見出し画像

「今」しか見ないのは難しい。

金沢へ引っ越してきて、まだ10日ほどしかたっていないことに驚きながら、特急サンダーバードがホームへやってくるのを待つ。体感的には何日ぐらいだろう。そこまで長く住んでいる感覚も無いけど、毎日色んなことと向き合う時間が長かったから10日と思うと「まだ10日しか経っていないんだ…」と感じてしまう。

金沢に来てからの毎日は、想像をしていた大好きな街で穏やかに暮らすこととはかけ離れた日々だった。まず、アルバイトを探すことから始めたのだが、「やりたいこと」がボヤけていたので、ざっくりと「金沢に関わる事=観光」と決めつけてしまった。
一度「これだ」と思った考えは、実行するまで変えることができないのが自分の性分なので、観光に関われそうなホテルのアルバイトを視野に入れ、良さそうなゲストハウスをいくつか探した。
金沢には大きなホテルもたくさんあるけど、「なんとなく」ゲストハウスの方が良さそうな気がした。ただ、私は全く英語ができないので、フロントスタッフの仕事ができないことも分かりきっていた。それでも「話してみなきゃ道は開けないだろう」と謎の自信を持ち履歴書を書き面接に出向いた。

面接で話しを終えた後に「金沢に関わる」気持ちは、仕事が無くなって焦ったから出た気持ちじゃないかと思ったことがある。自分に「やりたかったことをよく思い返してみてよ」と声をかけ、目を閉じて数か月前の当たり前に仕事があった時の自分に想いを馳せてみると、毎日書くことが楽しくて充実していて、そして「書くこと」を継続したまま大好きな街での生活を始めたかった。そして、それは当たり前に叶うことだとも思っていた。

だから、金沢に関わりたい気持ちはもちろんあるけど、大切なものとの距離を仕事で埋めることに違和感を感じてしまうようにもなった。
これは面接で話をした方に、金沢への想いをちゃんと伝えられたから、自分の声が自分の元へ返ってきて、やりたいことに気づけたような気がする。

だから、引っ越し一週間前に仕事が無くなって「何かしなきゃいけない」という使命感に駆られてしまい、引っ越しと仕事を無理矢理つなぎ合わせた自分のことを受け入れてあげよう。
せっかく金沢に来たから、そう思って突っ走りたくなるのも仕方ない。
そうやって受け入れてあげると、気持ちは大分と楽になった。

この数日間でたくさんの人と話をして、自分でも驚くほど泣いてしまうこともあって、その度にサンボマスターの「揺れるラブマンのテーマ」を聴きながら歩いている
この曲は引っ越す前に突然ビビッときた曲。
なんとなく聴いていたら耳に残った「旅立つ僕等は地図も見ねえんだ」という歌詞が、仕事が無くなった自分の道を照らしてくれた気がする。
目標が無いと動いちゃいけない。やりたいことが見つかっていなければ始めても失敗をするだけ。誰かが勝手に決めた「してはいけないこと」なんて、自分の人生には全く関係は無い。私は、私の人生を歩きたい。だから、地図なんて見ずに歩こう。
なんて…こまで深く考えたわけではないけど、この言葉に自分のこれからが全部詰まっている気がして、ここ最近は必ず毎日この曲を聴いている。

そして、今はできることをやろう。と販売のアルバイトを始める決心をし、もう一つ大事なことを決めた。
それは、書くことを諦めないことだ。

才能とかそういうのは分からないけど、私は書くことが好き。それだけで良いと思った。

金沢へ引っ越してきて、まったくパソコンを触らず、毎日のことを思い出さず言葉にもしない時間は自分には向いていなかった。

子供のころ信じてた大人は 隠し事なんか一つもなくて、間違ったことは全部口にして 感じたことは全部歌にして

そんな歌が頭に流れてきて、体中に鳥肌が立った。長い北陸トンネルに入り、耳がぼわーんとする変な感覚を感じたからたった鳥肌なのか、その言葉に「気づかされた」からたった鳥肌なのかは分からないけど、大事なタイミングで言葉に触れ道が見えてくる音楽は自分にとって大事だと心から思う。

そんな歌を聴きながら、書くことは絶対にやめない。と思いながらnoteを書いていたらあっという間に新大阪駅に着いた。

駅について、キャリーバッグを持ってホームへ上がると平日の18時過ぎの新大阪駅の人の多さが異常なことを思い出した。
四方八方から人が目的のホームへ向かいただ流れるように進んでいくのを見て、「この中にどうやって入るんだっけ」と感じた。

たった10日間しか金沢に行ってないけど、これは昔からよくあることで…大阪より人が少ない場所に出向いてからここに帰ってくると必ず歩き方を見失ってしまうのだ。
しかし、東京だけは例外で、東京から大阪に帰ってきたときだけ「ああ、マイホームタウン…」と右側に立つエスカレーターに感涙する。

新大阪駅から特急に乗り換え、最寄り駅に着き、タイミングよく来たバスに乗る。
アイカではなく、イコカをかざし、家の近所のバス停からゴロゴロと音を立てながら歩くこと数分で家に着いた。なんとなく聴いていたボニー・タイラーの「Holding Out for a Hero」がサビに入った瞬間だった。家のベランダには洗濯物を取り込んでいる弟がいて、「やっほー」と声をかけると「あ、久しぶり」と冷ための声をかけられた。
当たり前のように家に入り、和室にキャリーケースを広げると、何事も無かったように弟が和室に降りてきて「新人王が決まったタイミングで帰ってきた」と言うので「まあ、村上君だよね」「あ、私は最近太田ニコルンの画像ばっかり見てる」「そうだ、矢野レボリューションのミーティング見た?」とか。昨日もここにいたかのように会話を続け、普通にお風呂に入ってやけに片付いた自室で寝た。

起きてすぐに決まった案件の下調べを始めて、よく行くセブンイレブンにお昼ご飯を買いに行って、やる気が失われたタイミングで昨日サンダーバードで書いていたnoteの続きを書き出した。

そうやって、時間は当たり前のように流れて行くから。とにかく私は「今」を生きようと思う。

この言葉で締められたらよかったけど、頭の中でワタルさんが「今を生きる~」と歌いだしたので、大好きな曲のライブ映像を貼って終わりにしよう。


大切な時間をいただきありがとうございます◎ いただいたサポートで、サスケにチュールを買います。