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ルビスコ(RuBisCO)『憎まれっ子世に憚る』

引用1: ルビスコ(Rubisco)

https://numon.pdbj.org/mom/11?l=ja

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生命と無生命との橋渡しをしている酵素で、無機炭素である空気中の二酸化炭素から有機炭素を作り出す。ルビスコは二酸化炭素を取り込んで、5つの炭素原子を含む短い糖鎖の一種「リブロース2リン酸」に付加する。次にこの糖鎖はルビスコによって切断され、2つのホスホグリセリン酸(phosphoglycerate、3つの炭素原子を含む分子)となる。ホスホグリセリン酸は細胞内でよく見られる分子で、これを利用するための経路は多数存在する。ルビスコによって作られたホスホグリセリン酸のほとんどは、炭素固定サイクルに供給する必要のあるリブロース2リン酸を更に作り出すため再利用される。しかし6分の1のホスホグリセリン酸分子はかすめ取られて、蔗糖(sucrose、砂糖)を作るのに使われる。これは植物の残りの部分に供給されるか、または澱粉(starch)の形にして後で使えるよう蓄えられる。

ここに示すタンパク質はホウレンソウの葉から得られたものである(PDBエントリー 1rcx、タバコのものは 1rlcでみることができる)。多くの酵素が似た対称性のある複合体を作る。そして、アロステリック効果(allostery、allosteric regulation)として知られる過程で、異なる鎖間の相互作用が酵素の活性制御によく用いられている。一方、ルビスコは岩のように堅く、それぞれの活性部位は互いに独立して働いているようにみえる。実際、光合成細菌(photosynthetic bacteria)は植物などが持つものよりも小さなルビスコ(上図右、PDBエントリー 9rub)を作っており、たった2本の鎖で構成されてはいるが、植物などと同様の触媒作用を行っている。では、どうして植物はこのように大きな複合体を作っているのだろうか? 答えはルビスコが仕事を行うぎっしり詰まった状況の中にあるかもしれない。多くの鎖を詰まった複合体の中へ押し込むことにより、タンパク質は周囲の水と接触しなければならない表面を狭くしている。これにより、より多くの鎖、より多くの活性部位を同じ場所に詰め込むことができる

引用2:ルビスコはなぜ量が多いのですか?

http://www.photosynthesis.jp/faq/faq3-6.html

ルビスコは二酸化炭素を固定する酵素(カルボキシラーゼ)ですが、確かに、「地球上で一番多く存在する酵素である」と言われています。実は、ルビスコの二酸化炭素固定速度はタンパク質あたりで見ると極めて遅いのです。二酸化炭素との親和性も他の酵素の基質に対する親和性に比べると低いですし、基質回転速度をみても極めて低い方です。この反応の遅さをカバーするために量が必要になるのでしょう。反応速度が遅いこと自体の理由というのは難しいのですが、奈良先端大のグループが、ルビスコは、昔、別の代謝系に使われていた酵素が進化の過程で二酸化炭素固定能力を獲得したらしいことを明らかにしました。とすると、元々は二酸化炭素固定とは全く別の酵素だったわけで、それを改造しても限度があった、ということかも知れません。新しく何か別の酵素を土台に新ルビスコを作れば、もしかしたら、もっと効率がよくなるかも知れませんね。

引用3:葉はなぜ黒くないのだろうか:
光合成工場としての葉を解剖する

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/event/public-lecture17/pdf/terashima.pdf

