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ハッとして、時が止まる

雨の中、駅前の横断歩道で信号待ちをしていた。

突然、交差点を通過したバイクが転倒した。

信号が青になっても誰も動かない。

3秒?

いや5秒くらい経過しただろうか

自分も含め数人が転倒している男に走り寄って声をかけた。


バイクの単独事故。

ちょうど車側の信号が直後に赤になって

走っている車両もない状態。

バイクもそんなにスピードを出していない状態での

スリップ事故。


信号待ちしていた人は誰しもが

えっ

なんで

どうしたの

何が起こったの

一瞬、ときが止まった。

独特の静けさが交差点を覆っていた。


ハッとして

みんな一瞬、呼吸が止まる。

時がとまった瞬間は

記憶に刻まれる。

声かけが潜在意識に入ってしまう。



バイト先で

界隈で有名なバカ旦那と言われている男がいた。

ちょっと頭もおかしい社長の息子。

あるとき、この場所を○○のように整理しておいてと

指示を出された。

通常業務のあいまに作業していたら

突然バカ旦那が

誰に言われてそんなことしてんだあと怒鳴ってきた。


( ゚д゚)ハッ!?

ハッとして、ときが止まった。

矛盾した指示。

ダブルバインドがかかり

言い返すこともできずにフリーズしてしまった。

怒るよりもあっけにとられてしまった。

ハッとして、呼吸も止まる。



駅までの道のりに

両親がずっと利用していたクリーニング屋さんがあった。

お店の真向かいがご自宅。

いつものように帰宅途中に

前を通りかかったら

ご自宅の玄関の引戸が開いていた。


そこには

顔に白い布をかけられたおじさんが横たわっていた。


ハッとして、ときが止まった。

おじさん病気らしいよと母から聞いてはいたけど。

まったく予期していなかった瞬間。

ハッとして、ぼくの呼吸が一瞬とまった。


突然、死に、遺体に遭遇した。


死に遭遇すると

静けさが訪れる。

遺体を目の前にすると

考え事や悩み事が吹っ飛んでしまう。

そして静けさが訪れる。


この静けさ

アタマがポカーンとしている状態でもある。

ポカーンとなると

カラダが動き出す。

ホメオスタシスが働く状態。

カラダの働きを邪魔しているのはたいてい大脳緊張だからね。



この静けさを作り出して、

どうやって時をとめるか、

ハッとさせるか。

時がとまった瞬間に

かかっている暗示を解いていく。

心身の転換を可能とする瞬間を

いかに自在に作り出して

働きかけられるか。

息を吐ききった瞬間。

呼吸の間隙と言われる一瞬を

いかに使いこなせるか。

師匠に近づくための鍵がこの静けさにはある。



















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