【J1 KAW🐬v JUB🐦】求め過ぎが結果を停滞させ、起きた采配ミス

リーグ後半戦がスタート。
選手たちはここから過酷な夏を乗り越え
シーズンを走り切る。

今日は、後半の開幕戦
川崎フロンターレvジュビロ磐田について
両チームの戦術面を見ていく。

1.両チームのフォーメーションと簡単な紹介
川崎：4-1-2-3
磐田：3-4-2-1

先日の札幌戦と同様のフォーメーションだが、
磐田はディフェンス局面での立ち位置が異なっていた。
松本、吉長の両WBが下がり、5バックを形成。
大森、上原の両シャドーがSHの位置まで落ち、
「変則の5-4-1」とも言える。

この守り方は、
・サイドに4枚
・中央に5枚
選手を配置できるので、ブロックとしては密度があり強固である。
しかしながら、デメリットを挙げると
・杉本1枚が前線に残るのでカウンターが打ちづらい
故に攻め込まれると、ボール奪取をしても相手陣内に行くことが大変困難である。

・川崎は、9枚のDFブロックをどう崩すか
・磐田はどうオフェンスに移行するのか

の2点を特に注目して、
①何故、川崎は前半圧倒できたか
②磐田は後半に何を変化させ、一方的な試合展開を打開したのか
「ビルドアップ」「フィニッシュ」「プレス」「ブロック」の4局面を中心に解いていく。

2.川崎が前半圧倒していた理由

まず結果を言うと、前半は1-0の川崎リードで折り返す。
圧倒していた理由は簡潔に、
「川崎のビルドアップv磐田のプレス」が全てである。

前半は、磐田のプレスは、ほぼ皆無であった。
・杉本がどっちのサイドに寄せながらコースを限定していくのか
・どこでボール奪取するポイントを置くか
等のプレス局面での決まり事が見られなかった。

対する川崎のビルドアップは、
谷口、車屋のCBが後方に位置した上で
・アンカーの大島が2人の間、若しくはその一方の外側にポジションを取る。
・家長、チャナティップが中盤に降りてくる。
・山根、橘田は相手と味方の立ち位置を見て、WGポジションまで上がるのかSBポジションに留まるのか決める。
等、全体的にポジションの位置どりに拘らず
自由且つバランス良く、様々な選手が関わり
ビルドアップに参加していた。

磐田は、上手く人を捕まえきれずにズルズルと後退
失点しないために、「[5-4]-1」で9枚ブロックを形成していた。
対する川崎はフィニッシュ局面に持っていくように、
相手の9枚ブロックの穴を作り出すポゼッションに移行した。

磐田が9枚ブロックでコンパクトに守ってきては、
川崎は逆サイドにボールを展開し、幅を持ったポゼッションをする。
→磐田は対応するべく、
サイドに揺られながら徐々に密度を薄くし、
幅を持った9枚ブロックへ変化する。
→川崎は、密度が薄くなった中央へ楔を入れ、
2列目の選手が飛び出しパスを受ける
或いは再度作り直す
→磐田は対応するべく
再度、コンパクトな9枚ブロックを形成する

この展開がループし、
磐田がボール奪取できて前線の杉本にボールをつけても、
大森・上原は低い位置でブロックを形成してるので、
攻め上がりが遅くなり、カウンターが上手く撃てない。

以上を踏まえて、
磐田は
・攻撃を撃てない、又は撃ててもカウンターとして成立していない
・0-0で折り返して立て直しを図りたい
・プレスは諦め、ブロックで凌ごう
というスタンスに変化し、前半は一方的に攻め込まれた。

「一方的」と言うものの1点に留まった川崎。
個人的に思う「その原因」を4に記すため、ここでは割愛する。

3.磐田は後半に何を変えたのか

後半、磐田は1点を取り返し、1-1で試合を終える。
リスペクトが欠ける発言に聞こえてしまったら
大変申し訳ないのだが、
攻める為に必要な要素「ビルドアップ」は、
前半とそこまで大差はなかったと感じた。

では、何故1点とれたのか。
そして川崎は追加点を取れなかったのか。

大きな変化をもたらしたのは、
前半は皆無であった「磐田のプレス」
要所に効いてきた事により
「川崎のビルドアップ」が不完全なものとなった。

まずは「ハナからのブロック形成を止める」
即ち、「前線からのハイプレスをかける」事を意味する。

前半の大まかな磐田のスタンスは
・杉本がやんわりとCBにプレスをかける
（これが既に杉本v谷口・車屋で数的不利）
・9枚はしっかり引いて守る

対する後半に打った策は
・杉本と[大森or上原のどちらか]の2枚で、川崎CBと数的同数を作り出しプレスをかける
→この時、中を切りながら、なるべくサイドから攻めさせるようにプレスをかける
・アンカーの大島は、[大森or上原のどちらか]または鹿沼がケアをする