この酵素は大きい割に CO2固定速度が遅く、現在の大気 CO2 濃度では、最大速度の半分以下しか実現しません。しかも、CO2 を固定せずに O2 を固定してしまうこともあります。O2 を固定してしまうと、Calvin-Benson 回路を阻害する C2 化合物が生成します。これを代謝し、C2 化合物から C を回収するのが光呼吸経路です。しかし、この経路の駆動には多大なエネルギーを使います(O2 固定 1 回あたり、5ATP と3NADPH!)。自身が生産した O2 に、植物は首を絞められているわけです。
 植物が太陽光下で、かなりの速度の光合成を行うためには、大きくて遅い Rubisco を大量に持たなければなりません。これが地球上のタンパク質の中で Rubisco が圧倒的に大量である理由
です。また、光呼吸を抑え、酵素を高い速度で駆動するためには CO2 をなるべく高い濃度で酵素に与えなければなりません。
 葉の光合成組織は、表側の柵状組織と裏側の海綿状組織に分化しています。表側から光があたると、クロロフィルに吸収されやすい青色光や赤色光はほとんどが柵状組織で吸収されます。一方、緑色光の一部は柵状組織を透過し、海綿状組織内で散乱されます。こうして何度も葉緑体に遭遇すると、吸収されにくい緑色光も、かなり吸収されることになります
 表側の葉緑体は光吸収量が多いので、裏側の葉緑体に比べて、光合成が光飽和状態になりがちです。この時、さらに光を強めても、それに含まれる赤色光や青色光は表側の光飽和に達した葉緑体に吸収され、そのエネルギーのほとんどは熱として散逸されることになります。一方、緑色光は裏側に届き、光飽和に達していない葉緑体の光合成を駆動することができそうです。私たちの研究でこれを実証しました。強い光の下で効率よく光合成を駆動するのは、予想通り、緑色光なのです。陸上植物がクロロフィルという緑色光を吸収しにくい色素を使っているのは、葉の奥深くにある葉緑体に光を配分するのに役立つからでしょう。


わたしの感想『ルビスコの預言』

1.植物信仰をやめようと思った。
かなしいかな、農家の植物に対する感覚と資本家の労働者に対する感覚は酷似している。

1×10=10 は真だが、
10=[100000]+[-99990]も真である。

やはり、所有とは悲劇だ。という喜劇だ。いや、どうでもいい。

これは同時に、太陽信仰をやめることであり、
祖先崇拝もやめることである。
わたしは自らが自らと認めたものを信仰する、『任意崇拝』へと移行する。

これは無神論やニヒリズムよりも「豊かな底」を有することになる。


2.『効率の悪いぎっしり詰まった岩のようなもの』の恩恵は小さくない。
「あまりにひどい見るも無慚なもの」は、
そこだけ見るから無慚なのであり、
広い視野で見れば悪くて±0、良くて+1くらいなものだろう。


3.繁栄はありえるのかどうか
一時の繁栄を繁栄といわない限り、繁栄は不生(不滅)である。


4.ソーラーパネルの黒さ

ぼくには1枚厚さ数cmのパネルが40m級の「鉄の大木」に見える。

科学的根拠はないが、それだけの破壊力、生態的ニッチをソーラーパネルは有しているように思える。
ルビスコを生成できない土地がこれ以上増えるなら、
われわれは生命よりもさらに無生命に近づき、
大地の柔らかな温もりが海に流出し、
鉄板からなる大陸は火と氷で覆われる、気がする。

5.火と氷の時代
人は、三面張り水路に棲むカエルのようになる。
壁を登ることはできず、流れに逆らうこともできない。

6.緩衝地帯の憂鬱
人は、中庸から逃れられなくなる。
温度年較差の少ない地下10m以下に閉じ込められる。
地上は火と氷の世界。
これは比喩だが、比喩ではない。
炎上か冷笑か、の分断はすでに起こっている。
そして、中間層への重い雨は止まない。

7.生活のアポリア

不生(不滅)の習性を生きること。

不生(不滅)の自分を生きること。

不生(不滅)の日常を生きること。

不生(不滅)の獣道を生きること。


8.予言された未来はすでに現実である。
言葉に時間は関係ない。
だが、まだ、三面張りの中からでも星空は見える。


9.

水路がパイプライン化されないことを切に祈る。

すべての人工的な水路が暗渠になったとき、

「人類の地底人化」は完了する。


そしておそらく、

わたしは将来、その仕事に従事することになる。



生物は最悪なことをして進んできた。

それはこれからも変わらない。


How dare me!


ルビスコの預言

ー了ー



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