音楽を聴くと、誰かの人生を垣間見れる瞬間に出会える。
どれだけ「スゴイ」と言われている人にも、過去はあると思う。辛いことはもちろん、苦しくて逃げ出したくなることだってあるだろう。
そうやって「スゴイ」と言われる人たちは、自分が今まで頑張ってきたことや、過去を話すことは少なくて、ただ、それが少し垣間見える瞬間があるとしたら、それはその人が聴いている「好きな音楽」に触れる瞬間かもしれない。
私自身、音楽に人生を救われた一人で、学校を辞める時も音楽の力で決断をしたし、今の夢とは少し違うけど「こうなりたい」と感じたのもライブハウスから帰る道で、考え事をしているときだった。
音楽はそれぐらい誰かの人生に彩をあたえ、活力になるものだと思う。 そんな音楽と野球、そして選手たちに想いを馳せてみる。
甲子園に初めて行ったときに、本拠地の選手にはそれぞれ登場曲があることを知った。バンドでいえばSE、芸人さんでいったら出囃子といったところだろうか。
この曲に、その人の「生き方」や「やってきたこと」が全て刻まれているんじゃないか…と思う瞬間があった。もちろん、ノリが良くて、打席やマウンドに立つ時にテンションの上がる曲を使っている人もいると思う。
例えば、阪神の植田海選手が打席に立つときにperfumeのFLASHが流れる。甲子園の広い球場内に響く鮮やかな音は、繊細で、そしてよく耳に残った。
友達と「なんか今日この曲ばっかり聞いてるきがしない?」なんて話をしたぐらい、その音は印象的だった。
当時の私は、植田選手の顔をあんまりちゃんと知らなくて、ビジョンに映る顔とperfumeの曲を照らし合わせてみていた。
その時に「他の人は、どんな曲を使っているんだろう?」と気になり、打席に立つときの曲を気にかけていた。リリーフで出てくる選手は、リリーフカーに乗っている時間があるぶん他の選手より長く曲が聞けていいな…なんて思った。
それに何よりうれしかったのは「自分の好きな曲」を使っている選手がいてることだった。
家に帰ってすぐにヤクルトの選手の登場曲をざっと調べては、「うわ~!これ使ってる!嬉しい!神宮で聞きたいな〜」なんて喜んで、テンションが上がりきった私は、12球団で登録されている選手全ての登場曲をザッと確認した。
そこで思ったのは、「やっぱり今はWANIMAがトレンドなんだな~」とか、「GREEEENはやっぱり多いよな~」という事。
つまり「アップテンポの応援ソング」が人気があるということだった。
どの曲も、自分の力を倍にしてくれそうな、そんなパワーがある。
確かにそうだよな~と思った。
だって、自分が打席に立つときや、投げる前(経験がないから想像の話)ってある程度気持ちを高めたいし、できれば応援される曲がいいに決まっている。
ヤクルトの選手で言えば、山田哲人選手はWANIMAもGREEEENも使うというポテンシャルの高さをみせている。さすがトリプルスリーは違う!すごいぞ!(何が)
なんて興奮しながら、あまりにも選手と登場曲の関係に興味がでてきたので、AppleMusicでとりあえずヤクルト選手の登場曲を一通り聞いてみることにした。
これは暇だからしているのではない!ある一種の研究だ!なんてその時は自分に言い聞かせて、調べては聞き、調べては聞きを繰り返した。
まず思ったことは、それぞれにちゃんと好きな理由かあるんだろうな。ということ。
いや、当たり前だろ、、と思うかもしれないけど、音楽には色々な聞き方があって、好きになる方法も違うから、こうやって自分で選ぶ曲には思い入れが違うんだろうな。と、思った。
洋楽に関しては、和訳を調べるまでのモチベーションがなかったので、聞き流す程度だったけど、邦楽に関しては歌詞を出して聞いていた。
歌詞を目で追いながら聞くと、なんだか色んな風景が浮かんできて、聴いている曲を知っている選手にあてはめながら聞くと、やっぱり「スゴイ」人は、みんな頑張っているんだと思った。
頑張っているなんて言葉はありきたりすぎて、失礼に当たるかもしれない。
でもその人の好きな曲を聴いて、その人への想いが深くなるのは良いことなんじゃないかと思った。
登場曲の中には、昔の経験や、頑張ったことを思い出させてくれるような曲が多くて、個人的に新しく好きになれた曲もあって、なんだか「教えてくれてありがとう」って感じにもなった…(笑)
そうやって、いろんな選手の曲をヤクルトの公式HPに載っている順に聞いていて、
ビビッ!!!!ときたのが、ルーキーの大下佑馬投手の曲だ。
彼は「THE YELLOW MONKEY」の「バラ色の日々」を登場曲にしている。
ご存知の人も多いであろう、イエモンのバラ色の日々は、2000年に発売された曲で、ファンの中でも特別支持の高い曲のひとつだ。
イエモンは2004年に解散をして、2016年に再結成したバンド、その日を待ちわびていたファンも多くて、再結成後の全国ツアーは即完売。
そんなイエモンの名曲「バラ色の日々」がまた有名になったのは、再結成後に初めてでたテレビ番組で歌ったのも理由のひとつだろう。
(このままいくと、イエモンの話をしそうになりそうなので、話を本題に戻そう…。)
そう。私はイエモンがとても好きなのだ。
だから、大下投手がイエモンを登場曲に使っているのを知ったとき
「最高!大下投手が好き!もう最高だ~!!」と喜び
さあ、早くあの曲を聴かせてくれ!と既に購入していたバラ色の日々を爆音で聴いた。
あ〜この始まりがいいんだよな。追いかけて〜も追いかけても〜というフレーズ、そしてあのギターが鳴り終わったあとに、ドラムが始まるあの瞬間が最高なんだよ〜!!
