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若狭の豊かな自然を活かしたものづくりを未来に、世界に広める【後編】

江戸時代に200戸を超える街道随一の宿場町として栄えた若狭町の「熊川宿」。現在も奉行所・番所・お蔵屋敷の跡など情緒あふれる風景が広がり、最近では昔ながらの町並みを活かしたオシャレなカフェや宿泊施設なども続々と誕生しています。そんな熊川宿のなかにある「若州窯」は、2019年にオープンした陶芸家・飛永なをさんの工房。そして、若狭のものづくりの発信を目的に設立されたNPO法人「若狭の海と空とものづくり」の拠点でもあります。

前編はこちら

熊川宿に佇む築150年の古民家を工房に

若狭エリアのものづくりに携わる職人たちが
抱えていた問題に直面した飛永さん。
若狭のものづくりの未来を考えるため、仲間たちとともに
NPO法人「若狭の海と空とものづくり」を立ち上げます。
自身も陶芸家として独立し、熊川宿に「若州窯」をオープンしました。


飛永さん(以下、飛永):独立のための場所というよりも、職人たちが集える拠点がないか、いろんな場所を探していたんです。その時、もともと知り合いだった方から熊川宿にある築150年の古民家を紹介してもらいました。熊川宿は宿場町の名残がある歴史情緒あふれた街並みなのですが、当時は空き家になっている物件もいくつかあったんです。県外にいる大家さんに代わって、眠っているこのお家を活かせるならと思い、改修して使わせていただくことになりました。

築150年の古民家はもともと米屋だったそう。奥には広々とした中庭や蔵がある

自然が息づく若狭のものづくり

工房内には飛永さんが制作した陶器のほか、
若狭塗、若狭めのう細工、若狭パール、組子細工、ガラスなど、
さまざまな作品が展示・販売されています。
若狭エリアのものづくりの良さはどんなところにあるのでしょうか。

飛永さんの作品は深い森の中にいるような質感を持つシンプルなデザインが特徴
ガラスや組子細工、若狭パールなど、「若狭の海と空とものづくり」メンバーのさまざまな工芸品が並ぶ

飛永:例えば、若狭塗は漆器のなかでも若狭の美しい海底を図案化しているのが特徴です。卵の殻や貝殻、マツの葉など、自然由来の素材も使われているんですよ。若狭の工芸品は自然にインスピレーションを受けたり、この地で培われた素材が使われているので、より風土を感じてもらえると思います。ほかのエリアでは分業で行われるものづくりも、若狭ではすべての工程を一人の職人が一貫して行なうので、作品によって職人の個性が出るのも面白いんですよ。

若狭の海の景色が思い浮かぶような若狭塗の作品


若狭のものづくりが世界へ

その後、「若狭の海と空とものづくり」では、
若狭の工芸をより多くの人に知ってもらおうと
若者向けワークショップやイベントを企画。

さらに「若狭めのう」「若狭パール」「高浜組子細工」の
コラボレーションにより生まれたオリジナルアクセサリーは
日本の魅力を海外に発信する「クールジャパン商品」に選出され、
2018年と2019年には、フランス・パリでの展示販売も果たしました。

若狭の工芸がコラボレーションしたオリジナルブランド「一歩~IPPO Japan~」

飛永:海外でも特にパリは日本文化が好きな方が多く、真剣に作品と向き合ってくれる印象でしたね。それゆえ、好印象なものから厳しいものまでさまざまな評価をいただきましたが、なるほどと思うようなものばかり。日本と海外で好みやライフスタイルの違いも感じました。例えばピアスであれば海外の方は大ぶりのものを求めるとか、パリっ子はブルーが好きとか(笑)。

個人の工房ではできないようなことも、みんなで集まると実現できるので、「若狭の海と空とものづくり」を立ち上げてよかったなと思います。メンバーのみんなもモチベーションが上がり、「もっと海外で仕事を作りたい!」とみんなの夢が膨らんでいるんです。

「若狭の海と空とものづくり」のメンバーたち

熊川宿が新たなクリエイターの聖地になるかも!?

「若州窯」がある熊川宿では、
作り手たちと工房をシェアする計画も立ち上がっています。
さまざまなクリエイターが集まり、みんなの夢が広がっていく。
そんな心地よい循環がこの場所から起こり始めています。

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江戸時代の宿場町の面影を残す熊川宿。時がゆるやかに流れる

飛永:昔ながらの街並みが残り、川のせせらぎが心地よい熊川宿は、腰を据えてものづくりに取り組みたい方にはぴったりだと思います。窯もあるので、もし陶芸をやりたい人がいればぜひこの場所で新しく始めてほしいですね。

最近ではゲストハウスやコワーキングスペース、カフェなど歴史の文脈を大切にしながら熊川宿の建物を活かす新しい動きも生まれています。 若狭の自然が好き、物づくりが好きなどきっかけは何でも構いません。歩みはゆっくりかもしれませんが、「ちょっと行ってみようかな」から「ここに住んでみようかな」「ここでつくってみようかな」という人が増えて、この地のものづくりを100年後も伝えていけたらと思っています。

※記事の内容は取材当時のものです。

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NPO法人「若狭の海と空とものづくり」・「若州窯」
住所:福井県三方上中郡若狭町熊川21-8
TEL:0770-50-7969
https://www.facebook.com/wakasamono

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