ミツバチの引っ越しピーク すみか探して分蜂 「見かけてもそっと見守って」
ニホンミツバチが群れを増やすために巣分かれする分蜂(ぶんぽう)が、温暖な気候の影響で例年より2週間ほど早く目撃されている。養蜂や蜂蜜販売などを行う任意団体、石巻ニホンミツバチの会(山内昇一理事長)によると一時的に木の枝などにぶら下がり一塊となる分蜂は5月中旬ごろまで続く見通し。刺激しなければ刺されることはほぼなく、同会事務局長の芳賀潔さん(62)は「見かけてもそっと見守ってほしい」と呼び掛けている。
分蜂は女王蜂が働き蜂の約半数を連れ、新しいすみかに引っ越すこと。社会性を持つ昆虫であり、新しい巣が見つかるまで移動を繰り返し、一時的に木の枝などに垂れ下がるように一塊となる。元の巣は新しく生まれた女王蜂に譲り渡す。
ニホンミツバチの性格はおおむね温厚。よほどのことがない限り攻撃してくることはないという。芳賀さんは「人間社会と同じ。こちらに悪気がなくても向こうの受け取り方によっては攻撃してくることもある」と語っていた。
石巻ニホンミツバチの会は、石巻市6次産業化・地産地消推進センター主催の養蜂講座の聴講者が情報交換を目的とし、平成31年に発足。現在は石巻地方2市1町や登米市、美里町など30―80代の81人が在籍している。
趣味で養蜂を行う人がほとんどだが、数人は採取した蜂蜜を道の駅上品の郷などで販売している。蜜を搾った後の巣を煮沸し、抽出したロウを冷やし固めて作る「ミツロウ」を販売する人もいる。
仕事の傍ら養蜂を行う人もいるが、退職後の趣味が大半。手作りの巣箱を自宅敷地内にいくつか置いて蜂の入居を待つ。エンジニアや建具屋、大工などで活躍していた手先の器用な人も多く、互いの得意分野を発揮し、地縁を育みながら活動している。
同会事務局の高橋保芳さん(71)は「日曜大工が不得意だったため、最初のうちは得意な人に巣箱作りを手伝ってもらった。ミツバチを介し、たくさんの人とのつながりができた」と話していた。
森林には針葉樹が多く、蜜源となる広葉樹が減少していることからニホンミツバチも年々減りつつある。巣箱を設け、蜂に居住空間を与える同会の取り組みは、図らずも生息エリアを増やすことにもつながっている。
芳賀さんは「この時期のハチは分蜂を行うことに夢中。気に入った物件が見つかるまで1週間ほどぶら下がっているケースもあるが、人が不用意に刺激しない限り襲ってくることはほぼない」と呼び掛けていた。
やむを得ず捕獲を依頼したい際は、同会事務局長の芳賀さん(090-7562-8077)まで。なお、同会はスズメバチの駆除などは行っていない。【泉野帆薫】
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