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最高位の礼。

腰を90度曲げて行う礼は

基本的には神さまに対して行うものだと聞いたことがある。


明治神宮での特別参拝に参加させていただいて

初めて立姿で行われる腰を90度に曲げて行われる礼を目撃した。

本殿前に立つ前

祓戸の神様の前で祓っていただく際に神職の方が

神様に対して見事に腰を90度に曲げて礼をされていた。

もちろん本殿前でも御祭神に対しても同様の礼をされていた。


立姿で背中を真っすぐにしたまま腰を90度に曲げるというのはなかなかにインパクトのある姿勢。

行っておられたのは若い神職の方だった。

腰痛持ちだったら絶対に出来ない姿勢だよね。

実際に自分でやってみると出来ない人も相当数いると思う。

昨日の特別参拝の参列者の方は誰ひとりとして腰を90度まで曲げている人はいなかった。

立姿で腰を90度曲げて礼をしたことある?

ほぼいないんじゃないだろうか。



人生で一度だけこの礼をしていただいたことがある。


その時のことは驚きとともにぼくの記憶に刻まれている。

初めて参加した曹洞宗の師家でもある井上貫道老師の坐禅会。

受付は無人で机の上に置いてあるノートに名前を記入していくというものだった。

自分の名前を記入して着替えの部屋はどこかと見回していたら

目の前の襖が開いて老師が出てこられた。

ぼくの顔を見た老師が無言のまま深々と腰を90度に曲げて礼をしてくださった。

慌ててぼくも無言で礼を交わした。


禅の本を読むだけでは一生悟れない。

すなわち禅は分からない。

坐禅を実践することが本当のスタート地点。

ただの知的理解から一歩を踏み出してスタート地点にやって来た新参者に対する老師の向き合い方を肌を持って感じさせていただいた瞬間だった。


とても美しい光景だった。

静かでとっても清々しい在り方として印象に残った。


立った姿勢で腰を90度曲げられる?


実際に行ってみるとかなりキツイ姿勢だよね。

90度腰を曲げる姿勢は

足裏で体重のバランスを取らないと姿勢を維持できない。

しかも神職の方が行われていたように

腰を90度曲げた状態で5秒以上静止したままでいるのは

全身が協力し合わないと出来ない。


カラダを感じながら姿勢を維持しているので

自然と脳内は静まっている。

自動思考が湧き起こってこない姿勢になっている。

だから礼を行っている人からザワザワが感じられないの。


最高位の礼って、なかなかよく出来ているんだなぁ。


自分にとって一番身近な人、パートナー、家族に対してこそ

この最高位の礼を行ってみてもいいかもね。




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