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越前漆器の新たな可能性に挑む若き代表の挑戦【前編】

伝統的工芸品の一つ「越前漆器」の産地がある福井県鯖江市。全国各地に漆器の産地はありますが、約1500年前から漆器づくりが始まり、時代のニーズに合わせたものづくりが脈々と息づいていました。ハレの日に用いられる高級な器から、使いやすい日用のものまで、現在も新たな漆器が誕生しています。

福井県鯖江市にある高橋工芸は、1925(大正14)年から漆器づくりを手がけている工房です。4代目の高橋亮成(あきのり)さんは、2018年に地元に戻り20代にして代表に就任しました。県外に出たからこそわかる、福井のものづくりの良さや可能性について伺っていきます。

高橋亮成さん
鯖江市生まれ。高校卒業後、大阪の大学に進学。大学在学中からミュージシャン(ベース)としても活動しつつ就職。2018年に帰福し、高橋工芸の4代目として家業を継承。「100年後の未来に残る製品」をモットーに、奥様やスタッフとともに新製品を企画開発している。

社長の息子が多いのは、ものづくりのまちならでは!?

鯖江は漆器のほかにめがねの産地としても知られています。
ものづくりのまちならではのエピソードから
インタビューはスタートしました。

高橋さん(以下、高橋):小学校の同じクラスでは、実家がめがねの会社や漆器の会社をやってる同級生が結構いましたね。ものづくりに関わる会社が多いのはこのまちならではの光景かもしれません。家が会社をやっている、親が社長…と聞くと一見すごそうに思うかもしれませんが、漆器もめがねも分業で行われるものづくりなので、家族だけでやっているような小さな会社が多いんです。高橋工芸も家族、親戚を入れて10名ほどの会社で、自宅の隣に工房があったので、小さい頃からなんとなく家の仕事を見ていました。

「小さい頃は事務所で宿題をしたり、夏休みは作業場周辺で遊んだりしてましたね」と高橋さん


ベースをきっかけに音楽にハマる

越前漆器は土台となる木地づくりからはじまり、
下地、塗り、蒔絵などの装飾など複数の工程から生み出される工芸品。
高橋工芸では茶道具や節句人形箱など漆器の塗りを手がけています。

「塗る」と言っても塗ったり研いだり10以上の工程を経てつくられていく

幼い頃はプラモデルなど細かいことにこだわりながら
作ることが好きだったという高橋さん。
職人たちの仕事が身近な環境で育つものの、
その頃は家業を継ぐつもりはなかったといいます。

高橋:親から「家業を継いでほしい」と言われたことがなかったので、跡を継ぐことは考えていませんでした。母親がピアノの講師で幼い頃からピアノをやっていたので、音楽の方が楽しかったんです。高校1年生の時にはベースをはじめて、バンドにのめり込むようになりました。大学も県外に出ることしか頭になかったですね。進学して勉強するというよりも、その時は実家から出たいという気持ちが強かったのかもしれません(笑)。


20代にして家業を継ぐ決意を固める

大阪の大学に進学し、本格的にバンド活動を行うようになった高橋さん。
卒業後も音楽と仕事を両立させていた高橋さんでしたが、
父親の体調が思わしくないことを知り、
2018年に高橋工芸の代表に就任します。
20代にして家業を継ぐことになり、不安はなかったのでしょうか。

高橋:もちろん不安はありました。幼い頃、実家の仕事を見ていたといっても何か教えてもらったわけではなく、“なんとなく知ってるくらい”でしたから。でもまずは家業のことをしっかり知ることからスタートしようと思い、家族やベテランスタッフ、外部の職人さんからもいろいろなことを見聞きする日々でした。

同級生はいても仕事のことで頼れるわけではないので、漆器組合の青年部の集まりなどにも片っ端から参加していましたね。周りも気にかけてくださって、僕のことを歓迎してくださったので、とてもありがたかったです。半年くらいは大阪と福井を行き来していたのですが、2018年9月に正式に地元・鯖江にUターンしました。その頃になると、「自分が続けられる形でやっていくしかない」と覚悟を決められるようになりましたね。

「幸い、周りで助けてくださる方もたくさんいたのがありがたかったです」

ーーー
高橋工芸の代表として新たな一歩を歩み出した高橋さん。後編では、久々に地元に戻って感じたまちの変化や、漆器の世界に新たな一手を投じた商品の開発秘話について伺っていきます。

※記事の内容は取材当時のものです。

高橋工芸
住所:福井県鯖江市落井町50-5-1
https://o-takahashikogei.com


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