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「矢本の伝説」を音訳 声で情報 G・うさぎ 地名の由来語り継ぐ 

 東松島市の朗読ボランティア「G(グループ)・うさぎ」(丸山安輝子代表)は、合併前の旧矢本町に伝わる伝説27話をCD計7枚に収録した。伝説は矢本町時代に教育長を務めた故・片倉舜氏が監修したもの。CDは市内各市民センターや図書館に寄贈しており、丸山代表は「地名の由来などが分かるお話が盛りだくさん。多くの人に聞いてほしい」と話していた。

 G・うさぎは、市を介して「市報ひがしまつしま」を録音したCDを作成し、視覚障害者や小さい文字が読みにくい高齢者に無償で届けている音訳ボランティア団体。12人のメンバーは幼稚園や一般向けなど幅広く読み聞かせも行っている。

「多くの人に聞いてほしい」と話す丸山代表(左)と志田副代表


 令和3年に行政情報などを載せた「暮らしの便利帳」をCD2枚に収録したことはあるが、7枚に及ぶ大作は初めて。昨年11ー12月に収録し、BGMも加えて朗読会を聞いているような雰囲気に仕上げた。

 伝説は旧矢本町を構成する矢本、赤井、大曲、大塩の4地区に伝わる27話を収録。矢本村、塩入村(大塩)など地区で分け、1作当たり5―10分。矢本村に伝わる「鷹が飛んできた」のみ20分を超す長編だ。

 例えば「赤い井戸の薬水」は、赤井村(現在の赤井地区)の地名にもなった伝説。杉林の中にあった井戸の水はドロドロした赤茶色だが、この水で足の傷がよくなったという話があった。水はくんでも減らず、枯れることもない。作中では「この井戸の水が赤い色をしているので、後々この村は赤井と言われるようになった」と結んでいる。

 「ぬれ仏如来様」は大曲村(現在の大曲地区)のふもとにあった山寺の話。1828年の猛火で寺が焼け、住職は安置されていた黄金の如来像を探すも見つからず。翌朝、沼のほとりでずぶぬれの如来像と出会った。察した住職は「火事を避けるため如来像は自ら寺を出て沼に入り身を守った」と村人に伝えたという。この沼は寺沼と言われ、現在も大曲の地名にある。

 丸山代表(69)は「矢本の歴史も知ることができ、当時を想像することで今の豊かさと住みよさを感じることができる」、志田喜美子副代表(58)は「方言や言い回しの解釈に悩んだが、音訳する側も勉強になった」と話していた。

 G・うさぎは片倉氏が監修した「矢本の伝説」を冊子にし、宮戸地区に伝わる8話をまとめた「新宮戸八景物語」(平成29年発行)も音訳。今月中には市教委への寄贈も予定している。【外処健一】


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