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【30代女子にオススメの本】奥田英朗「ガール」

奥田英朗さんの小説「ガール」を読んだのだけれど、本当に男性が書いたのかとびっくりするくらい女性の心理が巧みに描かれていた。

「ガール」は、表題作含め5つの作品からなる短編集。


それぞれは独立したストーリーで、すべての作品に共通するのは、主人公が働く30代の女性であるということ。


旦那より稼ぎがよく、年上の男性を部下に持つことになった女性。

マンションを買ったという親友に触発され、マンション購入のためにあくせくする独身女性。

10代20代で若さと可愛さの恩恵を存分に受け、30代になった今、これまでと同じスタイルを続けることに限界を感じ葛藤する女性。

小学生の子供を育てながら、仕事との両立を図ろうと頑張るシングルマザー。

自分が指導することになった、ひと回り年下のイケメン新人男子に恋してしまった女性。


私は30代の独身女子なので、ほとんどの主人公と似た境遇にある。

それだけに、どの女性にも共感できるし、わかるわかるとうなずける描写がたくさんある。

つい主人公に感情移入するあまり、主人公の目障りになる人物にはイライラしたり、ヤキモキしたりさせられる。

だけどどの話でも、女性たちは自分のことを認め、受け入れ、納得する形で物語が結ばれている。

働く30代女性にはもちろん、仕事を持たない女性や異なる世代の女性、女性だけでなく男性も一読の価値があると思う。

最初にも書いたけれど、本当に著者が男性だとは信じられないくらいに見事に女性の気持ちを表現している。

よほど取材やインタビューを重ねたか、観察力が鋭いか、想像力に優れているか、あるいはそのすべてか。

つい引き込まれて、一気に読み終わってしまった。

今は、同じ著者の作品で男性を主人公にした「マドンナ」を読んでいる。

こちらもまた面白い。

男性の心理は想像することしかできないので、驚くことや発見がたくさんある。

「マドンナ」も読み終えたら、またゆっくり感想を書こうと思う。

奥田英朗さんの「ガール」、とっても面白いしあっという間に読めるのでぜひお試しを⭐︎


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