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SDGsを自分ごとの言葉(自分ゴトバ)に翻訳すると、どうなるだろう?-脱線!どちて雑談

アニメ番組『一休さん』に登場する、“どちて(どうして)?”が口癖のキャラクター「どちて坊や」。その「どちて坊や」の問いかけのように、世の中の出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。
今回は、大刀洗町(福岡県)の”女豹スーパー公務員”むらたまみさんが飛び入り参加しました!
何が出てくるかわからないガチャガチャみたいなトーク「脱線!どちて雑談」。
脱線こそ雑談の醍醐味。脱線からうまれる初耳の話を、お楽しみください!

素朴な疑問=「SDGs」が全然しっくりこない

□谷野
村田さん、最近感じている”素朴な疑問(どちて?)”は何ですか?

◇村田
私が最近思ってることは、SDGsってあるじゃないですか。世の中SDGsに沿っていこうという流れになってるんですけど。
SDGsって日本文化に置き換えた時にどういう訳になるのか。持続可能な社会作りみたいなことになってますけど、日本文化とちゃんとリンクしてるのかなっていうのは凄く謎なんです。

□谷野
「持続可能な開発目標」というふうに行政は直訳していますね。

◇村田
全然しっくりこないんですよね。

□谷野
キーワードにするとかえって分かりづらいことって多いですよね。

◇村田
SDGsっていう4つのアルファベットをそのまま日本でも使ってますよね。
腑に落ちないです。和訳したい!

□谷野
ひらがなで言うつもりで噛み砕くと、分かりやすくなるんですけどね。

◇村田
誰か腑に落ちるように訳してもらいたいです。

□谷野
「みんなが気分よく生きれるようにする」ってことじゃないですか?

◇村田
そもそも、みんなの心の中にきちんと翻訳があるのかなって思ったり。

□谷野
いや、ないと思いますね。

◇村田
すごい漠然としていることに、自分たちが当てはめさせられているような気がしていて。
私もまちで総合計画とか作ったりしたんですけど、いまひとつ腑に落ちないまま現在に至ってますっていうのが、今思っていることです。

□谷野
行政からしたら漠然としていた方が都合がいい面が多いですね。なんとでも説明できるじゃないですか。
他にも「生物多様性」っていう言葉がありますけど、多様なありさまを「多様性」っていう一言にまとめてしまうと、全く多様性を感じないというのはありますね。

◇村田
それもダイバーシティから入ってきたでしょ。ダイバーシティっていう言葉を日本語に訳したときに、多様性ってなってるんだろうと思うんですけど、どうも腑に落ちないですね。最近、その辺がモヤモヤしてますね。

SDGsという言葉が生まれた背景

□谷野
加藤さん、SDGsってどういうことですか?

■加藤
きっと1人も分かってないんですよね。
さっき村田さんはすごく良い例えを言ったと思うんだけど。自治体が作る総合計画とか総合戦略と同じで、ああいうものを作ることになっていて、作ったらそれを設計図だと思ってきちんとやっているか?
あるいは、設計図どおりにできたか?なんて、後からチェックもほとんどしないでしょう。

もともとSDGsの内容が17項目もあれば、なんでも入っている訳ですよね。みんなと仲良くしましょうとかね、平たく言えばそういうことでしょう。

谷野さんが言った「みんなで楽しく生きましょう」、そのために必要なことを、概念として整理して並べて、それを国連が作ったわけですよね。だから国連の世間に対するご機嫌取りみたいな、「俺たち働いているよ」というのから始まっているわけです。

構想日本もSDGsは言っているんですよ。というのは、言われていることの中身は本当にやらないといけないことが多いわけだし、構想日本がずっと前から掲げていたことと合致することも多いんです。
せっかく世の中全体がワッショイワッショイってはやし立てて、あっち行こうって言ってくれているんだから、その看板は大いに使えばいいんじゃないか。そういう看板ぐらいに思っておけばいいんじゃないですかね。

自治体の総合計画だってね、「あれ、違うよな」と思っている人もいるかも分からない。中身いっぱい入っているから。

◇村田
確かに新しいことを始める時は、計画に書いてあったらそれを振りかざして「ここに書いてあるから」とか、言えますからね。

■加藤
SDGsと言っている人も色々いて、本気で「17の項目」の内の1つか2つを一生懸命やっている人は、それはそれで凄く立派だと思う。人権やCO₂の問題なんかの解決にもつながりますね。
さっき僕が言った「まあまあ看板で使ってればいいや」と思っている人もいっぱいいるし。
企業は、「その看板をうちも掲げていますよ」と言わないと株が下がったりするもんだから、みんなしょうがないからやろうかみたいな感じが多い。一方、それで儲けようと考えている人もいる。
そんなこんなで、今、SDGsは、社会のファッションになっているんでしょうね。

◇村田
そのくらいの大きな看板がないと、文化も変わらない過渡期に来てるんでしょうね。

■加藤
文化というよりは、今の近代文明っていうことなんでしょうね。
さっき話に出ていた「日本語でしっくりくる訳」と言うのは、日本人じゃなくてもね、外国人でも同じだと思うんですよ。
経済成長でなんでも快適に便利になるっていう時代の前は、その土地にあった生き方をするしかなかったわけです。
喧嘩ばっかりしていると働けなくなるし、
生活のレベルを上げるために資源をどんどん使おうとしたら自分たちももっと働かないといけない訳だし。
資源がなくなったらCO₂以前に、木や水も無くなって自分たちが死ぬしかないし。
だから、SDGsなんて言葉がそもそも出てきようがなかったんでしょう。
今や、豊かになってやりたい放題になったから、SDGsという言葉でガチっと枠を作って人間をまとめないと「人間きりがないよね」ってことじゃないですかね。

◇村田
凄く腑に落ちた。

■加藤
今日は村田さんが入ると、従来以上にパァーッとはっちゃけた雑談になるかと思ったら、いきなり大まじめな対談、鼎談みたい。意外な展開ですね(笑)

◇村田
気になることを言えって言われたから言っただけですけどね(笑)

SDGsの浸透=「お金」の流動?

