本記事でやっていることの要約三行
前提
本記事の狙い
生成 AI / LLM の一つの可能性を探ってみる
これを機にそれぞれの文豪について興味を持ってくれたら嬉しい
単に私がやっていて楽しいので、楽しさを伝播させたい
本記事読者へのお願い
生成 AI / LLM について
「調教」においては『青空文庫』より「新字新仮名」のものを選んで、それぞれの文豪の文体の特徴抽出をおこなっています
調教・出力ともに Anthropic の Claude 3.5 Sonnet を用いています
お題の文章は LLM にコンテクストとして渡しません。LLM 内で既に保有されている知識に負うものとします
それぞれの出力ごとに別々のスレッドを新しく立てています
「調教」という語について
文豪のチョイスについて
お題
夏目漱石
調教無しでの出力
文体は完全に『土佐日記』原文に引きずられていますね。面白みも漱石みも何も無い……
調教済みでの出力
だいぶ漱石らしい理屈だった硬さが出てきた感じがします。それだけに、『土佐日記』そのものの性質であるところの「女性が書いた」感がまるで無いですね。いやそれは「女性の手による文体とは何か」という話になってくるな……
芥川龍之介
調教無しでの出力
『土佐日記』の冒頭から完全に離れていってしまいました。ただの日記についての芥川風所感です。
調教済みでの出力
文章そのものの面白みは出てますね! ただ、『土佐日記』そのものをメタ的に認識してしまっているせいで、「男の手になりて女の筆跡を装い」と書いていたり、女性が書いているものだというのに「それは奇しくも亡き妻の声に似て」なんて書いてしまっている点がアウトです。
太宰治
調教無しでの出力
太宰に憧れているだけの拗らせ感がすごい……
こちらもまた『土佐日記』のメタ認識が悪い方向に出ていますね。
調教済みでの出力
これもまたメタ認識されちゃってるのかなーなんて思って出力させてみたところ、男が書く日記を女が真似するという大前提をひっくり返してきた!! 日記は女が書くものだという常識にされちゃいました。これはこれで面白いかもしれない……シン・土佐日記。
幸田露伴
調教無しでの出力
色々とお願いしてみたものの出力してくれませんでした。
調教済みでの出力
こちらはメタ認識が発揮されていなくて良いですね。ただ、女性が書いているフリ感はまったくなくって、どこからどう読んでも露伴節が全開です。
や、露伴節が全開というのがスゴイですよね?
泉鏡花
調教無しでの出力
やっぱり泉鏡花に憧れているだけ感が。
そしてあっさりと「実は陰翳深き男の魂」というネタバレを晒してしまう。
調教済みでの出力
これまで例外なく全員「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」から始まっていた文章に、ひねりが加えられました! 面白い。
単なる旅の日記という雰囲気がさっぱりなくなって、幽玄玲瓏な世界観に。
「土佐、その名は既に魂を揺さぶる不思議な響きを帯びて」って、土佐に新たなイメージが。
おわりに
雑感
前回の『竹取物語』冒頭とはちょっと異なる方向性のお題を……ということで『土佐日記』冒頭を選んでみましたが、なかなかに予想外の出力が続いて面白かったです。けっこうメタメタにネタバレされましたね。
漱石、芥川、太宰は、『竹取物語』と比べると、うーん……? という感じがしていましたが、露伴と泉鏡花が良かったです。太宰は、調教に『女生徒』を用いていないのですが、もし用いたらまた違った結果になるかもしれませんね。
調教手法について
なお、調教手法についての概要は以下の記事に記しています。
興味ありましたらこちらもご参照ください!
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