◆一次創作メインシリーズ◆ Collectors! 科学が発展した現代社会。そこにただ一つだけ存在する魔法の街で繰り広げられる、剣と魔法とヒーローたちの物語。ファンタジーシリーズ。 Link: 2022年投稿予定。 蒼空の物語 空の向こう、遥か彼方の星々を巻き込む戦争の時代。蒼い空を守るために戦うパイロットの物語。SF。 Link: note未投稿。 お狐様と黒峰さん 京都の街のブラック企業で働くOLと、小さな社に住む狐耳の小さな神さま。広い世界を旅する物語。 Link
彼は神さまと友だちだった。神さまが友だちなのだと、少なくとも幼い頃の彼は信じていた。 『次は――』 ガタゴトと揺れる電車の中にスピーカーから流れる車掌の声が響く。目的の駅が近づいたことに気付いた男は、網棚の上に置いていた鞄を手に取った。窓の外からは沈みゆく太陽の光が差し込み、彼の顔を照らしている。 懐かしい景色だ。くたびれた身体を手すりに預けながら彼は思った。もう三十年経ったのか。窓の外に流れる景色に頭の中に残っていた風景と重ねる。電車が進むこの街は、かつて彼が両親と一
「この街から出ていきたいってほんと? こんなに魔法でいっぱいの街なのに!」 私が外の世界に行きたいと言うと、外の世界から来た人たちはみんな同じ言葉を口にした。 私が生まれた街には魔法がある。科学が発展した現代に存在する、科学とは違う文明を持つ私の故郷。呪文を唱えれば花が咲き、魔法の紋様からは水が湧き、魔法の道具で家事をこなす。 ニューヨークのような煌びやかな摩天楼はない。ここにあるのは柔らかな魔法の明かりが灯る街灯と、そう高くはない建物が続く煉瓦造りの街並み。 東京の
真夜中、空を見上げると、夜空に尾を引く流れ星が一つ。 『何か願い事した?』 『うん、ちょっとね』 暗くなった部屋の中、星々が煌めく闇夜の下で、僕は友人からのメッセージへ返事を打つ。きっと僕は今、誰にも見せられないような笑顔をしているだろう。 僕はスマホの画面を閉じ、もう一度頭上に広がる星空へ瞳を向けた。彼女も今、この街のどこかで同じ空を見ている。今日学校で彼女が見せたあどけない笑顔が頭をよぎり、僕の胸はぎゅっと締め付けられるように痛んだ。 静かな部屋に響く通知音。僕は
春。京都の街に新たな季節が訪れたことを告げる風が、規則的に植えられた街路樹を揺らす。青く澄み渡り、白い雲が流れる綺麗な空が、今日はピクニック日和だよ! と、道行く人々に語りかけ——。 そんな現実逃避をしながら、私は髪の薄い嫌味な上司の説教を受けていた。 「聞いてるのか黒峰! そうやってお前はいつも人の話を聞いていないから——」 「はい、はい。申し訳ありません」 分からないことがあったらすぐに聞け、と言われたから質問したのに、何故私は怒られているのだろう。ただた