新旧住民の交わる場に 高層住宅など変わる街並み
東日本大震災の津波は石巻市の中心市街地にも押し寄せた。アイトピア商店街では建物の流失こそなかったが、多くの店の1階部分が水没。流されてきたがれきや車が建物に突っ込み、街灯や電柱に引っかかるなど悲惨な光景が広がった。【近江 瞬】
津波で流されたがれきや自動車が散乱した(平成23年3月15日)
店主らは震災直後から毎日のように顔を合わせ、復旧に力を合わせた。一方、被災で閉店を余儀なくされた店もあり、ピーク時に約60人いた同商店街振興組合の会員は一時、35人まで減少。新規呼び掛けで50人まで戻ったが、時代の流れの中で震災から7年を経た30年に解散を決めた。
震災後に移住した若者たちの中には、この通りを拠点に選んだ人も多い。横浜市のNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターは平成24年から約2年間、日和アートセンターを開設。一般社団法人イシノマキ2・0はコミュニティカフェIRORIを運営し、地域内外の交流の場を提供している。隣には今年4月、結婚式を提案する石巻ウェディングの拠点も整った。
マンションが建つなど9年半で風景は変わった(令和2年10月6日)
橋通りとの交差点には市社会福祉協議会のビル解体後、12階建てのマンションが整備された。下層のテナント部分には地元商店が入るなど、通りの各所で震災前とは違う明かりがともっている。
震災でかつての街並みは急速に変わり、通りには長く商店街に暮らす人と新しく集った人が行き交う。こうして変わり続ける風景の中にも互いに声を掛け、手を振り合う商店街の姿は残っている。
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