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サイゼリヤで婚活パーティー

ひとりで飲食店に入るのに抵抗がない。まあ、牛丼屋やらファミレスやら、ひとりでも誰も気にしないような店にしかいかないからかもしれない。今日もひとりでサイゼリヤに入る。席に通されてハンバーグ(ライスは付けない)を注文。セルフサービスの飲み物を取りに行くときにすべての荷物を持っていかなければならないのが、ひとりサイゼリヤの不便なところか。運ばれてきたハンバーグをひとくちほおばって、なんでひとりで食事をしているのだろうと振り返る。

以前からいろいろなイベントを企画して開催してきた。会社員時代には社内イベントと社外でのイベントを合わせると、多いときには月に10以上を開催することもあった。内容は様々で、プログラミング言語を学習する勉強会だったり、カメラや写真にまつわるトークイベントだったり、テーマを決めずに好きなことをしゃべる会などというものもあった。社内では違う部署のメンバーが交流できるようなワークショップを開いたり、ママさんやパパさんを集めて子育てトークをする場を設けたり。クリエイターを8時間軟禁状態にしてなにかしら作ってもらうというイベントも盛況だった。

その中でもクレイジーだなと思うのが「将来が不安カンファレンス」という、将来が不安な人たちを集めておしゃべりをするイベントだ。企画当初は4、5人でほそぼそと開催することを想定していたのだけど、直前の別イベントで告知をしたところ30人以上の参加者が集まってしまった。押さえていた会議室は将来が不安な30人でいっぱいになる。将来が不安カンファレンスをイケイケなベンチャー企業の会議室でやるというのもなかなか狂気を感じる。参加者が多いので急遽進行を引き受けて、みんなの不安を聞き出して思い思いに回答してもらうという形式をとった。

あるとき、初デートでサイゼリヤはアリかナシかという議論がネット上で巻き起こった。婚活コンサルのツイートがことの発端なのだけど、それに対して多くの人たちが参戦してくる。そもそも男性がデートプランを立てて女性が評価するのがおかしいのだという意見も見られた。その一方で、付き合いだした女性をサイゼリヤに連れて行って反応を見てみようという発言が出てきて、本質はいったい何なのだろうと、もはや議論ではなくて言いたいことを言うというSNSの平常運転が見られた。

サイゼリヤでも大丈夫な女性を選びたい男性と、サイゼリヤがアリ派とナシ派の女性。うまくマッチングさせるためには、最初からサイゼリヤで出会えばいいのではないかと考え「サイゼリヤで婚活パーティー」を企画した。イベントの告知ページを作って告知をする。キャッチコピーは「そもそもサイゼリヤでいいじゃん」ということにして、ランチの時間を設定する。主催者の僕は参加者に入れずに男女2名ずつを募集。これは応募が殺到するのではという不安をよそに、冒頭に書いたとおりひとりでハンバーグをほおばることになる。

将来が不安カンファレンスの成功で気をよくしすぎたのかもしれない。集客力の足りなさを実感することになった。それでも懲りずにいまは「リーディンガソン」というイベントを開催中だ。これはリーディング(読書)とマラソンを組み合わせた造語で、8時間ひたすら読書をし続けるというイベントとなっている。ゴールデンウィークの間に各自が都合のよいときに都合のよい場所で8時間を確保して読書をする。こちらも予想通り参加者が集まらず、ひとりで読書をすることになるのであった。

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