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長引く消費停滞で窮状訴え 石巻市内飲食店経営者ら 4分の1に廃業可能性

 新型コロナウイルス感染症拡大による消費活動の自粛・停滞が長引き、事業継続の危機に瀕しているとして、石巻市内の飲食店経営者らが窮状を訴えている。先月下旬から今月上旬に実施したアンケートでは約半数が事業縮小、4分の1が廃業の可能性を示唆しており、市独自の早急な経済支援策の実施を切望している。【熊谷利勝】

市の早急な独自支援切望

 窮状を訴えているのは老舗飲食店の経営者らと(株)街づくりまんぼう、石巻観光協会の関係者で立ち上げた「コロナ禍における石巻市内事業所の救済を訴える会」。9日に市役所で記者会見を開き、1月15日に石巻商工会議所と市内の飲食・宿泊・観光関連団体が要望した支援策の実行を要望した。要望の中でも特に、売り上げが減少した事業所への給付金の支給と、首都圏などの緊急事態宣言が解除された後の消費喚起策を強く望んだ。

 声を上げた背景には、会が1月22日から今月2日にかけ、市内の飲食、小売、サービス店など450事業者に実施した緊急アンケート結果の深刻さがある。104件から回答を得たが、おととしと比較した昨年の売上げは飲食・サービス店で40%減少し、現状が続いた場合、全体の48%が事業規模の縮小、25%が廃業の可能性があると回答。新たな給付金の交付や減税措置、商品券の発行といった支援策を求めていた。

飲食店経営者ら窮状訴え (2)

悲痛な表情で記者会見に臨んだ飲食店経営者ら

 コロナ関連の特別融資があるが、東日本大震災前後の借り入れで三重ローンになる事業者も多いという。料理店「大もりや」(穀町)の大森信治郎さんは「2月で店をやめるという話も聞く。市場が戻るには2、3年かかるといわれており、長期的に影響を受ける業種に目を向けてほしい」と願い、「国、県の対応を待っては時間がかかるので、市独自での支援を急いでほしい」と訴える。

 飲食店は忘新年会と歓送迎会シーズンに挟まれた2月の売上げがもともと少ないが、昨年からはその書き入れ時が皆無。料理店「八幡家」(中央)の阿部紀代子さんは「私だけでなく仕入れ先も出入りの業者も苦労しており、早急かつ公的な助けが必要。東京などの緊急事態宣言を見聞きし、皆さんが外に出てこない」と影響の大きさを伝えた。

 「スナックさざなみ」(羽黒町)の関東和子さんは「客が入らないので週末しか店を開けられない。仙台のような時短営業の協力金が欲しい」と同業者の声を代弁。パン店「萬楽堂」(立町)の高橋美江さんは「市は予算がないというが、国に要望して回してほしい」と声を上げる。

 街づくりまんぼうの苅谷智大さんは「各店、テークアウトやデリバリーに参入するなど生き残りに何とか知恵を絞った上でなお難しい状況。ただ支援を待って手をこまねいているわけではない」と理解を求めた。


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