□谷野
「お金を動かす言葉」が、時代のキーワードになっていますね。馬の鼻先にニンジンをぶら下げる言葉ですね。だからSDGsを掲げると、色んな税金も動くし、企業のお金も動く。逆に、お金を動かさない言葉を掲げると、社会全体が大きく動かないですね。

■加藤
そこが根本矛盾でね、「なんでもお金で解決しすぎだろう」って思うんです。
お金に換算されるESG投資っていうのもそうで、環境にいいことをやっている会社は評価されているから投資しましょうということだし。
日本もそうだけれども、アメリカとかヨーロッパは中央銀行や、金融を監督している役所がSDGs的なことをすごく言っているわけですよ。ルールを決めようとかね。お金を担当するお役所がね。
もちろん一理あるんですよ。お金の流れをコントロールしていけば、例えばCO₂を出しそうなところにはお金がいかず、再生可能エネルギーをやっているところにはお金が行く。そんなルールを決めましょうというのに一理はあるんだけれども、「やっぱりお金の流れなんだな」っていう谷野さんが言うようなところがあるんですよね。

□谷野
SDGsって世界全体や国、自治体、企業など、大きな規模で取り組もうとしているけど、大事なのはやっぱり「個人単位ではどうか」ってことだと思うんです。
村田さんは、個人としての「SDGs」は何かあるんですか?

◇村田
私は”丁寧に生きる”くらいです。

□谷野
「丁寧」というのは具体的にはどういうことですか?

◇村田
例えば書初めしたりとか、今だったら家に花を生けたりしてます。なるべく“ロス”を出さないように食べ物とか全部使います。
大根をむいたら皮も使うし葉っぱも使うし、何も捨てない。手紙も手で書いてみるとか、丁寧に生きることに私すごく頑張ってると思う。

■加藤
SDGsというのはね、本当に突き詰めると、そこに行くと思いますよ。
一つ一つのことをなるべく丁寧にやって、うまくいって「やったぁ~!」と思ったら、やっぱり満足感あるし。失敗して「しまったな~」と思ったら、「今度はもっときれいに書くか」とか「大根の皮はもうちょっと薄くむくか」とか工夫するようになりますね。
それが、谷野さんの分野だけど“クリエイティビティ”っていうものにも繋がってる訳です。目の前にあることを一個一個丁寧にやってると、SDGsで書いている17個の項目っていうのは大抵、解決するんですよね。

□谷野
そう考えるとSDGsというのは「丁寧に生きる工夫」って思えばいいんじゃないですか?

◇村田
私風に意訳したらそうかも!(笑)

「当たり前なこと」に目覚めさせる合言葉SDGs

□谷野
ダイバーシティも、人間いろいろ、違いを尊重しましょう、ってことですよね。目新しいスマートなキーワードにしているだけで、中身は非常に当たり前のことだと思います。逆に言えば、新しいキーワードで目を覚めさせなければいけないくらい現代人が当たり前のことからかけ離れているとも言えますね。いいかげん目を覚ませ!現代人!ってことですよ。

■加藤
うんうん。

◇村田
やっぱり忘れかけてる時に何かを思い出させようとして、目新しい言葉で「ぽんっ」と投入されるんですかね。
こうやって「SDGsって何だっけ?」って思い返すことも大事なんですかね。

■加藤
たぶん、丁寧に生きてない人が、頭の中で考えて「もっとこんなことを」といっぱい並べたのがSDGsなんですよね。
実際に丁寧に生きている人はこんな言葉を思い付かないし、必要ない。丁寧に生きていない人が「あっ、こんなことやらないといけないな」と思って並べると、SDGsになるんじゃないのかしらね。

□谷野
ツルツルな人が初心に帰るための合言葉じゃないですか(笑)

■加藤
なるほど、そうかもしれない。

□谷野
ザラザラの人からすると極めて当たり前な生き方ですよね。

■加藤
そうそう、本当にそう。

◇村田
当たり前なことを、ツルツル語に翻訳したらSDGsになるっていう話になるんですね。

■加藤
そういうことですね。

□谷野
「生き物としての人間」が暮らしていくのに大切なことを、ツルツルな言葉で端的に表現すると、今の世の中のキーワードになるんでしょう。

◇村田
それはそれで格好良くていいとは思うし、スローガンにもなるしいいなとは思うんだけど、自分自身がうまく咀嚼できていなかったので、一抹の不安があったんですね。


□□どちて雑談のアーカイブ□□
本投稿は、構想日本のYouTube企画「脱線!どちて雑談」(24話)の内容を記事用に加筆修正したものです。ぜひ、YouTubeもご覧ください。

過去のどちて雑談の動画はこちら
https://www.youtube.com/playlist?list=PL1kGdP-fDk396uM9C-x2CaPBM8FeOLZdF


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