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【ミャンマー市場調査】キリンの決算書から見るミャンマービール市場の可能性

こんにちは、Healthy Humanity Myanmar co.,Ltdです。

弊社はミャンマーにて現地人向けのモバイルコンテンツ(アプリ、ウェブ)を提供しています。
現地に進出している数少ないIT企業として、ミャンマーにおけるデータ関連の情報を主に発信していきます。


今回はキリンの2017年決算書2018年Q1決算書からミャンマービール市場の可能性について書いていきたいと思います。
キリンは2015年にミャンマービール市場の約8割のシェアを持っていたミャンマーブルワリーを買収し、現在もミャンマーで最もシェアを獲得しているという現状です。
詳細は後述しますが、その8割シェアをもつキリン(ミャンマーブルワリー)の2017年の業績は成長率も高く、非常に好調のようです。


飲料の売上としては、

売上=単価 × 販売個数

という公式が成り立ちます。
今回は上記の公式にも注目しながら見ていきたいと思います。



2017年の売上とポイント


2017年の現状

売上が256億円、事業利益が99億円となっておりどちらとも前年比10%超えで成長しています。

特に注目したいポイントとしては、
・低価格商品であるアンダマンゴールドの販売数量が+85%の増加
前年比+85%という驚異的な数字で伸びたようです。「缶シフトの流れを背景に」とだけ決算書には記載されていますが、他にも理由はもっとあるのではと個人的には考えています。
アンダマンゴールドのプロモーションや動向は今後意識して追っていきたいです。

・販売数量が前年度比+17.1%
2017年度は料金の値上げも実施した中、販売数もこれだけ増加しているので詳細は書かれていませんがものすごい企業努力があったのではないでしょうか。ただただ成長率がすごい。


低価格商品の販売数が伸びていることはミャンマー人の所得から考えると合理的で、かつ外資企業の商品は基本的にキリン(ミャンマーブルワリー)が扱っている商品よりも価格が高いものが多いので、差別化としては今後も非常に強みになると思われます。



今後の方向性

今後の方向性は2017年決算書と2018年Q1の決算書、2つから見ていきたいと思います。

まず2017年決算書ですが、2018年度の方向性としては「販売数量の増加」に力を入れていくことがわかります。

去年度すでに料金の値上げを行っているので、公式から見ても

売上=単価(すでに値上げ済み) × 販売個数

販売個数に力を入れていくのだと考えられます。



次に2018Q1の決算書では、見通しの通り1桁後半%の成長をしており、特に気になった箇所は「チャネル別で家庭用の販売数が上昇継続」ということです。

これは個人的な感覚ですが、ミャンマー人がお酒を飲むのはイベントや親戚との集まりなど、回数的にはそんなに多くないイメージがあったので家庭用が上昇しているという結果には驚きました。

そのようなイメージだったことから、各家庭でどのように(どんなタイミングで)お酒が飲まれているのかどのようなインサイトから家庭用の消費が増加しているのかは非常に気になるところです。

特に2018年は販売数量の増加に特に力を入れていくと記述されていたので、広告やプロモーション等に大きく力を入れていくのではないかと考えます。
その際のターゲットが家庭用になるのか、低価格を好む層になるのか、または全く新しい層を狙っていくのか、今後の見どころです。


これだけの成長率があり今後の見込みもあるミャンマービール市場ですが、各国のビール消費量でミャンマーは1人あたりビール消費量が3.7L(日本:41.4L、世界一チェコ:143.3L)と海外と比べるとまだまだ消費量が少ないという現状があります。
なのでそのような視点(1人あたりの消費量が伸びる、女性にうける)から広告やプロモーションをうっていくのも面白いのではないかと個人的には考えます。
http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/1221_01.html(「キリンビール大学」レポート 2016年 世界主要国のビール消費量より)



競合の存在

ミャンマーに進出しているその他のビール会社としては、Heineken(Heineken、Tiger Beer)やCarlsberg(TUBORG) などがあります。

Heinekenは決算書でミャンマー事業について詳しく記述していることがなかったのですが、Carlsberg(TUBORG)は市場シェアが4%だと記述されていました。
やはりミャンマーではキリン(ミャンマーブルワリー)が圧倒的にシェアを獲得しているようです。

競合という意味では他のアルコール類もその中に含まれると思うのですが、アルコール消費の8割はビールだったり、前述したように1人あたりの消費量を増やすことや女性をターゲットにすることも今後可能なので、ミャンマーのビール市場はまだまだ伸び代のあるマーケットだと考えられます。



おまけ

2017年決算短信に書いてあった言葉がかっこよすぎたので一部紹介しておきます。

ミャンマー・ブルワリー社では、ミャンマー市場で圧倒的首位の地位を維持するため、キリングループの知見を活かした効果的な市場リサーチ活動を実施し、市場やお客様への理解を深めていきます。競合環境や市場環境の変化を踏まえ、「ミャンマービール」を国民の誇りを喚起するブランドとして強化します。

「市場調査をしユーザーや市場環境への理解を深める」ということは当たり前のようですごく難しいところだと思います。しかしそこを徹底していたからこそ2017年のような成長があったのではないでしょうか。すごくかっこいい。

ぜひそのまま突き抜けてほしいです!



さいごに

長くなりましたがHealthy Humanity Myanmar co.,Ltdではミャンマー人向けのモバイルコンテンツを現地で展開しています。(現在約20万人ユーザー)
同時にそのユーザーを活用したミャンマーの市場調査サービス(オンライン・オフライン)も日系企業様向けに提供していますので、ミャンマー人の生活・興味関心や市場動向に興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください。


キリン 2017年短針決済

キリン 2017年度決算 プレゼンテーション

キリン 2018年Q1 プレゼンテーション

CarlsBerg 2017 Annual Report

https://carlsberggroup.com/media/22523/carlsberg-as_annual-report-2017.pdf


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