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首都キャンベラへ、弾丸ひとり旅

オーストラリアの都市といえば、の質問に高確率で出てくるのはシドニー、メルボルン、またはケアンズ、ゴールドコーストあたりだろう。

恥ずかしながら私はオーストラリアに来る前、シドニーがオーストラリアの首都だと思っていた。

ご存知のようにシドニーは首都ではない。

オーストラリアの首都はキャンベラという都市。


シドニーやメルボルンという圧倒的二大勢力、ブリスベンという留学生などに親しみのある街、そして観光で有名なケアンズやゴールドコーストに隠れて、首都にも関わらずひっそりとその存在を控えめにしているキャンベラ。


そんな言ってしまえば “地味な首都” キャンベラに弾丸で1日ひとり旅に行ってきた。


最近、仕事でも家でもなんだか小さなモヤモヤが少しずつ溜まってきて爆発寸前になりかけていた。

おまけに仕事が休みの日にのんびり過ごそうにも私が住むメルボルンは平日、週末関係なく街にはたくさんの人で溢れかえる。

色々と重なり、「なんかちょっと疲れたな…」となり、人が少ない場所に行こう、少しメルボルンから離れようと思ったのがキャンベラに行こうと思ったきっかけ。

キャンベラならメルボルンからバスで8時間ほどで行ける。
金曜日、仕事終わりにバスに飛び乗って完全にノリと勢いでやってきたキャンベラ。

バスから降り立って、まだ朝日も上らない薄暗い中でこの首都キャンベラの景色を見た瞬間、私は「あ、好き…」となった。

シドニーのオペラハウス、メルボルンのフリンダーステーション、ゴールドコーストのビーチ、ケアンズの雄大な自然などのように、わかりやすく「キャンベラといえばこれ!」というものは無いのだが、その無機質でそれでいて洗練された街の風景がなんともかっこよく見えたのだ。

先述したようにおそらく私含め誰もが「キャンベラ…首都としては地味じゃない…?」と思いそうな都市ではあるが、その景色を実際に目の当たりにした時「どうだ、これがオーストラリアの首都だ」と言わんばかりのどしんと構えた雰囲気を感じた。

道路は広く、建物は洗練され、人があまりにも少なく静けさのある街の雰囲気はいかにも首都としてはクールだった。

完全に手のひら返しをしてしまったが、到着直後からキャンベラを好きになってしまった私。


オーストラリアに来てから約1年半が経って、北はケアンズ、南はメルボルンまで色々な土地にこれまで訪れたことがあるが、キャンベラは他の場所とは完全に異質だった。

それもそのはず、キャンベラは計画都市として人工的に作られた街。

元々はシドニーとメルボルンの間で首都を巡る争いが繰り広げられていた。お互いがオーストラリアの首都になるために争っていたのだが、その争いに終止符を打ったがキャンベラ。つまりキャンベラが首都になったのはその争いを終わらせるための打開案だったのだ。

シドニーとメルボルンとのちょうど中間地点あたりに位置し、「キャンベラ」(アボリジニの言葉で「人が集まる場所」)と名前をつけて首都となったのがこの街。

地理的関係で急に大役を担うこととなり、首都として計画的に作られたこの街はあまりにも他の都市とは様子が違った。

大きさではロンドン、芸術ではアテネ、そして美しさではパリのような都市に匹敵するように広大な景観と美しく洗練された都市であるようにと希望を持って作られたキャンベラ。

オーストラリア国立博物館
オーストラリア国立美術館
国立図書館
国会議事堂
旧国会議事堂


建物を見るだけでも訪れたものたちを圧倒する壮大さ。
静かな街並みにドンと構えたように佇むその荘厳な建物の数々に私はすっかり魅了されてしまった。

国会議事堂や首相官邸(今回は行けなかったが…)など政府機関もあり、国立美術館や博物館も同じような場所にある。街の主要スポットがぎゅっと固まって位置しているのも割と良くて、今回の私のような弾丸1日旅行でも各スポットを余裕を持って回ることができる。

そこまで緻密に計算されて作られたのかは分からないが、何はともあれこれぞまさにコンパクトシティだなと感じた。

美しい遊歩道
見事な曲線美
街を繋ぐ大きな橋
湖沿いの散歩道

建物だけでなく街の景観も非常にゆったりとしている。街の中心には大きな湖があり、そのそばには散歩道やカフェ、公園などがある。

週末にも関わらずどこに行っても人が少なくて逆に心配になるほどだったけど、みんなそれぞれが思い思いにランニングしたり湖のほとりのカフェでのんびり談笑したり、シドニーやメルボルンとは違う穏やかでのんびりした時間が流れていて非常に心地よかった。

カフェの店員さん、旧国会議事堂のエントランスで話したスタッフさん、ミュージアムで見かけたお客さんたち、今回のひとり旅で出会った人たちみんながすごく穏やかで素敵な人ばかりだった。

首都としての威厳、そしてクールな街並みと雰囲気とは裏腹にそこに住む人たちは日常を非常に穏やかに過ごしてるなという印象だった。

都会の喧騒にやや少し疲労感を感じていた私にとってこの場所はあまりにも素敵な潤いをもたらしてくれたし、何より日々抱えていた小さなモヤモヤやイライラを綺麗さっぱり洗い流してくれた。

自分の目で見て、足を運んで、五感を使って感じたこの首都キャンベラという場所。想像していた何倍も良くて、最高にクールで他の都市にはない異質で独特な雰囲気を肌身を持って感じた時にはもうすでにキャンベラのことが大好きになっていた。

弾丸1日旅で来たのが本当に惜しいなと思うほど、まだまだ行きたいところも見たい場所もたくさんある。だから必ずまた行こう。

本当に行けてよかったし、この国の首都を感じることができて幸せだった。

この美しき洗練された場所が首都であること、色々な人の思いが乗せられて作られた場所であること、そこに生きる人たちの暮らしぶりが見れたこと、どれもこれもこの1日で感じられたのが嘘みたいに楽しくて充実したキャンベラ旅だった。


いやぁ、最高。ひとり旅の気ままさも久々に味わえた。



ただ、1日で4万歩歩いたので足は棒になってます(笑)

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