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麻雀と生態学 (22)保存と保全

概要 
麻雀多様性を維持して、界隈の発展を続けていこう。


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本題

「保存」というネット麻雀の用語

最近、新シリーズの動画投稿を始めた。

三特にて9月成績20-26-8という上ブレを引ききって、
晴れて鳳凰卓(天鳳というゲームの最高ランク卓)で遊ばせて貰えるようになった。

三鳳では勿論のこと苦戦中だ。
そんな中、ネット麻雀では「保存」という考え方が存在する。

端的にいえば、
目標の段位やランクを達成した後に休止して、それを維持することである。

保存にはネット麻雀特有の背景が関係しているように思う。

・打数制限が無く、終わりどころがないゲームである
・高段位や高ランクの先がそもそも実装されていないことがある
・箔のついた状態を維持することができる

このように様々な理由があり、
目標を達成できたら打たないという考え方にも頷ける。

一方で、「保存をするべきではない」という意見もある。
しかしながら、『降段を恐れるな』というのは少々的外れな考え方にも感じる。

保存は保存で、有意義なものだからだ。

私(氷室谷)はどうかというと、降段してでも打ち続けたい派だ。
強い人と打てるのは楽しいし、実力不足を直接肌で感じるのも良い経験だ。

ただし、この考え方を正当化するつもりは無い。
何か良い考え方、捉え方はないだろうか?

そこで思い当たったのが、生態学ではお馴染みのフレーズだった。


生き物や環境の「保全」

保全という言葉を聞いたことがあるだろうか?
保存も保全も、保全生態学という分野でしばしば利用される言葉である。

保存:できる限り手をつけず、自然をそのままの状態にしておく
保全:利用価値のために、手を加えて自然を維持する

生態系には様々な価値がある。
景観のレクリエーション的価値はもちろん、
土壌形成や洪水・土砂災害の防止、食料生産などなど……
これらは生態系サービスと呼ばれている。

生態系サービスを享受するためには、
生態系、種、遺伝子といったレベルで生物多様性を維持していくことが必須である。

そのため生物多様性条約が締結され、定期的に会議が開催されている。

こうした保全への考え方が、ネット麻雀にもそのまま応用できるのではないだろうか?
そう思い至ったのだ。


麻雀多様性を保全する、という捉え方

生物多様性の概念を麻雀に当てはめると、
おおむね次のように言い換えられる。

生態系多様性:様々なゲームタイトルで遊べること
 
種多様性:
各々のプレイヤーが、それぞれの打ち方を追求すること
 
遺伝子多様性:
時代とともに流行り廃りを伴い蓄積されていく、戦術の引き出し

こうした要素をまとめて、「麻雀多様性」と位置づけてしまおう。
そうすることで、保全という捉え方ができるようになる。

打ち続けることで戦術の引き出しやトレンドに触れていき、
個人としてもどんどん「進化」していく。
(勿論、ここでいう進化とは生物学的な意味合いになる)

更に、いろいろなゲームタイトルに手を出したり、
ヨンマで目標達成したプレイヤーがサンマを始めたり。

こうした動きも、立派な保全活動になる。
つまり、一部の段位を保存することと両立可能なのだ。

麻雀多様性の維持が、ネット麻雀のサービス維持や、
ひいては麻雀というゲームそのものの発展に繋がっていく。

そのためには、保存だけでは不十分だ。
打つことで麻雀多様性を保全していく、そういう風に考えてみてはどうだろう?


まとめ

麻雀多様性を保全し、維持していこう。

遺伝子、種、生態系。
これらの多様性を維持するには保存『だけ』では不十分で、
たくさんのプレイヤーがたくさん打つことが重要だ。

さぁ、麻雀で遊ぼう。


参考文献・図書

生態学入門 第2版(編:日本生態学会、発行:東京化学同人)

↓環境省 生物多様性特設サイト



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