見出し画像

「100通りのありがとう」発信 心の復興13回忌市民ミュージカル 

 石巻地方の住民約100人が出演する「心の復興13回忌ミュージカル100通りのありがとう」の石巻公演が24、25日、石巻市河北地区のビッグバンで行われる。公開するゲネプロ(最終通し稽古)を含め、2日間で3回上演。12年前の東日本大震災を忘れず、世界中からの支援に対する感謝の気持ちを発信しようと歌い、踊る。

 3月4日の東松島公演に続く第2幕。2部構成で震災体験と支援への感謝が語られ、この地で生きていく決意を表現する。1部では消防団員の活躍と犠牲が演じられ、後半では講談仕立てで慶長遣欧使節船サン・ファン・バウティスタ号と支倉常長の物語、スペインとの絆を描く。東松島公演は午前と午後の2回とも約400席がいっぱいになり、笑いあり、涙ありの舞台が感動を呼んだ。

本番と同じ舞台で稽古(3日)

 石巻公演ではほとんどの出演者が再び舞台に上がり、新メンバーも増えた。台本は約150カ所の修正が加わり、新曲も披露される。稽古は4月30日に再開。毎週末に集まっており、今月3、4日には本番と同じ舞台で通し稽古した。

 東松島公演に続き出演する石巻市蛇田の野上ルリ子さん(62)は「震災時に自宅の周りの水が引かず、1年間、河北地区の友人に世話になった。こうして舞台に立つことができているのも、これまでにあった多くの支援のおかげなので、ありがとうを伝えたい」と市内での公演を楽しみにした。

 ゲネプロは24日午前11時、本公演は同日午後4時、25日午前11時。チケットはゲネプロが2千円(小中高生500円)、本公演が3千円(同1千円)で、ビッグバン、マルホンまきあーとテラス、遊楽館、東松島市コミュニティセンター、ヤマト屋書店TSUTAYA中里店・あけぼの店、たていしストア(前谷地駅前)で取り扱っている。ゲネプロの有料生配信も行う。
【熊谷利勝】

世代超えて伝承

 「心の復興13回忌ミュージカル100通りのありがとう」で総合プロデューサーを務める祖父江真奈さんが先日、石巻市不動町のプレナホールであった石巻市倫理法人会のモーニングセミナーで講話し、石巻公演をPRした。

倫理法人会のセミナーで石巻公演をPRする祖父江さん

 舞台には未就学児から80歳代までが出演し、三世代での参加も。祖父江さんは「出演者は全員素人。オーデイションは受けていない代わり、大きな震災を乗り越えてきた」と紹介し、世代を超えて記憶や教訓を伝える意義を説いた。

 台本は夫の寺本建雄さんが出演者に取材して作成した。100人100通りの良い部分を引き出すことを心掛けており、舞台を通して「一人一人の成長がうれしい。もともとできることが花開くこともうれしい」と祖父江さん。役作りなど必要のないそのままの姿こそが演技以上のエネルギーになっており、「本物の舞台になる」と鑑賞を勧めた。





最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。