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石巻が育てた天才彫刻家たち 第1部 英吉と達⑩ 未来へ 夢は2人の作品展

 私の手元に石巻を題材にした高橋幸子さんの木版画作品「大漁唄い込み」のポストカードがあります。この中には石巻の風景と「三十五反の帆を巻きあげて行くよ仙台石巻」といった歌詞が描かれています。

 幸子さんとの交流や石巻市内の幸子さんのファンの方と話をする中で、以前に石巻文化センターで幸子さんの木版画教室が開かれていたことを知りました。同時に、東日本大震災以降、石巻と幸子さんの関わりが少なくなってしまったことも知りました。私の頭の中には「もったいないな」という思いが生まれました。

ポストカード差し替え

木版画「大漁唄い込み」のポストカード

 これまで、達の日記等から分かった英吉のことや平成30年に幸子さんが石巻に来たこと、お子さん同士の初対面について紹介してきました。

 英吉が達の日記で最後に登場したのが昭和14年。幸子さんは生まれていませんでした。達の息子の穣嗣(じょうじ)さんは、昭和10年生まれなので4歳でした。もしかすると英吉はアトリエで穣嗣さんと会い「かわいいね」と言って頭をなでたかもしれません。

 令和3年、石巻市複合文化施設内に博物館ができ、現在宮城県美術館に保管されている高橋英吉作品が常設展示で見られるようになります。私の夢は、企画展で英吉と交流があった達の作品が展示されることです。

2 黒潮閑日

高橋英吉の「黒潮閑日」
(石巻市教委所蔵、「青春の遺作」より)

 第2話でも少し紹介しましたが、達は昭和初期に何度か石巻を訪れ、いろいろな人物と交流しています。石巻は、達を育てた地でもあるのです。作品と一緒に石巻で交流した人物や訪れた場所の資料も合わせて展示できたら内容が充実すると思います。

 最近、博物館や美術館で学芸員や関係者が展示にまつわる話をするギャラリートークが行われています。もし、2人の作品が同時に展示されるという夢が実現したら、英吉の娘の幸子さんと達の息子の穣嗣さんに来てもらい、作品について語ってほしいと思っています。すでに初対面は完了しているので大丈夫です。

昭和10年完成の伊達政宗公騎馬像

小室達の「伊達政宗公騎馬像」

 この夢は第8話で書いた幸工房でお二人が初対面し、時空を超えた空間にいる時に頭の中に浮かんだ考えです。それから、博物館にはミュージアムショップができると思うので、ぜひ幸子さんの木版画関連の商品を置いてほしいと思っています。口に出せば、夢はかないますよね。石巻の皆さん、よろしくお願いします。

 ※豆情報 高橋幸子さんの「大漁唄い込み」のポストカードや本、一筆箋等は「まねきショップ」(門脇町2丁目)「石巻まちの本棚」(中央2丁目)で発売中です。


筆者プロフィール-01




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