば使用できるものをA分類、ほぼ原野の状態または再生利用がかなり難しいものはB分類に区分。いずれも地権者への意向確認などを経て「非農地」になることが多い。

 石巻市内では令和2年の調査で農地8765ヘクタールのうち、1%強の112ヘクタール、東松島市でも3099ヘクタールのうち約0.8%の24ヘクタールが遊休農地に該当している。

 遊休農地の発生要因は、生産者のマンパワー不足や貸し手と受け手のミスマッチだけではない。例えば、地権者の死亡に伴い、相続された場合、会社勤めなど農業と無縁で固定資産税だけを支払っているケースもある。使いたい気持ちはあっても、アクセス性の悪い山間または山中など大型機械が入れない場所での農地再生は、困難を極めるのだ。

 国は、遊休農地を農地中間管理機構に紹介し、「作れるうちは作ってもらう」ようにしているが、条件の悪さから肝心の受け手がいない。状態が悪くなればA分類からB分類、そして非農地となり、貴重な生産の土壌が失われてしまう。非農地となった場合、まれに耕作放棄地を営農型にしたいと申し出る人もいるが、そこにはアクセス性などが求められる。

 太陽光発電設備整備に活用されることもあるが、やはり一定の立地条件が必要。こうした遊休農地の発生を未然に防ぐには、所有者が持て余している、いわば「遊休農地予備軍」をうまく活用する必要がある。


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