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手作りご当地茶菓子|佐藤ちゃきん屋(石巻市立町)

 小麦粉と水、砂糖を混ぜた生地を銅板で薄く焼き、冷ました後、手で一つ一つ手であんこを包んで「ちゃきん」が作られていく。甘さ控えめで、どことなく懐かしさを感じる素朴な菓子ながら、一口すると幸福感で思わずにんまりしてしまう。

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旧梶谷製あん所の店舗

程よい甘さににんまり

 石巻のご当地茶菓子といえる「ちゃきん」だけの店。元祖の看板を掲げ、店主の佐藤美和子さんが切り盛りしている。祖母が湊で始め、佐藤さんは3代目に当たる。店は東日本大震災で被災し、仮設店舗の立町復興ふれあい商店街で営業。平成26年10月末に閉鎖されると、間もなく現在地に移転した。

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石巻であいされるちゃきん。皮に包まれているのはあんこと程よい甘さの幸福感だ

 こしあんは絶妙に塩加減され、薄くもっちりとしてほんのり甘くい皮が口の中で調和。子どものころから長く親しめるよう仕上げている。店の名の通り「ちゃきん」だけの店で、佐藤さんが継いだのは母が亡くなった平成4年。当時は甘い物が苦手で、母が作っているちゃきんに興味がなかったという。そのため作り方を伝授されておらず、母を手伝っていた姉から教えてもらう形で試行錯誤の末たどりついた味だ。

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手際よくちゃきんを作る佐藤さん(左)

 仮設のときは全く売れずに近隣に配っていたこともあったが、それがちゃきんをさらに広めるきっかけになった。今では売り切れ御免で、買えない人が出ることも。値段は先代のころから変わらず1個60円。佐藤さんは「皆さんが宣伝してくれるので、やっていけている。材料が多少高くなっても、生きているうちは上げるつもりはない」と元気だ。

お店情報

佐藤ちゃきん屋

▽住所=石巻市立町2丁目2―9(旧梶谷製あん所)
▽営業時間=午前9時から売り切れ次第終了
▽定休日=水曜
▽電話=080-2817-0004


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