このようにハイプレスをかけると
CBとアンカーで数的同数を作り出せるので相手にプレッシャーをかけられる。

但し、気になる点が2つ。
①磐田CBを1枚マークにつかず常に誰かをフォローできる状態で残しておくと、必ずどこかで川崎の選手がフリーになる
（原則として、全てを1v1の同数はリスクが高い為しない）
②大島のクオリティでプレスを無効化されないように最善の注意が必要

①に関しては、
サイドから攻めさせるプレスが解決策として取られていて、
単純に中央→ゴールに向かわれるよりも
サイド→ゴールの方が、時間がかかるので
相手のオフェンスを遅延させ、自分達の9枚ブロックを形成する時間がとりやすいこと。
②に関しては、
大島だけにはある一定の距離感で対応する
というか、これには注意しろしか、策がない…

磐田はこうして、
川崎の「ビルドアップ」「フィニッシュ」を不全にした。
ここが機能するだけで
自分らの「ビルドアップ」が上手くいかなくても、相手のミスを利用した
・カウンターからのフィニッシュ
・スローインからのフィニッシュ　等、シュートチャンスを作り出せる。

事実として、
・得点シーンは、川崎のサイド→中央→縦パスミスからのショートカウンターで得たコーナーキック
・87分のジャーメインのヘディングは、自陣からのロングカウンター（縦に手数をかけずに速く）
が大きなビックチャンスとして生まれた。

川崎サイドからしたら、
・サイドからでも速く仕掛けるようにしたいこと
・「ビルドアップ」を機能させること
と変化を加えたかった。

実際に、最初の交代カードはマルシーニョを使い
縦へのスピード意識は持てたが、
塚川の左SB起用や瀬古の1シャドーでの孤立等
ビルドアップ面での改善は上手くいかず
ズルズルと自分達の時間が掴めずに終わってしまった。

4.「自分達の時間で1得点」と「鬼木監督による采配ミス」

依然として調子が上向かない川崎フロンターレ
今日の試合を中心に、現状思う課題を勝手ながら2つ書きたいと思う。
4-1.得点力不足
一見、FWが悪いように思うこのワードだが
チーム全体がこれを引き起こしている。
まずは「決定機の喪失」
簡単に個々の技術・メンタル不足が原因。
「これ決めてよ…」と思うのがファン、サポーター心理だが、
どんな一流の選手でもミスはあるし、致し方ないもの。
「決定機を外しても、また決定機を作り出す」
そんなチームに[戻れば]、自ずと得点力は上がる。

次に「完璧を求めるポゼッション」
シンプルにシュートが少ない。
完璧に相手を崩してシュートを打つのは
ポゼッションサッカーにおける理想の形であるが
「その形を作るために打つシュート」少ない。
例として2つ
①中盤からミドルシュート
→相手のバイタルエリアでのプレスを誘発
→誘発して生まれたスペースを用いて崩す
②サイドから切り込んでシュート
→相手SBがペナルティの中を意識する
→外側をSBがオーバーラップして、クロスを上げる

「入らないシュートを打て」と言うのは的外れだが
完璧を求めすぎてバイタルエリアでポゼッションをしている現状。
相手は特段シュートを外から打たないのであればブロック形成を崩す必要もないため
現状の川崎は、相手が滞在しているスペースを無理矢理使って崩そうとしている。
（逆によくそれで得点するなとは毎回思う笑）

崩すために必要なスペース
これを作り出すために、まずはシュートの数を増やしていただきたい。

4-2.采配ミス(仮)
鬼木監督は優秀である。
ここ2年で代表級の選手が数名抜けたにも関わらず
ACL、天皇杯は敗退してしまったものの
リーグは2位につけている(6/25暫定)

解任論は無用。
なので采配ミス(仮)と名付けた。

では、何がミスなのか？
・求めるポジションでのタスクと選手個性の相反

現場のことは何も知らない為、
安易には言えないが
・橘田、塚川SB起用
・大島、脇坂、遠野の3センター起用
・小林の右WG起用
等、選手の持つ個性を活かさない起用がややある。
例で挙げると、橘田
彼は「高い予測能力」が1番の武器であるように感じ、
その武器をコートの幅、目一杯でも発揮できる。
「アンカー」起用した際に、ボール回収率が非常に高いが、
SB起用では、単純に守るべきサイドが明確且つアンカーに比べて幅は狭い。
1番の武器が、半減以下になってしまう。

ただ川崎には過去、例外があり
異質な起用によって覚醒した「旗手」のようなパターンもあるのだが、
果たして「旗手」以外にいたのか…？

ただ試している起用は、
長きに渡っていて成功してないものもあれば
大半は、近々に試しているもの
もう少し待って見る価値もあるとは思う。

以上が、試合全体の総評です。
長くなりましたが、最後まで読んでくださった方ありがとうございました🙇‍♂️
もし気に入ったらまた見にきてください🙇‍♂️