(やばい、まただ、またイエモンの話をしそうになっている...)
とにかく、
自分の好きな曲を使ってくれている選手がいることは本当に嬉しいことで、その人の人生を少し知れた気になってしまう。
阪神のルーキー高橋遥人投手もその一人で、彼はサンボマスターの「できっこないをやらなくちゃ」を登場曲にしている。
いわずと知れたサンボマスターファン(知らない人の方が多い)の私は、そのことをドラムの木内さんのツイッターで知った。木内さんのコメントには「また応援したい選手が一人増えた」と書いていた。
私ものそのひとりだ。
できっこないをやらなくちゃは、最近チアダンで使われたことから知名度があがった。発売されたのは2010年で、当時はセスナのCMに使われていたので、「諦めないでどんなときも〜」というそのサビを聴いたことがある人も多くいたと思う。
そんな曲の良さは、ボーカルの山口さんの考える、ストーレートすぎる「歌詞」だ。
「やはり自分じゃダメかなんて無駄な言葉だよ」
「君ならできないことだってできるんだ本当さ嘘じゃないよ」
と、背中を押してくれる言葉には励まされる人も多いだろう。
私はライブハウスでこの曲を聴き、歯を食いしばりながら涙を流し、感動した1人だ。
今年、チアダンの主題歌のシングルを発売するにあたり、できっこないをやらなくちゃの新録が発売された。その新録verのギターが最高で、やっぱり山口隆という人間の素晴らしさと、サンボマスターは最高・・となったのである。
(やばい、またやらかしている、、今日は野球の話をメインにするnoteを書くんじゃないのか!!)
なんでこのnoteを書きたくなったかというと、やっぱりこうやって登場曲を知ったときに、選手を少しだけ近く感じることができたから。
音楽を好きな人にはいろんなタイプの人がいて、ただ聴いていることが好きな人もいれば、その歌詞や音に生きる活力をもらっている人もいると思う。
大下投手が使っているバラ色の日々にはこんな歌詞がある。
「砂漠の荒野に倒れても 長い鎖につながれても明日は明日の風の中を飛ぼうと決めたよ」
私はこの歌詞を聴いたときに、ああ、これからいろんなことが待っている人生かもしれない。それでも、前を向いて歩くことが良いんだ。
そう思った。
もしかすると、そんなことを彼も感じたんじゃないかな?なんて、気持ちがでてきて、とても嬉しい気持ちになれた。
色々な人に出会う人生の中で、この人と自分って似ているな…と思う人の多くは自分と同じバンドが好きだったり、同じ曲を聴いて歩んだ来た人が多かった。
私は音楽に助けられてきた人生を送っているから、音楽への思い入れがかなり強い。だからこうやって、ほんの数秒しか使われない選手の登場曲を知ることも、野球を好きになる理由で、魅力のひとつだと思う。
昔のことを少し思い返してみると、そういえば、、!と思う出来事があった。
中学生の時、着うたが流行っていてて、その時、私は阪神の桜井広大選手が好きだった、野球を見ているより、なんとなく「桜井広大」を応援していた。
私は、当時彼が登場曲に使っていたエルレガーデンの「虹」を購入した。
エルレガーデンを知らなかった私は、その曲を歌っている細美武士さんのことを知らなかったのはもちろんのこと、そのバンドが人気のバンドという認識もなかった。
ただ、応援している選手が好きな曲という認識だった。
それでも、その曲の明るい感じがとっても好きになって、フルverも購入したんだった。
だから、登場曲っていうのは、選手にとっては自己主張のひとつなのかもしれない。
そしてそれを知ることは、見にきてる人にとっても大事なことなんだと思う。
いろんな野球の見方があって、いろんな球場の楽しみ方がある。
もしこの記事を読んでいる人の中で「音楽を好きだから、選手の登場曲を調べてみようかな」なんて人がいてくれたら嬉しいし、「野球好きだけど、あんまり音楽を知らないから、好きな選手の好きな曲をちゃんと聴いてみようかな」なんて思ってくれた人がいるのなら最高に幸せなのです。
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